24歳、男性。Vtuberを始めるも、女性ファンより男性ファンが多い件について。

Rabbit Queen

第1話 見た目はショタ。声はひっくい。

あらすじ。


 私こと紅雹夜(Vtuber名義)はオンラインゲームで知り合い今年で5年の付き合いになる唯一の友人、通称おっさんに深夜テンションのノリと勢いで「キミをVtuberにさせたる!」と言われる。いつもの冗談だろうと思いつつはいはいと答えた私だったが、後日おっさんから電話が来る。


 その内容がVtuberを始める日とどういう設定でキャラを作るかだの、必要なものは送るから届いたら確認してくれだの言われ混乱しつつ勢いに負け了承してしまう。そして運命の日、配信用に既に設定されてあるPCを前にしてようやく事態の重要さに気づく。しかしもう後には戻れない。


 このPCもマイクも全ておっさんが(勝手に)用意した。後は私が配信ボタンを押して喋るのみ。机の上のモニターには自分のもう一つの姿となる少年が声が吹き込まれるのを今か今かと待ち続ける。私は覚悟を決め、配信ボタンをクリックした。



 ニート歴10年。24歳、男性。


 Vtuberを全く知らない私が、がんばります。


 



 結果から言えば、多分成功だったと思う。うん。Vtuberとして見るのなら恐らくは失敗。いや、大失敗か?同時視聴者数は50人。登録者数は15人。これが企業に所属していたなら間違いなく歴史に残るレベルだったと思う。お試しという事で個人で始めさせたおっさんはやっぱり有能だった。おっさん is god。神は存在していた。


 Vtuberとしては大失敗だったけれど、個人的には成功だったと思っている。問題なく話せたし。思っていたよりも気負わなくていいって事がわかったおかげで楽に配信が出来た。とりあえず、しばらくは雑談配信でもしてVtuberというものに慣れないとなぁ。あと、声。


 初配信だったけど、ちらほらとコメントは貰えた。嬉しかった。でもまぁ、予想はしていたけど大体のコメントが声についてだった。



 「とりあえず、しばらくは雑談配信をのんびりやろうと思っているのでよければお付き合いください」


 

 :個人的に声がすごい好み。俺男なんだけど。

 :俺も男だけど、これは良い声だと思う。

 :うん、声はいいと思う。ただ問題は……

 :これイラストと声合ってないですよね?

 :見た目ショタなのに喋りだしたらドスの利いた声で草。

 


 そう、声とイラストが合ってないのである。ドスの利いた声がちょっとわからないけど、確かに自分は低い声だと自覚はしてる。だから初めてイラストを見た時は驚いた。


 「これ……いいのか?声と合ってなくない……?」


 どう考えても合ってない。コ◯ンくんから大塚◯夫さんの声がするレベルのやばさ。これ書き直してもらったりできないのかな?このイラストに勘違いして来た人が可哀想だ。携帯を取り出しLINEを開く。おっさんとのトークをタップして、イラストどうにか出来ないかと打っておいた。そのうち返事が来るだろう。


 んぅー……ひとまず初配信無事終了だな。配信記念&無事終了したということで今日は特別にココアを飲もう。おかわりもあるぞ!



 それから、その日は軽くネットサーフィンをしてから普段やっているFPSゲームを弄り眠った。次の日、携帯を開くとおっさんの返事があったと通知が光っている。内容はイラストについてだったが、「面白そうだからこのままでおk」とだけ書かれていた。


 それでいいのか?……まぁいいか。ヨシ!


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る