12

柴原さんは以前、私と家族になりたいと言っていた。私も将来的には……なってもいいかなって思っていた。


何だかまたモヤっとする。


そんな私の考えを見透かしたかのように、柴原さんは意地悪な笑みを浮かべた。


「美咲は俺と結婚したいの?」


「……いや。」


私の返事に妙な間があったのを察知して、柴原さんはクスクスと柔らかく笑う。


「相変わらずツンデレだね。」


すぐにそっぽを向いたけれど、少し赤くなってしまった頬を見られたかもしれない。

くそう、悔しい。


「……早くごはん食べてよ。」


そっけなく言ったのに、柴原さんは優しく頭を撫でてくる。


「はいはい。わかったよ。」


そう言って、ダイニングテーブルに置いてあるラップのかかったおかずをレンジにかける。


「今日も美味しそうだなぁ。美咲、いつもありがとうね。」


「……別に。」


私はそっぽを向いたまま、可愛くない返事をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る