18》♠︎パーティーの真の目的〜戸惑いと憎しみ〜♠︎

 トウマはラガに色々と問い詰められ、どう答えたらいいか戸惑っていた。


 片やウッピィは、トウマの左肩に乗り様子を伺っている。


(トウマは大丈夫でしょうか?)


 トウマがなかなか質問に答えなかったため、ラガは疑問に思った。


「うむ。なぜ黙っている。何か隠さなければならない事情でもあるのか?」


「あっ、えっとぉ」


 トウマは俯き、どう答えたらいいのかと模索する。


「これは、少し質問の仕方を変えた方が良さそうだな」


 そう言いラガは、少し間をおき再び話し始めた。


「それが本当にルディ家の家紋なのか、この目でハッキリさせたい。申し訳ないのだが、君の剣をみせて欲しい」


「そ、それは……。それに剣は屋敷に入る時に、」


「そのことは分かっている。だが、人の物を勝手に持ってくるわけにもいかんだろう」


 そう言われトウマは更に焦る。


「た、確かに……えっと、分かりました。剣をみて頂いても構いません」


 断る理由を失いトウマは諦め渋々了承した。


(まぁ、どうにかなるかな。だけど、どう誤魔化そう。ハァ……)


 それを聞いたラガはニコッと笑みを浮かべ、ハミルにトウマの剣を持ってくるように指示する。


 ハミルは「承知致しました」と言うと、軽く一礼をして部屋を出て行った。



 その話を聞いていたウッピィは、不安になりトウマに思念を送る。


 “トウマ、剣をみせて大丈夫ですか?”


 そう聞かれトウマは、無言のまま首を横に振り頭を抱えた。


 “トウマは、口を滑らすことが多いので気をつけてくださいね”


 そう言われトウマは頷き、心の中でハァ〜っと息を漏らす。




 場所は移り__その頃レックスは、ムスッとした表情で屋敷の中庭の木のベンチに座っている。


「あークソッ、なんでだよっ!」


(なんで、あんなガキトウマなんかをマリエスが好きに……)


 レックスは納得がいかず、イライラし背もたれを右の拳で思いっきりドンっと叩いた。


(どうする? このままだとマリエスは、あのガキに持ってかれる。クッ、もっと早く俺が告白してれば、)


 考えれば考えるほどマリエスへの想いは募り、悔しさとトウマへの憎しみが増していく。


(やっぱり納得いかない。だが、……そうか! その手があった。まだパーティーまでには、時間があるしな……)


 そう考えが纏まると、ニヤリと笑みを浮かべ立ち上がる。


 そしてレックスは、その場を離れ屋敷の中に入って行ったのだった。


(これが成功すればマリエスは、恐らく俺の方をみてくれるはずだ。ただこの挑発に、あのガキが乗ってくればの話だけどな)

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