Pulau Bali(出会いの意味)2020年
有野利風
第1話 Meaning of journey(旅の意味)
こんにちは。わたくしこと酒井拾膳は、カンボジアにあるシェムリアップから日本へ帰国して、早くも半年が経っていた。そろそろ日本にも疲れてきた頃なので、エナジーチャージをしなければと思いつつあった。
今回は、日本で疲れ切った僕の心身をいやすため、僕の唯一のパワースポットでもあるインドネシア共和国にあるバリ島へ渡航することにした。
僕と一緒にカンボジアへも同行したベトナムのハノイで知り会った山田とは、帰国後、何度か会って食事をした。山田も大学3年となり、就職活動が本格的に始まり、忙しくなっているようだった。
僕の仕事はといえば、出筆活動、翻訳の仕事、風水師の仕事など、講演会も含め、なんとなく日々多忙なタスクをこなしている。ただ、それだけだった。まぁ仕事にはやりがいを感じてはいるが、やはり知らず知らずのうちにストレスは蓄積されてくるものである。
そういう時というのは、僕はなんだか日本に疲れたと感じてくる。そろそろ肉体的疲労も精神的ストレス共に蓄積されつつあるころだった。僕の唯一のエナジーチャージができるパワースポットのバリ島へ行ってみようかと思ったのがきっかけで、今回、僕はバリ島へ渡航することを決めた。
バリ島への渡航回数は、今回の渡航する回数をあわせれば30回目であった。
これほどの回数を重ねての渡航であれば、バリ島の観光名所というところは、ほぼ行きつくしていた。実は今回の渡航では特別な目的がある。
後々わかってくることだが、このバリアンのヒーリング以外にも、今回の渡航には重要な意味が含まれてくることは、この時の僕は知る由もなかった。
現時点での目的は、バリ島有数のオーラチャクラの第一人者であるバリアンに会うことであった。事前に日本からヒーリング鑑定の予約も入れた。噂によると予約待ちで数ケ月待つということも、ざらにあるとのことだった。僕は気長に待つことにした。そうしたところ、ネット予約を入れてから思ったより早く取れ、一か月後で取れた。これでようやくバリ島への渡航日程調整ができることになる。
早速、仕事の調整を行い、どうにかバリ島への渡航日程を確保した。日程調整もうまくつき、フライトやステイ先のホテルのブッキングやらと渡航手配がテンポよくできた。
行きは成田国際空港から直行便で、デンパサールにあるヌングラライ国際空港バリ島まで行き、帰国は羽田国際空港着が便利なので、帰国便はジャカルタ経由で羽田国際空港までとした。以前は羽田空港からもデンパサールまでの直行便があったが、フライトスケジュール変更に伴い、羽田国際空港からの直行便が現在は廃止になっていた。少々残念なことではある。
ということで今回は、行きと帰りの利用する空港が違うこととなった。
以前はガルーダ・インドネシア航空を利用すると、機内で入国手続きをしてくれたのだが、そういったサービスもすでに終了していた。これまた残念である。
機内での入国手続きサービスがなくなると、現地に到着した際の入国手続きに、結構、時間がかかってしまう。というのも日本人の時間の流れとバリ人の時間の流れは随分と違っ
ているからだ。そんなバリ時間も僕の魂にはフィットするのかもしれない。
僕がバリ島へ魅了されているのは、理由はわからない。が、しかしバリ島へ到着すると、なんだか心が落ち着く感覚が、僕の体の内から湧き上がってくる。バリ島の空港へ到着するとバリ特有の香りが空港内から漂ってくる。香草のお香のような香りだ。その香りがバリ島に到着したという僕にとっての合図だ。
精神的に疲れてきてしまうと、バリ島というキーワードが、なぜか不思議と必ず頭へ浮かんでくる。いつもならば、山田が僕にくっついてくるところだが、お互いのスケジュールが合わず、今回は僕一人での渡航となる。
ここ何回かは、必ず連れがいたが今回は一人ということもあり、何が起こるのか楽しみであった。また、どんな人たちとの出会いが待っているのかを考えると、ワクワクのドキドキである。こういった出会いもまた旅行の醍醐味でもある。
それに今回は、更に仕事の調整がうまくいき、12日間の休みをまとめてとることができた。ここまでの期間休みを取ることは、ここ数年では大変珍しいことであった。僕は改めてバリ島で思いっきり羽を伸ばそうと決めた。それと同時にエナジーチャージもフル充電でするつもりである。
渡航の前日まで、いつものように仕事が詰まっており、デイリーの仕事のタスクに追われバタバタしていた。渡航準備ができたのは、帰宅後の深夜1時過ぎていた。つまり、渡航当日の早朝、実際、帰宅したのは23時を回っていた。
スーツケースだけは、あらかじめクローゼットから出しておいたため、後は荷物を詰め込むだけであった。常備薬以外は、最悪現地調達でもOKだ。渡航の前日は、いつもバタバタしているのだが、気分が抑揚しており、幸福感にみたされていた。
バリ島は何回も訪れている渡航先だが、今回も仕事の題材の探索拾いを兼ねての渡航のため、現地でパソコンの電源が必要となる。変圧機をいつものように真っ先にスーツケースへと入れた。
ここで、今回のスケジュールを紹介したいと思う。
1日目 成田国際空港 GA881便 11:00発➡ヌングラライ国際空港17:40着(現地時間)
日本とデンパサールの時差は、1時間ある。つまり日本時間では18:40ごろの現地着になる。
2日目 10:00 オーラチャクラ訪問のため、バリアンと会う。デンパサール市内打ち合わせ。
その後は予定なし パワースポット巡り(ウルワツ寺院・タナロット寺院など)
3~10日目 終日フリータイム。つまりノープランということだ。
11日目 AM フリータイム ヌングラライドメスティック空港 GA421便 現地時間20:00➡ジャカルタ着
現地時間20:55デンパサールとジャカルタとの時差は1時間ある。
ジャカルタ発 GA874便 23:15➡12日目 羽田国際空港着 8:50予定
ジャカルタと日本の時差は、2時間である。
今回もいつものようにちょこっとだけ仕事を兼ねてということもあったが、現地滞在日数も11日間と長く、スケジュールもゆっくりできる日程だった。最近は、ほとんどが仕事メインがらみのみだったため、僕にとっては弾丸スケジュールが定番となっていた。ちょこっと仕事を兼ねてといえども、バリ島は、僕のパワースポットで日本に疲れたときにはよく訪れる場所だ。今回もかなり楽しみである。
バリ島への渡航は、前回の渡航より5年弱の期間が空いているため、随分、現地も変わっていることだろう。10年前に初めてインドネシアへ渡航して以来、僕は毎年のように年に何回かは訪れていた。途中、5年ぐらいバリ島を訪れていない期間があった。
インドネシアもその間にBRICSといわれる国々の仲間入りをしており、経済が発展してきた。その繁栄した便利さに比例し、同時に昔ながらの良さである素朴さも失われてきているのは、実際のところであった。
僕が、初めてバリ島を訪れた頃には電力不足により、たびたび昼夜といわずに頻繁に停電になった。ところが、ここ数年はどうだろうか、停電などはほとんどない。経済発展が著しい表れだろう。経済発展をすることは、悪くないのだがそれともに現地のインドネシア人の素朴さが失われてくることは、非常に寂しい感じを僕は受けてしまう。
こう何回もバリ島へ渡航していると、自然と回数を重ねるごとに現地での知り合いも増えてきた。その中の一人に僕と同じ年のマルチンというスマトラ島出身の友人がいた。僕のバリ島への渡航が途中、10年の空白の間に彼とは疎遠となり、次回バリ島へ訪れたときに、すぐ会えると思っていたのが、ここ数年、彼の姿を見ることができていない。なんだか寂しい気持ちと、安否がどうなっているのかと心配な気持ちが入り混じっていた。
インドネシア人の寿命は、日本人のそれに比べるとかなり短い。今回もマルチンには会えないのかという寂しい気持ちがあった。以前あったインド洋津波いわゆるスマトラ島沖の地震である。その地震でもしやと思ったりもしたことがあった。ただ実際のところは状況不明だ。
人の出会いは、一期一会の縁というのがあると、その通りだと感じた。次回という約束は必ずしも約束されているわけではないと実感している。出会った瞬間に別れが始まっているからだ。その瞬間瞬間の時間が本当に大切だと実感している。
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