第10話:後輩は欲望を隠さないっ!!
それはある日の放課後のこと。
「ん……んん……」
今日も今日とて俺と天野さんしかいない旧美術室に、先ほどから彼女の妙に艶めかしい声が響く。
「あ、ダメ、先輩……そんなに強くしちゃ……」
ビクンと天野さんの身体が震え、おっぱいがたゆんと揺れるのが見えた。
「ごめん。えっと、じゃあこんなもんか?」
天野さんと繋がっているところの力を緩める。
「は、はい……それぐらいで……お願いします」
天野さんの返事に頷くと、俺は彼女が痛がらないようにゆっくりと動かし続けた。
どれだけ続けただろうか、次第に天野さんの口から洩れる吐息が熱を帯びてくる。
「気持ちいい……先輩、気持ちいいです」
「そうか。それは良かった」
この日、俺たちはついに大人の階段を一緒に登った!
☆
ことの発端は例のプロテイン牛乳ブラ事件からようやく天野さんが機嫌を直してくれた4日前のことだ。
「先輩、明後日の日曜日なんですけど、一緒に美術館へ行ってみませんか?」
天野さんからそんなお誘いを受けた。
珍しいこともあったもんだ。いや、デートのお誘いが、ってことじゃない。そんなのは珍しいどころか初めてだよ、こんちくしょう。
そうじゃなく、天野さんがヌードデッサン以外の部活動的なもので積極的になるなんて、これはとても珍しいことだ。俄かには信じられない。当日は雨どころか、隕石も降ってきて人類が滅亡するんじゃなかろうか。
「あ、今なんか失礼なことを考えてますね?」
「いや、別に」
「ウソです。顔に『また何か企んでるのか?』って出てます」
そう言って天野さんのアホ毛が鋭い突きをかましてくる。痛いからやめれ。
「んー、まぁこれといって予定はないからいいけど」
「やったー」
「でもさ、どうしてまた急に美術館なんか。言っちゃ悪いけど、天野さんってあんまり芸術とかに興味ない方だよね?」
まぁ、それは俺もなんだが。
「はい。ですけどお母さんが『仲直りしたのなら美術館デートでもしたらどうかしら。せっかくの美術部なんだし』って言うんですよ」
「デートって……」
羽音さん、相変わらずぐいぐい押してくるなぁ。
「それにですね、実はうちのお父さんが芸術家だったらしくて。その作品が美術館に飾られているんだそうですよ」
「へぇ、そいつは凄い……ってちょっと待て。『芸術家だったらしい』ってどういうことだ?」
「私も昨日教えてもらったんです。昔からほとんど家にいないお父さんで、何の仕事をしているのか全然知らなかったんですけど、どうやら芸術家の魂を擽るモチーフを探して世界中を旅して回ってるそうですよ」
先輩のお父さんと同じですね、と天野さんが朗らかに同意を求めてくる。
言われてみれば確かにそうだけど、その年になるまで親の仕事を知らないってそこまで無関心じゃないぞ、俺。
「ちなみにお母さんとは高校時代の美術部で知り合ったとか」
「ふ、ふーん……」
その言葉を受けて、唐突に先日の羽音さんの言葉が頭の中に蘇ってくる。
『私なんかパパと会ったその日のうちに揉ませたわよぅ』
神聖なる美術室で何やってるんだ、羽音さん!←自分のことは棚に上げるタイプ。
正直なんだか嫌な予感がした。見に行くと何か大変なことになりそう。ぶっちゃけこれは羽音さんの仕掛けた罠だと頭の中で警告音が鳴り響く。
「あ、先輩、当日の天気は晴れみたいですよ。だったら私、お弁当を作ってきますね。美術館の中庭で食べましょう」
でも今更断れる雰囲気でもない。俺に出来ることと言えば、当日に隕石が降ってきて人類が滅ぶのを祈ることだけだった。
☆
そしてもちろん隕石が降ることもなければ、人類が滅ぶこともなく、天野さんのお弁当は美味しくて、ついでに言えば地元の小さな美術館ながらわざわざ常設展が置かれている彼女のお父さんの作品群もそこそこ楽しめたのだけれども。
「お父さんはいいことを言いました」
美術館デートの翌日、つまりは本日の放課後。旧美術室にて。
天野さんは昨日の美術館で手に入れた「天野喜明の世界」なるパンフレットを、彼女ひとりで女子中学生のバスト平均値を押し上げている胸の前で開きながら言ったのだった。
「先輩、私たちももっと触れ合いましょう」
俺に見せてくるパンフレットの一文には、わざわざ蛍光ペンが引かれている。
ああ、やっぱりそれ見つけちゃったのね……。
昨日はパンフレットを貰いながらふたりともすぐ鞄にしまい、中を見たりはしなかった。だから家に戻って、ふとパンフレットに目を通し「あ、これはマズい」と思ったものだ。
だって天野さんのお父さん、よりにもよって
『私は見るだけでなく、触ることで絵の対象をより理解するようにしている』
とか言ってやがるんだもん。
ちなみにこのやり方に気付いたのが高校生の頃だったとか。
おいおい、それってまさか羽音さんのおっぱいを揉んだのがきっかけだったとか言うんじゃなかろうな?
「見るだけでなく触る。それでもっと理解出来るとは盲点でしたね」
「あー、そうだな。一見すると深いこと言ってるなと思うよなー」
「さすがは私の尊敬するお父さんです」
「そのわりにはこの前までお父さんの職業も知らなかったけどなー」
「てことで先輩、触らせてください」
「いや、ちょっと何を言ってるのか意味わかんない」
「つべこべ言わず脱いでください、先輩っ!」
鼻息を荒くした天野さんが俺のズボンに手をかける。
あっと思う暇もなかった。いや、素直に言えば、いきなり目の前に跪いて股間へ顔を近づかせるその構図に、たまわず「エロい!」と思う暇ぐらいはあったかもしれない。
とにかくドキッとして一瞬動けなかったのは確かだ。そしてその硬直を見逃さず、天野さんが一気に俺のズボンを降ろす。
しかも勢い余ってパンツと一緒に。
「ああ、先輩のここ、実は前から一度触ってみたいと思ってたんですよね、私」
「や、やめろ、天野さん。そんなことしたら取り返しのつかないことになるぞ!」
「先輩、これも芸術の為です」
「だ、ダメだ。いくら何でもそこから先は『芸術です』では言い訳が出来ない世界に……あっ!」
うっとりとした表情を浮かべた天野さんの熱い吐息を、敏感になっている俺の秘密機関が感じ取る。
情けないことにビクッと体が反応した。ううっ、悔しいけど感じちゃう、びくんびくん。
「では、触らせていただきますね」
「……え? あ、いや、ちょっと待て。マジでこれ以上は!」
お決まりのギャグを頭の中でかましている間にも、天野さんの欲望は今まさに成就の時を迎えようとしていた。
「……すごい」
ついに天野さんの両手が俺のをそっと包み込むようにして触れる。
「すごく硬いです、先輩」
「…………」
「それに大きい」
「…………」
「ああ、これが先輩の……」
「…………」
「黄金の左足なんですね!」
「…………うん、だと思った」
俺の身体で天野さんが触りたいところなんて足に決まってるし。知ってたし。全然がっかりなんかしてないし!
てか、足を触りたいだけなのにどうしてパンツまで脱がしたんだ、天野さん!?
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