第2話

始まりはお蕎麦屋さんの出会いから1ヶ月後の

暑い夏のお昼休みだったと思う

『今度食事にいきませんか。』

『喜んで。』

その頃私は、会社の経営に関わる訴訟ごとを

抱えていた

加えて15年交際している彼と些細な事から

喧嘩中でもあった

元夫の経営する会社の役員として働き始めたのは3年前である

社長である元夫は3代目で、争いごとの嫌いな人

婚姻中は怒られた事もない

余談であるが、日本の中小企業に寄生するコンサルタントとは本当に役に立たない

かくいううちの会社も、銀行から派遣されたコンサルタントがいた

何故コンサルタントのことを話したかと言うと、訴訟先の経営の悪化してるその会社には

無能なコンサルタントがいた。

その1ヶ月の報酬は30万だった

3年で1,000万支払っているのに全く経営は改善されない

ところで先程の訴訟先とは、うちの会社の本家というか創業家の社長だ

元夫のいとこであるが、本家の長として君臨していた、と彼は思っていた

なので、私をあらゆる言葉で攻撃してきた

負け犬の戯言としか感じなかった

戦後創業して、横浜では少しは名の知れた会社だったが、先代が早くに亡くなり今の社長になって、バブルとリーマンと、経営能力の低さで

沈没間際になっていた

加えて、メインバンクの地元地銀の幹部とこの社長、友達と言うだけで多額の貸付をされていた

訴訟中に、その地銀の副頭取

『5億くらい、俺の一存で損切りできる!』

と言ってきた

サラリーマンは5,000万の家を一生かかって買う

10人のローンを、無しにしてあげてほしいものだ

金融庁に告発しようと本気で思った

この訴訟、うちの社長は何も言えない

弁護士と私で戦っていた

そのアドレナリンで、新しい恋が始まったのかと思う




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る