エモクロアTRPG「源子ノ投影」
※この感想記事には、シナリオ「源子ノ投影」の重大なネタバレを含みます。2022年10月30日、11月5日に行われたセッションの感想記事です。
久しぶりのエモクロアTRPG! 大体4か月ぶりぐらい? 今回で4回目の参加となりますね。こうしてみると結構PLで遊ばせていただいております。やっぱりエモクロアTRPGはシステムとしての柔軟性が高くて、いろいろ遊べて楽しいな……そして凄腕DLとPL達に囲まれ今回も神卓でした! というお話。
◆DLさんについて
こちらいつものベーゼンDL。ガチガチバトルシステムのGMっていうイメージがあったんですが、最近はエモクロアTRPGやスカイノーツ(は一応戦闘あるけど)など、シナリオというかPC達の関わり合いに主軸を置いたシステムを遊ばれてる印象があります。これまでの感想から、すでに神GM(DL)であることは皆さんご存じのこととは思いますが、今回もココフォリアの演出やNPCのRPがすごいのよ! あと、PC達の設定をうまく拾ってシナリオに組みこむのはもう最強格のGMさんの一人……!
実は今回のシナリオは、オリジナルからちょっと改変されているそうなんですが、全然違和感なく、PCたちの設定なんかにうまくフィットする形で整えられていたのはすげぇな……って思いました。強い。
◆PLさんについて
今回のシナリオは3PLでの進行となっております。何気に3人PLは経験少ないかもしれない。
◯PC:鈴鹿 百合子(すずか ゆりこ/14歳/中学生/女性) PL:フーカさん
黒髪おさげの文学少女……に見えるバリバリの腐女子中学生。しかも一人称が『俺』で弓道部に所属する見た目に反して割とバイタリティの強めな少女。普通に強い。見た目はおとなしそうなのに、話してみると結構イケイケな腐女子(ただし身内のみ)という子で、めっちゃ面白かったですね……! なお今回のHO1。
趣味はクラスメイトの男子でBLな妄想をすることという、生ものOKな剛の者。中学生でこれは強すぎんだろ……。なおHO1と関わりのあるNPC「上野 敦」くんとは、自分の妄想小説(敦×男性教師)を見られ死んだと思ったら、意外なことに敦君が続きを要求するようになり友人関係になった……という火力高めな出会いの物語となっております。リアルでそんなことになったら見た奴を殺して自分も死にますね!
で、それ以来BLな創作活動を通じつつ敦との友好を育んでいたわけですが、今回のシナリオ中に「敦くん(♂)」が「敦ちゃん(♀)」だったという驚愕の事実(私も聞いたときはショックを受けた)を知り、あわや解釈不一致からのサードインパクトが起きるかと思われましたが、「ボーイッシュ女子と男性教員の物語……? ありだな!」と新たな扉を開かれてアポカリプスは回避されました。やったね(?)
今回、エンディング後にちょっとした後日談が設けられておりまして、二人は夏の戦場であるコミケに参加しておりました。そしてその場で、敦ちゃんが実は絵の勉強中だということが発覚。二人でタッグを組んで同人活動やろうよと、仲良くなっていくさまが描かれていてとてもほっこり。未来の壁サーになるんだろうなぁ……。いつか二人のサークルに突然現れて、出版物を買ってみたさがあります。滅茶苦茶楽しそうや……!
◯PC:不来坂 菫(このさか すみれ/14歳/中学生/女性) PL:三色さん
黒髪ボブカットの少女。眼鏡ちゃん。ところで今回、PC全員眼鏡かけてたんですよと、PLの三色さんに卓開始前に指摘されて気が付きました。ほんまや……。見た目はおとなしくて、こちらは見た目通りにおとなしい子です。因みに菫ちゃんも二次創作を嗜んでおり、今回のPC達結構クリエイティブな活動にいそしんでることに気が付きました。今回のHO2。
HO2である菫ちゃんはNPCである「日守 藍」と友人なのですが、この二人性格が正反対なのですよね。クラスの中心人物で明るく社交的、皆の憧れで男子からの告白も絶えないようなキャラである「日守 藍」の裏の顔を、ひょんなことから知ってしまった「不来坂 菫」。このことから二人は少しずつ接点を持ち始め、お互いにお互いのことが気になるようになり魅かれていく……百合の花、か。素晴らしい……。
二人ともお互いに「素の自分」を認め合っているのがいいですよね。それに菫ちゃんが藍への独占欲を持っていて、時折それがにじみ出てくるのが実に湿度高めでPLにっこりでした! 百合子ちゃんもまた敦への独占欲を少なからず持っていたとは思うんですが、同志でありオープンに連帯を持ってるのに対して、菫ちゃんはやや一方的な感じで、でも藍はそれに気が付きつつ同じように独占欲を発揮してるのが深い沼の底に沈んだ百合って感じで奥深かった……。
後日談では好きな人のタイプの話が出てきて、全然タイプでもない違う奴の名前を挙げて周囲をごまかしつつ、でもお互いは分かりあってる空気だしてるのホント秘密の花園だった。因みに名前だされた奴はとんだとばっちりだった模様。この二人、高校大学と進学しながら、どんどん深みにはまっていくんだろうなぁって想像できてよかったですね……。
◯PC:兎耳山 陽葵(とみやま はるき/14歳/中学生/男性) PL:とたけ
私のPC。眼鏡ボーイでクラスの中心からちょっと離れたところでにぎやかししてるような男の子。涼宮ハルヒでいう所の国木田。ヒロアカでいうところの尾白くん(この例えは伝わるのだろうか)。今心の中でモブって言った人には呪いをかけておきます。今回のシナリオではHO3。
PCの話から全然話変わるんですが、私ラージナンバーのHO大好きなんですよ。HO制のシナリオって、大体物語のメインにはHO1やHO2の若い世代のスモールナンバーを据え、ラージナンバーは彼らの保護者みたいな立ち位置になることが多いじゃないですか。そういう時、大体ちょっと年の入ったおっさんを引き出して、訳知り顔でうんうんうなずいたり、時折昔取った杵柄的な空気を出しつつHO1やHO2なんかの若い世代のアシストをするんですね。で、大切な所はよろしくとバトンタッチ(という名の丸投げ)をすることが合法的に許されてる立場だと勝手に思ってます。
要するにシナリオに関わる動機は比較的薄くて、主役であるHO1やHO2なんかの傍で盛り上げたり支えたりする脇役(はかなり言いすぎだが)みたいなポジションが好きなんですね。何故なら激情に駆られたり打ちのめされたりするスモールナンバーPC達を一番近くで、しかも関与できる立ち位置で、彼らの流したりする涙を眺めることができるわけです。超特等席じゃん? 少年少女の流す涙なんて甘露じゃん? 舐めたら絶対甘いじゃん??
と、そんなことを想いながら今回は「人間観察が大好きで、人の弱みとか強みを握りにこにこ笑いながら裏で糸を引くような情報屋」みたいな感じの属性を陽葵にはぶち込んであります。いわゆる腹黒属性みたいなものです。年齢については今回全員中学生縛りだったので14歳ですが、何もないと自動的におじさん……まではいかないくてもお兄さんくらいの年齢のPCにしてたでしょう。
一応、HO3にもNPCとのかかわりが仄めかされていたのですが(今回のシナリオの改変部分らしい)、過去小さなときに「源子村」に行ったことがあり、そこで誰かと一緒によく遊んだおぼろげな記憶がある……というもの。ははーん、他の二人と違って特定のNPCとかかわりもない様子。どうやら村への先導役としているのですね、OKOK! と、ウッキウキで村に行き、予想通りNPC達の爆弾のような情報が公開されて戸惑ったり決意したり覚悟したりするPCやNPCのうめき声を、隣の部屋から吸引していたわけです。それはもう芳しい香りでして、彼ら彼女らの苦悩を吸い上げながら「くく……HO3の私、高みの見物」とか思ってたわけです。PCの設定も人間観察大好きなので、多分私と同じ気持ちだったことでしょう。
しかしどういうことでしょうか、シナリオが進み、現れた第三の少女こと「本島 重」は、陽葵の過去に出てきた人物であり、しかも彼女から分かたれたのが「藍」と「敦」という話ではありませんか。これにはもう驚きでした。椅子に座って高みの見物をきめてたら椅子を引っこ抜かれた感じです。
陽葵は過去の思い出の中で、重と一緒にひと夏を共に遊んだことがあったのですが、「また来年も来るね!」と約束したのにそれ以来こなかった(村に住んでいたおばあちゃんが亡くなってしまったので)という傷とも言える思い出を用意していました。その思い出はちょっとした心残りとして、記憶の片隅に座り込んでいたわけですがその設定をうまくDLベーゼンさんが活用してきたわけですね。おのれDLめ……まさか過去設定で刺してくるとは! もう違法でしょ!!!
そこから先は高みの見物改め、泥と血に塗れボロボロになりながら(実際HPは削れた)重を守るための激闘が始まりました。まさか私にもこのような舞台を用意してくださるとは……とても嬉しい! 最後は無事に、重から分かたれた二人をそれぞれの人格として存在させ、3人が歩みだすエンドへと進むことができました。これには本島おじいちゃんもにっこり。
後日談で重は、HO2,3の入る学校へと転入してくるのですが、陽葵は重との空白期間がとても長かったうえ、重も「普通の生活」になってから自由に生活するのは初めてのことだと思うので、二人とも周りがやきもきするぐらい慎重な進展をするのではないでしょうか? あんまり陽葵がガンガン行くところは想像できないので、そのうちに環境に慣れてきた重から、ガンガンアプローチがきてたじたじの陽葵という構図が見れそうです。しかも周りがそれを囃し立てそう。
重の過去をしってしまった陽葵としては、誰に縛られることもなく、自由になった今だからこそ、過去知り合った自分に捕らわれずに、好きなように生きてほしいと考えているかもしれません。陽葵としては親が離れ離れになり、文字通り身も心も割けてしまった重の、あの時期に自分と出会ってしまったのは一種の刷り込みなんじゃないかと後悔の念もあるでしょう。その陽葵の思い込みと重の想いがどういう物語になるのか、想像するのも楽しいですね……シナリオが終わっても美味しい!!
◆シナリオについて
ひと夏の記憶、ひと夏の冒険。ボーイミーツガール、青春強めなさわやかシナリオって感じでした! やっぱ大切な人との物語を爽やかに描くのに、真夏・村・友人っていう要素は滅茶苦茶強い……。一歩間違えるとめちゃホラーになりかねないところもありますが、それはそれで命がけの夏を過ごしたっていうつり橋効果が生まれると思うので良しとしましょう。
シナリオとしては、「本島 重」から分離した二つの人格、「上野 敦」「日守 藍」を中心に、彼らを統合するのか、それともそれぞれの個として認めるのかを問うのが主軸の物語といったところでしょうか。
基本的に情報収取は結構やさしめで、さくさく周れてその分RPなんかに時間がさけたのはとてもよかったですね! 最初は「上野 敦」か「日守 藍」のどちらかが主体で、どちらかが陰と思わせるミスリード部分も、後に出てくる「本島 重」の存在を際立たせるのに一役買っていて、すごくよくできたシナリオだなぁと思いました。実際、「本島 重」の存在を知るまではどっちが本体だ? と思ったりしてましたし。
細かな部分でじっとりとした因習村の雰囲気や、本島おじいちゃんの過去の話、重の自分が死んでもいいから分身である二人は生かしてあげたい……など、重めで暗めの過去も出てくるのですが、やはり夏っていうシチュエーションが最後にすべて拭い去ってくれるのは強いですね。後味爽やか! もし3人を統合するような展開になったとしても、それはそれで物悲しい夏の終わりを示すような演出になって、PC達も一つ大きく成長した、と終われてよいのではないでしょうか?
まとめると、物語としては結構シンプルで、分かりやすいけど単調ではないっていう、個人的にはとてもバランスの良いシナリオだったかなぁと思います。逆にすごく尖った部分もないといえばそうなのですが、遊びやすく、さくさく進むのでRPや茶番に時間をさけるので私は好きですね。お手本のようなシナリオで、万人にお勧めできるシナリオです!
さて、そんなシナリオですが(いつもの販促)
こちらのboothにてシナリオが販売されているそうです! なんとシナリオ以外にもMAPのpdfや主要なNPCの立ち絵、スチルなども合わせての販売とのこと。最近はめっきり寒くなってまいりましたが、そんな寒さを吹き飛ばすような爽やかなシナリオはいかがでしょうか?
https://booth.pm/ja/items/3147678
といったところで、改めましてDLをしていただきましたベーゼンさん。そしてPLのフーカさんと三色さん! おつかれさまでした!!
最近、いろんな人から美味しい卓を頂いておりますので、今度はこちらから卓返しをさせていただきたく思いますので、その時はよろしくお願いいたします……!!
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