21「アマリアの訓練です」②
ゾーイとアマリアは温泉に浸かって、ほう、と息を吐き出し身体の力を抜いた。
心地よいはずの時間だが、途中で汚い悲鳴が聞こえて気分が台無しにされた気がした。
「ゾーイお姉ちゃん……お風呂、きもちいいね」
「そうだな。気持ちいいな」
ふへー、と力を抜いて四肢を伸ばすアマリアは、最初こそサムにひっついていたいたが、母と再会してからは母から離れたくないようだった。
しかし、自身が「転移」を持ち、その力が希少であることを理解すると、早々に学びたいと願った。
形式的にとはいえ義理の父になったカリアンと、義理の姉になったマクナマラをはじめ、ゾーイ、サム、そして師匠となった友也がアマリアをどう育てるかと考えていたところの出来事だった。
サムとしては、大変な思いをしていたのだからしばらくはゆっくりしてほしいと思ったようだ。しっかり食べて、眠り、遊び、子供としての時間を過ごしてほしい。その上で勉強などを始め、訓練はそれからでもいいと言う。
しかし、友也は、神との戦いがあり、自分が死んでしまう可能性があるのだから、アマリアのためにも教えられることは教えて起きたいと考えていた。
意見はぶつかりそうになったが、当事者であるアマリアの希望からゆっくりと訓練を始めることとなった。
友也としても、春までは身体を休めてほしいと思っていたようだが、アマリアはやる気に満ち溢れていた。
「訓練の初日だったが辛くないか?」
「ううん。平気だよ」
「しかし、友也のやつが攻撃に慣れさせるとか言って殴り飛ばしたではないか」
「……びっくりしたけど、平気。怖くなかった。痛かったけど、平気だよ。それに、友也お兄ちゃんのパンチよりも痛くないのに、何もしていないのに殴られたり蹴られたりした方がずっとずっと怖かったから」
「……そうか。アマリアは強いな」
ゾーイは、アマリアの濡れた髪を撫でた。
この子は聡いと思う。
友也の攻撃は、アマリアにとって必要なことだと理解しているため、驚いたし、痛かったが「怖くなかった」と言う。
しかし、シューレン魔法国で理不尽な暴力を受けていた時は、「怖かった」と言った。
同じ「痛い」でも友也とアマリアを虐待した貴族とでは違うと十歳ながらしっかり理解しているのだ。
(――私がアマリアくらいの頃は、聖女として言われたままいるかいないかわからない神に祈っていたものだ。この子はきちんと自分の意思と考えを持っている。とても良いことだ)
いずれアマリアは大物になるかもしれない。
ゾーイはそんなことを思う。
聞けば、勉強を楽しんでいるという。
最低限の読み書きは母親が必死に教えていたようだ。カリアンが嬉々として時間を作り勉強を教えると、すぐに理解すると言うではないか。
そして、一度覚えたことは忘れないらしい。
(――実に、将来が楽しみな子だ)
強いて言うならば、ゾーイは自分がちょっと年上のお姉ちゃんではなく、とても年上のお姉さんなのだが、魔族云々を話すのはまだ先でいいだろう、と考える。
そして、
(この物覚えの良さから、スカイ王国の変態どもの悪影響を受けないことを祈ろう)
祈ってみたものの、創造神が「あれ」なので不安でしかなかった。
〜〜あとがき〜〜
アマリアさんは大事にされています!
春になったらやべーのに目をつけられてしまいますが……。
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