第20話 君が居ない







僕は十月に入る前に、原料輸出国での管理業務に異動になった。出立の前に催された“壮行会”で初めて、主要な役員の前で挨拶をしたけど、僕はどうやら歓迎されて迎えられ、期待を込めて送り出されるようだった。


会場の中に紛れていた父さんが、僕を取り囲む多くの役員に解放された時に、飲み物の入った紙コップを二つ持って現れる。


「どうだ、一杯」


「ありがとうございます」


中身はビールだった。父さんは何事かをめでたそうに笑い合っている役員さんを遠くに見ながら紙コップを傾ける。


「お前の仕事ぶりが真面目だと部長はご満悦でな、役員たちも一旦は安心してくれた。私としてはもう少し、事業全体を見通す目を早く身に着けてほしいが」


「そのつもりです」


僕が父さんを見ずにビールを飲んだ後にそう返すと、父さんは初めて仕事の場面で、僕に対して驚いたようだった。



社員や役員の僕に対する歓迎が、上辺だけの「跡取り」へのものか、僕の実力に寄せられた信頼にできるかは、これからの自分の働きに掛かっているんだと、僕は念じていた。



それから僕は二週間足らずの日々を、現地に赴任して何をするのかの引継ぎをしたり、自分なりに業務の見通しを立てておくなど、てんてこ舞いに日々を過ごしていた。そしてやっと出国の二日前になって、美鈴さんと二人で会う時間が取れた。





十月の十一日。日曜日だった。僕たちは思い出の喫茶店で待ち合わせをした。両親には、「出国前に東京を回ってきます」と軽く断りを入れた。母さんは僕の荷物を丁寧に確認しながら、「そうね、八カ月も日本を離れるんですもの」と言い、父さんは、「ああ、でも夕方には戻りなさい。まだ仕事が残っている」と言ったまま、書類から目を上げなかった。



午前十時の五分前に「喫茶レガシィ」が見えてくると、お店があるビルの前に、マスターらしき人が電飾看板を引っ張ってくるのが見えた。どうやらレガシィは開店が十時のようだ。店の前まで来ると、マスターはいつもと変わらずワイシャツの袖口だけをたくし上げて、ぴっちりと仕立てられた服に、腰から下だけのエプロンを掛けていた。僕は、こちらに背中を向けて腰を屈め、熱心に濡れ布巾で看板を拭っているマスターに声を掛ける。


「お久しぶりです、マスター」


その声に振り返ると、マスターは機嫌の良さそうな笑顔になって、「お!お待ちかねだよ!入って入って!」と僕を大急ぎで手招きした。僕はカラコロとドアベルが揺れるドアをくぐる。


「元気そうだね」


「おかげさまで」


「指環は大丈夫?革紐とか」


「あ、今のところ大丈夫です。革だから丈夫ですし」


「そっか」


そう言って、マスターは僕をいつもの席に通してくれた。何度も美鈴さんと過ごした店のはずなのに、僕はその時、なぜか彼女に出会った頃のように緊張し出した自分に気づいた。それは多分、しばらく会えなくなるから彼女をこれから自分の心に焼きつけようとしているからなのだろう。僕は壁の前で一呼吸置いてから、中を覗き込むようにして一歩踏み入り、少しだけ驚いた。


「あ、馨さん…おはよう…」


顔を上げずに美鈴さんは僕におはようを言った。それは彼女が落ち込んでいるからとも思えたかもしれないけど、僕にはすぐにわかった。その日の彼女は、ワンピースの上に厚手のベージュのカーディガンを羽織っていた。そして、僕たちが友達だった頃、初めて二人で出かけた時と同じように、髪の房を花冠のように編み込んでいる。


「おはよう」


そう返して僕は席に就いた。それから、どうやら顔を真っ赤にして、自分が考えていることが僕にわかっていないかと恥ずかしがっている彼女に、少し間を置いて僕はこう言う。


「やっぱり、可愛い。花冠みたいだ」


あの時言えなかったことが言えたなと思って、蚊の鳴くような声でお礼を言う彼女を眺めていると、マスターがお水を運んで注文を取りに来たので、僕たちはブレンドを頼んだ。



喫茶レガシィでは僕たちはマスターと思い出話なんかをして、いつものおさらいをするように過ごし、コーヒーを飲んだらすぐにお店を出た。


「じゃあ、海外赴任は大変だろうけど、頑張ってね。戻ってきたら、またおいで」


「はい、ありがとうございます」


マスターは美鈴さんの方を見ながら何か言いたげだったけど、美鈴さんは「ごちそうさまでした」と言って、すぐに後ろを向いて駅へと歩き出す。それから、僕たちは美鈴さんの家に向かう。





美鈴さんは僕と部屋に帰ってからは、あまり喋らなかった。僕も小さめの鞄を美鈴さんの居間の隅に置いて、クッションの上に腰を下ろしてからは言葉少なになり、ずっと糸口を探していた。


その日に美鈴さんが作ってくれたお昼のメニューは、オムライスだった。丁寧に炒められた具材の入ったチキンライスが、ぴかぴかの薄焼き卵に綺麗に包まれ、ケチャップでニコニコマークが描かれていた。



「うん、美味しい」


「うん」



僕たちが食事中に喋ったのは、それだけだった。それから、重く、そして張り詰めた時間がやってくる。





僕たちは美鈴さんのベッドに腰掛けていた。美鈴さんはベッドの上に足を上げて背中を曲げ、裸足の爪先を手で包んで、下を向いて体を揺すったりしている。僕はベッドが寄せられた壁に背中を預けて、シーツの皺を数えるわけでもなくぼんやりと目に映しながら、ずっと探していた。僕が居ない間に、彼女を支えていられるような強い言葉を。


不意に美鈴さんはこちらを向いて、「海外での仕事って、何するの?」と聞いた。僕は彼女を傷つける何かを避けるために、おずおずと口を開く。


「あ、えっと、鉄鋼業だから…鉄鉱石の掘削現場の、管理業務に就いて…経験を積む感じに、なるかな…」


僕がそう言うと、美鈴さんは意外にも興味深そうにそれを聞き、二度ほど頷いた。


「そうなんだ。じゃあ大変だね。でも、きっと大丈夫だから、頑張って」


そう言った時の美鈴さんは、さみしそうな顔ではなくて、僕が数学の問題に悩んでいた時を思い起こさせるような真剣さを持って、僕を見つめてくれていた。


「ありがとう」



そしてまた、沈黙が訪れる。彼女は背中を丸めて膝を抱えていて、僕の方を振り向きはしなかった。そして、その背中が少しずつもじもじと動いて、肩がかすかに震えるから、ワンピースの半袖が揺れている。それでも美鈴さんは何も言わなかった。


僕はどうしたらいいのかわからず、なんの言葉も持たず、彼女を傷つけるかもしれないと思いながら、自分の両腕で彼女を後ろから抱きしめた。彼女の肩は冷たく、そのうちに僕の腕の中で体が震えだして、彼女は絞り出すような声を上げて泣いていた。そして僕の腕をしっかと掴んで、もっと強く抱きしめて欲しがるように前に引く。


僕は彼女を強く抱いてから、彼女の気持ちが落ち着くように、少しずつだけど力を緩めていった。それから、彼女の頭を撫でてみたり、腕を前に回したまま肩をさすったりした。



根気強くそうしていて、少し経った後、僕の両腕にすっぽりと包まれた美鈴さんの体は力が抜けて、彼女は僕に体を預けて小さく丸まっていた。


眠ってしまったのかと思うほど美鈴さんの呼吸は緩やかになったけど、時折彼女の腕は、僕の腕を撫でては、またぱたりと布団に落ちた。


何回目かに美鈴さんが僕の手に自分の手を重ねた時、僕は手のひらを返してその手を取った。腕の中の彼女が息を呑むように身を固くする。



彼女の気持ちを和らげてあげられる言葉がない。僕の言葉は、今はなんの役にも立たないかもしれない。でも、このまま黙って彼女を置いて行ったら、僕は彼女に見放されてしまうのかもしれないと思うと、居ても立ってもいられなくなった。



「僕が居なくなって…」



美鈴さんは初めて振り向いた。泣いて赤くなった目を目尻に溜まった涙でぼやけさせて、悲しそうに僕を見つめる。僕の胸が、ずきりと確かに痛んだ。僕がこれから言おうとしていることは彼女をきっと傷つける。その時僕は、“自分は返しの付いた釣り針で彼女を繋ぎ止めるようなことを言おうとしてるんじゃないだろうか?”と思った。でも、これを言いたい。


「僕が居なくなっても、僕を忘れないでほしいんだ。さみしくても、待っていてほしい…。また帰ってきたら、今日みたいに一緒に居られるように…美鈴さん…」


僕はそう言いながら、我知らず、美鈴さんを強く抱きしめていた。彼女はそれを苦しがるように、僕の腕を解いて体を向い合せ、どこか悔しそうに、僕を下から睨む。彼女の眉は頼りなく寄せられ、引き結んだ唇はわなないて、濡れた睫毛も震えていた。そして彼女は僕から目を逸らし、一粒、また一粒と涙を零した。初めは手で拭おうとしたけど、いつまでも止まらないものだからそのままにして、苦しそうな涙声で話し出す。


「わかってる…私だって忘れてほしくないし、忘れられない…だから辛いの…!仕方ないことはわかってる、でも…離れちゃうのはやっぱり怖いよ…!」


美鈴さんは、次々に溢れる涙を拭いながらそう言い終えると、わっと僕の胸に泣き伏した。僕は彼女の背中を抱きしめてさする。美鈴さんは一生懸命に、泣いて、泣いて、僕もとうとう苦しくなって泣いてしまった。


僕が悲しみに堪えようと彼女をまた強く抱くと、僕の泣き声に気づいたのか、美鈴さんは顔を上げて驚き、「ごめんなさい、泣かないで」と僕の頭を撫でようとした。でも僕はそうしてもらうより、ただ彼女を抱きしめている感覚が、もっともっと、できるならいつでもずっと欲しくて、小さく細い体を力いっぱいに抱いた。


僕は彼女を抱きしめている時、必死に心の中で謝り続けていた。



もし君が、僕との愛を誰の前でも平然と口にできて、僕の家族からも温かく迎えられるなら。


君を日本に残していくからといって、たった一人にしてしまうわけじゃない。


僕たちの関係を秘密にしている限り、君の支えは僕しかない。


僕はそんな孤独を君に強いているのかもしれない。


ごめんね、ごめんね。



それは、どうしても口に出せなかった。







出国の日、僕は彼女には見送られず、家族と、それから数人の会社の役員に空港まで連れられ、羽田空港で海外便の搭乗口を過ぎた。それでも飛行機に乗る前に、彼女にSNSでメッセージを送った。


“今から飛行機に乗ります。九時間の長旅になるから、返信はそれからになるかな。着いたら景色の写真を送ろうか?”


そこにはすぐに既読マークが付いて、彼女からの返信が届く。


“景色と、一緒に馨さんも写してね。いってらっしゃい。”


“いってきます”



飛行機に乗り、エンジンがかかる轟音が機体を唸らせて僕のおなかまで響く。すると、なぜか幼い頃からの思い出が、僕の頭を巡っていった。これまでこの土地で出会ったできごとを思い返して、新しい地に降りるまでの準備をしているような気分だった。


いろいろな人が僕を見ていてくれた。母さん、それから父さん、木森さん、小学校で少しだけ仲良くなった友達。高校の時に塾で成績を争った男の子。


最後に彼女の顔が目の前を過って行こうとするのを僕は捕まえて、胸に閉じ込めようとしてみたけど、すでに昼も夜もなく仕事に責めぬかれた僕の体は、睡魔に負けて眠ろうとしてしまっていた。


僕は、大空に向かって凄まじい速さで直進していく、腕も上げられなくなりそうな圧力も構わず、夢を見ていた。僕は夢の中で、小さくなった美鈴さんをポケットに入れていた。そして、僕と一緒に渡った異国の地に胸躍らせてはしゃぐ彼女が、何度もポケットから落ちそうになる。僕はそうなるたびに優しくポケットを押さえては、「おとなしくして、落ちちゃうよ」と言っていた。





そして着陸のショックで目を覚ました僕は、夢うつつのまま飛行機を降りた。それから、現地の現場よりも日本との連絡が取りやすい、都市部にあるマンションの一室に入る。あらかたの荷物はもうここへ送ってあったので、僕は小さな荷物を下ろして家に電話をした。


「ああ、はい、今着きました。はい、うん…大丈夫だって、英語はあんなにやったんだから…わかった、じゃあまた、母さん」


家の電話はまずはじめ公原さんが出た。公原さんは、「無事にお着きのようで安心しました。お母様に代わります」と、気遣っているのかそれとも決まり文句なのか判然としない、ぶっきらぼうな口調で母さんに代わってくれた。公原さんとは反対に、母さんは僕が心配で仕方ない様子だったので、「長くなりそうだな」と思って見切りをつけ、名残惜しそうな母さんとの電話を切る。



母さんは日頃から僕を気遣ってくれるけど、どうもまだ僕のことを子供のままのように思っているところがある。出発前も、僕の荷造りを手伝ってあれこれと持って行くものを揃えてくれながら、「私が一緒についていった方が、事が早そうだわ」なんて冗談みたいに言っていた。僕は母さんが本当にそう思っているのがなんとなくわかったので、「大丈夫だよ、これで揃ったし」と言い、何気なく笑って目を逸らそうと頑張っていた。





飛行機を降りたその日は自由行動を許されていたので、彼女に写真を送るためと、それから、自分も少しだけ観光をしてみようと思って、その都市の一番の観光地に足を向けた。


海の上に浮かんでいるように見える、半月型の屋根が折り重なった観光の名物を背景に、彼女に自分の写真を送る。



“連絡遅くなってごめん。さっき着いて、マンションに荷物も降ろしたよ”


“海綺麗だね!真っ青!長旅おつかれさまでした~!”


そう言って彼女はいつものカエルのスタンプを送ってくれた。



僕が飛行機の中で見た夢のことを話して、美鈴さんが励ましの言葉をくれて、また連絡をすると言って、僕はスマートフォンをポケットにしまって振り向く。



そこには見知った人影はなく、何もかもがきらびやかな、何も知らない煉瓦の道があった。






それから二週間ほどは、管理業務のノウハウを学ぶ準備や挨拶に手間を取られながらも、僕は割り当てられた仕事に奮闘し、現地の人との会話もつつがなく、忙しく過ごしていた。僕には、夕食を一緒に食べるほど仲良くなった人も居た。





そしてある夜、仕事が終わって職場の仲間に挨拶をし、タクシーでマンションまで帰ろうとした時のことだ。



シートに体を預けて力を抜いた頃から気づいていた。ゾクゾクと寒気がして、体が震えている。それから体全体が酷く重くなっていった。寒気が治まると、今度は熱くなっていった。僕の息は、まるでやかんから吹き出す燃える蒸気のように熱い。


タクシーの運転手は僕の様子がおかしいことに気づき、現地の言葉で口早に、「大丈夫かい、あんちゃん」と聞いてくれたけど、僕はやっと「心配ないです」と返す気力しかなかった。それから代金を支払ってタクシーをなんとか降りて、マンションのエントランスをくぐる。


部屋に着く時には僕はもう、「今、倒れるわけにはいかない」と考えていて、慎重にベッドまで辿り着き、まさにベッドにぼすんと倒れ込んだ。スプリングの効いたマットレスに跳ね返された僕の脳味噌の動きに従って、この世がぐるりぐるりと回り始める。



これはまずい。誰かに連絡して、なんとかしないと。僕の頭に浮かぶのは、そのくらいの簡単なことだけだった。



ポケットのスマートフォンをなんとか手探りで取り出すと、うねるように揺れる視界に邪魔されながらも、電話帳で同僚の電話番号を引いて電話を掛け、短く現状を伝える。同僚は事を理解してくれて、明日の仕事を休みにするように取り計らうと約束してくれた。


“それで、今夜は大丈夫かい?誰か世話をさせに送るから、その場で動かずにいてね。救急車は必要ないの?”


「ああ、風邪みたいだから…多分平気だと思う。ありがとう、それじゃ少しの間休むから…」


“オーケー、またあとで”


同僚の心配する声がまだ耳の底に残っていたけど、僕はもう一度電話帳に戻って、「美鈴さん」の電話番号をタップして、長いコール音を聴きながらひたすら待っていた。


僕を気遣ってくれる同僚は居るけど、家族や彼女が居る国から、ふるさとから遥か遠くの地で熱を出すのがこんなに不安だとは知らなくて、僕は怖くなった。


プルルルル…プルルルル…と、電話のコール音は鳴り続ける。やがて二十回ほどそれが繰り返されたあとで、電話が通話状態になった。僕はなんとか体をねじってベッドにごろりと横向きになり、片耳の上にスマートフォンを乗せる。


“…はい…?馨、さん…?どうしたのこんな時間に…”


彼女はなんだかものすごく眠たそうだった。まだ夜の十一時だから、普段なら勉強をしてるはずなのにな、と僕は不思議だった。でもそんなことより、自分の恐怖を早く吐き出してしまいたくて、心のまま喋り出す。


「熱が…あって…」


僕は苦しい息を継ぎながら、なんとかその先も喋った。


「こんなに苦しい熱は…久しぶりだし…君もいなくて…ここは知らない国だし…さみしいから、電話したんだ…ねえ、何か言ってよ…」


僕はその時、高熱で少し頭が混乱していたように思う。後から考えてみるとそうなる。だって僕がいる国と日本は二時間の時差があるから、計算ではこの時日本は午前一時だ。それは美鈴さんは寝ているだろうと思うし、彼女からしてみたら、「こんな時間」だった。


でも美鈴さんはすぐに僕を心配してくれて、こう言った。


“そうなの…そんなに高い熱なの?お医者にはかかった?今どこにいるの?”


「どこって…ベッド…部屋の…医者なんて…君が来た方が、きっとすぐなおるよ…」


だんだんと僕はろれつが回らなくなっていき、彼女も心配して僕に声を掛けてくれていた。でも、途中から僕は、眠くてなかなか返事ができなくなって、いよいよ頭が混乱していく。僕は半分くらい子供に返ったような気持ちで、一生懸命おねだりをしているのに、彼女がここに居てくれないことが不思議で、悲しかった。


「なんか…眠い…仲間が、世話をする人を、よこしてくれるって…言ってたけど…ほんとうに、きみがいたら…すぐなおるから…みすず…さん…ほんとだよ…」


電話の向こうはしばらく静まり返った。その静寂を待っていたように、僕の体はどろっとした重たい眠気に押し潰され、熱に浮かされる時間へと引きずり込まれていく。でも、その前にかすかに声が聴こえた。それは、高熱にうなされながら眠ろうとしている僕には、“懐かしくて優しい声だ”ということくらいしか、もう理解できなかったけど。



“だいじょーぶ。夢の中で、ポッケに入ってますよ”





そのうちにマンションに着いた仲間に揺り動かされるまで、僕は小さな彼女を追いかけて穴を転がり落ちる夢を見ていた。






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