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ああ、なんか泣きたくなってきた。


勉強だけは頑張って良い大学、良い会社に入ったけれど、こういうことは何一つ勉強していないことに気づく。勉強する方法も知らないけれど、それでもやっぱり私だって圭佑さんを喜ばせてあげたいのになぁ。


じわりと滲んだ涙は目ざとく見つけられ、丁寧に拭われた。


「もしかしてシたくない?」


圭佑さんが心配そうに聞く。

その表情は心なしか不安そうだ。


違う、困らせたいわけじゃない。

私だってシたいと思っている。


「ううん、私初めてだから。どうしたら圭佑さんを喜ばせてあげられるかわからなくて困ってるの。」


正直に言うと、圭佑さんはぐっと呻いて私の肩の辺りに顔を埋めた。


「け、圭佑さんっ?!」


幻滅させてしまったかと焦ったが、そうではなかった。圭佑さんはゆっくりと顔をあげる。


「そんなに俺を煽るなよ。ていうか俺だって別に経験豊富じゃないし。それにずいぶんとご無沙汰……。」


……ご無沙汰?

……はて?

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