新天地を求めて
旧・ニクラム隊は『木組みの村』から離れた草原地帯に移動した。
『木組みの村』の者たちも戦意を
いろいろやらねばならないことがあった。
ニクラムをはじめとする幾名かの死者の
便利な毒消しなどもなく、イェードは止血などの効果があるとされる薬草を水と煮詰めた薬品を、ナイフが刺ささった左太ももに塗られて横になっていた。
たまにうめき声を上げるが、起きる気配もなく、周囲には心配そうに彼を見る者たちも居た。
おそらく、死にはしないだろう。
そう、薬品を扱う男がそういった。
確かにイェードは、戦いから半日近く経ってから起き、満足に動けるようになった。
ニクラムなど死者の埋葬は終わっており、ニクラム隊は、マルス隊と名前が変わっていた。
ニクラムは五〇年を生きた男だったが、最後はあっけないものだった。
マルスは成人してから大分経つ大男で、次の長としては、年齢から決まったのだった。
イェードは隊全体の取り決めに逆らうことはなく、そのままを受け入れたのだった。
驚いたのは、マルスを補佐する役割の
班長にも格上げされており、どういうことなのかと訪ねるイェードだが、人手不足なのと今までの活躍、判断能力からそう決めた、ということを時間をかけて残る二人の副長が説明した。
イェードはそれで自信をつけ、治療に礼を言って立ち上がって元気さを見せた。
問題は、さらにこれからどうするか、だ。
イェードが起きたのは、ちょうど日が登ったあたりで、すぐに話し合いとなった。
イェードを座らせて、マルスたちが話す。
報復はもう十分に為した、ということで良いだろう。
あの村(『木組みの村』)は半分は壊滅したので、これ以上の罰を与える必要はない、と。
イェードもそれに
周りを見わたせば、以前より多くの食料を運んでいることに気がつく。
『木組みの村』から略奪したのだ。
『もっと世界を見たい』。
イェードの素朴な言葉だが、負傷者の
移動を続けよう、そう決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます