転生した僕は転生前の自分と仲が良い

岡止々岐

第一話 プロローグ

 近年のライトノベルは、「転生したら○○だった。」とか「転生したら異世界最強になった。」などといった話が増えてきていると思う。


 これは、偏見になるのだがライトノベルを読む人の殆どは、本質がオタク系であると僕は考える。妄想力が一般の人より優れ、物語のキャラクターに自分を置き換えて楽しむという性質を持つオタクという生物の感性にこのジャンルは刺さったのだろう。


 僕もそうだった。


 高校への登下校や授業中など暇な時間は、「自分が転生したらこういう能力が欲しい」だったり「最強系もかっこいいし憧れる。」と考える時間も日常茶飯事だった。


 妄想中の僕は、転生したら確定で異世界に行けると考えていた。というのも、僕が好んで読む転生系は異世界を舞台に描かれたものだけだったからだ。

しかし、所詮は妄想に過ぎない。

現実と妄想が違うのは当たり前のことである。


 そろそろ、話を本題に移そう。先日僕は、実際に転生というものを体験した。

ここまでの話から察しているかもしれないが、異世界には行けなかった。

 いや、その言い方は少し語弊があるな・・・などと誰に聞かせるわけでもない自分語りをしながら、僕は身支度を終わらせた。


 「それじゃ、通い慣れた高校に行きますか。」


 こうして、転生後の僕の一日が今日も始まるのであった。

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