第19話 朋樹とぷりん

 真宙がドアを開けると、テーブルに座っていたぷりんの視線が飛び込んできた。友人の反応が少し気になった真宙は、思わず顔を横に向ける。すると、朋樹の顔は何故だか少し嬉しそうに見えた。

 一方、招かれた真宙の友人を目にしたぷりんは、そんな彼女に向かって陽気に手を上げる。


「朋樹ちゃん、久しぶり! 今日はどうしたの?」

「えっ?」


 どうやら朋樹とぷりんは面識があったらしい。この衝撃の事実に、真宙の頭の中ではてなマークが量産されていく。友人が動揺しているのを目にした朋樹は、すぐにそのネタばらしをした。


「あのさ、実は知ってたんだよね。真宙の家のぷりんちゃんの事」


 カミングアウトした彼女は、すぐにぷりんの傍に駆け寄って両手でハイタッチ。楽しそうにしている2人を目にした真宙は、目の前の状況に理解が追いつかない。ただただ表情をこわばらせて、その場に立ち尽くしていた。


「どう言う事なの?」

「えっと……」

「ぷりんちゃん、私が話すよ」


 朋樹は振り返って友人の顔を見つめると、何故ぷりんと知り合いなのかの説明を始める。彼女はよく家族のために買い物をして帰るのだけれど、その時にお使いで同じスーパーで買い物をしていたぷりんと仲良くなったのだとか。


「ぷりんちゃんは私が悩んでいる時に声をかけてくれてね。そこから仲良くなったの」

「へ、へぇ……」

「ごめんね。別に内緒にしていた訳じゃなかったんだけど……」


 こうして事情も分かって、その後は3人でゲームをしたり、漫画を読んだり、流行りの色々な話をしたりと、仲良く日が暮れるまで楽しく過ごしたのだった。


「楽しかった。また遊ぼうね」

「またね~」


 ぷりんと朋樹が仲良く別れの挨拶をする中、何となくその挨拶の流れに割り込めなかった真宙が微妙な表情を浮かべる。


「何で朋樹と知り合いだって言ってくれなかったの」

「今日会う友達が朋樹だって言ってくれてたら話したよ?」

「うぐ……」


 真宙は、自分が墓穴を掘った事を自覚して顔を真っ赤に染める。それからは何も言わずに自分の部屋に戻って、しばらくの間そこから出てこなかったのだった。

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