死神に呪われし少女

蓮蠱

第1話 真っ白な世界

高校生になって初めての夏休み。今日は翔と奈々に加え中学から仲のいい中野大翔(なかのはると)と早坂六花(はやさかりっか)の四人で買い物に来ていた。

「翔はどっちが好き?」 

 水着の試着を始めた女子たち。翔に二種類の水着を見せて聞いた奈々。ちなみに奈々と翔は生まれた日的には翔のほう上で一応兄だが、奈々とは義兄弟であるため序列関係を作るのがめんどくさいため互いに名前で呼び合っている。

 男女に分かれての水着選びだったはずがどちらがうまく水着が似合うかに代わり翔、奈々チームVS大翔、六花チームになってしまっている。。

「お前はもっと地味な奴がいいかな」

 奈々は落ち着いていてとても派手な水着を選ぶタイプではない。しかし相当すごく水着をもってきた。

「地味なのか。だったらこれは?」

「それならまだいいかな。でも、俺はこれがおすすめだ」

「これちっちゃい子が着るみたいなやつじゃん」

「大丈夫だ。六花よりは子供に見えるから」

 そういい翔は奈々の胸のあたりをじっと見た。

「これだから翔と組みたくないんだよ。これからだもん」

 翔はいい意味でも悪い意味でも奈々を異性としての感情がまったくない。そのためいい意味としては家でもただなかのいい兄妹っといった感じ。しかしその他はただのデリカシーがない人間だ。平然に胸がないとか言うレベルだし。

「悪かったって。後でアイス買うから」

「ほんと!!許す」

 アイスを買うことを約束するだけであっさり許してしまう奈々も奈々なのだが。

「六花のほうは終わったぜ」

「待って。ほら翔早く決めないと」

「だからこれだろ」

「本当に?」

「大丈夫だって」

 奈々は納得いっていないが翔が押している翔が選んだ水着を着ることにした。

「お前あれはないだろ」

 大翔にも奈々と同じようなことを言われる。

「だからあいつは子供だからかわいくなるんだって」

「そうやってなめてるぞすぐに大人になるぞ」

「それならいいけどな」

 翔はネタで行っているように見えているが、実際のとこ一人でまだ行動できないのは心配しているとこもある。いじれば変わるのかとも思えていたが全然状況は変わらず基本誰かがいないと何もできない。今回も自分の好きな水着があったのにもかかわらず翔が選んだ水着を選んでいる。

「どう?」

 六花が来た水着は青色だった。恥ずかしいそぶりを見せているのがどことなくかわいい。メガネを普段かけているがメガネを外した彼女も顔偏差値が高い。

「それで奈々は?」

 奈々が入っていた試着室のカーテンがゆっくりとあいた。顔を隠していても顔が真っ赤になっているくらい恥ずかしいんだろう。

「普通に似合ってるじゃん」

「本当?」

 六花がカバーする中男どもは笑いをこらえていた。

「デリカシーなさすぎ」

決して水着が悪いんじゃない。本当に似合っている。だが、背中についた羽が面白すぎる。なんで立体なんだよと突っ込みたいくらいに。大人の水着にこんなのあるのかって思える。

「なんで羽ついてるの?」

「知らないよ。翔これ知ってたでしょ」

「なんで気づかなかったんだよwww」

 奈々はすぐにカーテンを閉めた。それに合わせて六花も閉める。

「やっぱりかわいいな。変に天然なのも」

「あれに気づいたうえでなくてほっとはしているがな」

 気づいていて来たのであれば、相当おもしろい。翔は狙ったわけでもなかったがいいものを見れて満足だった。


 着替えてカーテンを開けた二人。

「奈々それ買うのか?」

「買わないよ。さすがに翔に喜んでもらうためだし」

 しれっと大人の対応をしてきた奈々さっき表情的に確実にありえないんだが。

「次どこ行くんだ?」

「私公園行きたい」

「なら昼買って公園で食べるか」

 これから行く公園は大翔たちとまだ会う前からずっと遊んでいたところであるため、たくさんの思い出がある。奈々は今でもそこが大好きらしい。


 四人は買い出しをして公園に向かった。奈々はすぐにでも行きたいようですごく急ぎ足だ。

「落ち着けよ。全く本当に好きなんだな」

 公園の目の前の信号が赤だったため奈々は止まった。

「なんか眩暈がする」

 なぜか赤信号の道路のほうにふらつきながら入っていく。

「奈々!!」

「翔助けて」

 今どんな状況なのかまったくわからない奈々はどうしたらいいかわからず翔のほうに向かった。

「逆だ!!」

「えっ?」

 奈々は翔のもとにもっどたと思っていたが道路のど真ん中にいた。そして目の前からトラックが。

「早くでろ」

「トラック」

 奈々の脳裏に嫌な思い出がよぎった。そして体が完全に止まってしまった。

「おいまずいぞ。奈々なんか雰囲気がおかしい」

「くそ!!」

 翔は持っていたバックを投げ捨て全力で走った。

「間に合ってくれ」

 奈々には誰の声もクラクションの音も聞こえずただトラックが迫ってきていることだけが認識できた。しかし体が動かない。

「奈々!!」

 ドンっと衝撃の音が聞こえ奈々は正気に戻った。しかしぶつかったのは自分ではないのがわかった。一瞬の出来事すぎて何にもわからないが誰かの手に覆われている。はねられ地面についたのも自分でないことはわかった。

「翔!!」

 その声が聞こえしっかり見ると翔と同じ服だがなぜか赤かった。意識があるはずなのに力が入らない。

「大丈夫か?今救急車よんだ」

 運転手が出てきて二人に駆け寄った。

「私はいいから」

 出せる力を使って声を出したがその人には聞こえていない。

「てめー!!」

 大翔が運転手の胸ぐらをつかんだ。

「そういうのは後にしてまずは二人を助けないと」

 完全に力のない奈々はただ助けられているのを感じながら眠るしかなかった。

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