浜辺でのこと

「きゃああああああああああああああ!」


「もう、やりましたねっ!」


「はぁ……」


 俺は溜息を吐く。長閑な光景だった。海辺で遊んでいる美少女達を遠目で見る。実に心安らぐ光景であった。


 ついでに買ったビーチボールで四人は遊んでいた。その輪の中に入ろうとは思わない。見ているだけでいい。そんな至福な一時でもあった。


「鍛治師のお兄ちゃん」


 フレイムが話かけてきた。


「一緒に遊ばないの?」


「う、うん。いや、見ているだけでも俺は幸せだから」


「ええ~一緒に遊ぼうよ! その方がきっと楽しいよ」


 そう言われるとそれを否定するだけの材料を持ち合わせていない。


「一緒に遊ぼうよ」


「わーい!」


 フレイムは喜んだ。


「それ!」


 俺はボールを打つ。


「はい!」


 トスでボースが返ってくる。そんな目的も意味もない遊びだった。


 一通りボール遊びも飽きて終わった後の事だった。俺達は浜辺で各々遊んでいた。


「ソフィアのお姉ちゃん」


「なんですか?」


「おっぱい大きいね」


「え、ええ~! いきなり何を言うんですか。フレイム様」


「それっ!」


「えっ!?」


 ぷるん。フレイムはソフィアのビキニを剥ぎ取った。


「ぶっ!」


 突如、俺の目の前に撓わに実った果実のような、要するに大きなおっぱいが姿を表す。


「フレイム様!」


「やーい!」


「フェイ様! あまり嫌らしい目で見ないでください!」


 ユースが怒鳴ってきた。


「な、なんで俺が怒られなきゃなんだ! やったのはフレイムさんだろ!」


 理不尽だ。不可抗力で目に入ってしまっただけなのに。


「か、返してください! フレイムさん!」

 

 すぐにでも零れそうな大きな乳房を片手で抑え、ソフィアは走る。


「やーい! 捕まえて見ろー!」


 強奪したビキニを片手にフレイムはひた走る。


 そんな事をしているうちに時間はすぎる。もうすぐ昼時だった。


 ここで大きな問題に行き当たる。


「鍛治師の兄ちゃん」


「ん? なんだい?」


「お腹減った」


 火竜であるフレイムはかなりの大食漢だ。その為、大量の食料を必要とするのだ。


 俺は海で釣りをしていた。自前の釣り竿を持ってきたのだ。かつてエルフの漁師に貸し与えていた釣り竿だ。


「待っててよ! もうすぐ連れるから!」


 ピクピク! 釣り竿が反応する。


「よし!」


 俺は釣り上げた。


 イキの良い大きな魚が陸でピチピチと跳ねる。


「うわあああああああああああああ! 大きい魚! お兄ちゃん! ありがとう!」


「どういたしまして」


 こうして俺達は昼食を取る事になる。メニューは釣りで取った大量の海産物だった。焼いて塩で食べるだけでも素材の味がして十分旨い。


そんな事をしているうちに、海での一日は終わろうとしている。


「たまにはこういう日もいいですねぇ」


「ええ。本当です」


「本当です」


 三人も随分と休めたようだ。


 そして俺達は近くにあるコテージで寝泊まりをした。こうして休暇の日は過ぎていく。楽しい時間はあっという間だった。

 俺達はエルフの国に帰る。



「じゃああああねえええええええええ! 鍛治師のお兄ちゃん! また遊ぼうね!」


「じゃあねフレイムさん! バハムートさんによろしく!」


「はあああああああああああああああああああああああああい!」


 俺達を降ろしたフレイムは竜人の国に帰っていった。


「さて随分とリフレッシュできたし。仕事に戻るか」


「そうですね。私達の問題はまだ山積みですから」


「ああ」


 こうして俺達はいつもの日常に戻っていくのであった。

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