第26話:ホームセキュリティー

 俺は三頭が入院している間に、大手の警備会社に行って相談した。

 人間に直接来てもらって警備してもらった方がいいのか、それとも機械を設置するだけの警備でいいのか、プロにちゃんと話を聞いてもらいたかったのだ。

 まあ、カーミラの事やヴァンパイアハンターの事は言えないが。


 俺が気になっていたのは要人警護の派遣だった。

 他にも施設警備や交通誘導員と言う形の警備員の派遣だった。

 ヴァンパイアではいない人間がいれば、ヴァンパイアハンターの牽制になると考えたからだが、問題はどれくらいの料金がかかるかだった。

 だが俺が安全に必要だと考える人数をそろえるには、金がかかり過ぎた。


 そこで機械警備のホームセキュリティー料金を数社に見積もってもらったのだが、古く大きな洋館だったから、侵入できる場所が多過ぎた。

 通常なら三〇〇〇円程度、店舗併用住宅や二世帯住宅でも五〇〇〇円で済むのに、カーミラの洋館は月額一万円以上費用がかかった。


 ネットで調べた範囲では、ホームセキュリティーは割高だという意見もあった。

 理由は何かあった時に駆けつけるのが、よくて社員で普通は派遣だというのだ。

 しかも仕事中のケガは労災が適用されるため、できるだけ侵入者に会わないように、会っても近づかないように指導しているとあった。


 まあ、最初から普通の警備員にヴァンパイアハンターと戦ってもらおうとは思っていないが、侵入者に会わないようにゆっくりと来られては意味がない。

 それなら洋館の周囲に防犯カメラ、中に空間センサー、窓やドアに開閉センサーを設置した方が、まだ費用対効果がある気がした。

 ヴァンパイアハンターの侵入を察知したら、直ぐに警察に通報した方が安心だ。


 そこで防犯カメラについていろいろと調べたが、録画機器を買うのとクラウドに直接記録を残す方法があった。

 だが相手がヴァンパイアハンターだから、保存して犯人を特定しても意味がない。

 俺が望むことはただ一つ、カーミラが殺されないようにする事だ。

 それにはカメラに連動したモニターを置き監視して、ヴァンパイアハンターを見つけたらすぐに警察に通報するのが一番だと思った。


 そんな見張りが自分にできると過信しているわけではない。

 俺にはそんな集中力もなければ眼力もない。

 だがカーミラの眷族になったヒュウガとヤムチャなら可能だと思っている。

 地下墓所の惨状を見れば、ヒュウガとヤムチャがどれほど必死でカーミラを護ろうとしたか一目で分かった。


 だからコントローラー一台、防犯カメラ十二台、空間センサー十二個、開閉センサー六十六個、モニター十二台を200万円かけて購入した。

 ヒュウガとヤムチャが足で押せば警察に連絡がいる大きなスイッチも作った。

 カーミラはもちろん、ヒュウガとヤムチャも復活すると信じていた。

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