詩 やさしい神話

「やさしい唄をうたう為だったの」


あたりまえに

のどを せいたい を ふるわせる

振動は


やさしい心臓をとおって


あい と 呼ばずとも


あたりまえに

あたりまえに


そうだったと

知らないほど


あたりまえに


月日年月経ち

50年過ぎて

いつかすこし

空間に鳴る うた声 

かすれても


生命のあいを唄うために

人へのあいを

草木のあいを

人間のやさしさを信じて

やさしい唄をうたうように


「そんな風に声があるの。」

と、黄緑色の窓の枠に立っている

文鳥が神話を私に話すのです


目がパチンを冴えた


それは どうやら

五月の昼下がりに幻のように

蜃気楼(しんきろう)のように

夢うつつのなかの出来事のようだったのか

手掛かりが全くなく

真実なのか調べようが無いままなのです

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