第14話

俺が買いたい物は一通り買い終えた。

さっき買ったラノベをはじめ、アニメのフィギュア、朱莉やゆあが買った服、数本の漫画など。

今思えば、ほんとに朱莉のお金で買っていいのだろうかと疑問になってくる。しかもタダで。

朱莉は「大丈夫ですよ。欲しいものは欲しい時に買った方がいいと思うので、別にお返しとかはいいですよ?」と、笑顔で言われてしまう。

でも、なんかな......その、罪悪感と言うかなんなのか。

まあでも、そんなことよりももっと楽しんで買った方がいいと思うので、そのことについてはしばらくの間忘れることにする。

「大体終わったかな......二人とも、まだ欲しい物とかある?」

と、通りを歩きながら朱莉とゆあに訊いてみる。

「私は......あの、コスプレの物が欲しいなぁ......」

ちょっと遠慮がちに言うゆあ。

「はいよ、朱莉は?」

「私は特にないですけど、その悠真さんに見てほしいものと言うか、あるんです」

「へえ、どんな?」

「その、秋葉原で有名なのかは分かんないですけど、メイドです」

メイド......たしかに、秋葉原と言えばぐらいの知名度だもんなメイドって。

メイド、いわば奴隷......といったらおかしいけど、家事とかを全般的にやってくれる、係りの人みたいなイメージ。

「ああ、聞いたことはあるよ。でも、実際に見たことはないな......」

「でしたら、ゆあの買い物が終わったら見にいきましょう!」

「うん、分かった」

最初は、ゆあが言っていたコスプレ用品から。

俺たちは、近くにあったコスプレショップ的な服屋に入って行った。

まあもちろん、俺はこんな所に入るのは初めてだし、それに秋葉と言うオタク文化の頂点と言ってもいいようなところのコスプレショップなんかもってのほか。

コスプレショップと言っているが、どうやら一階は普通に男性もの、女性もの、子供ものと言う、よくある感じの服屋になっていた。

で、肝心のコスプレショップと言うのは、この建物の二階部分。

二階部分に来た俺たちは、さっそくそのコスプレと言うのを見ていった。

コスプレ用品って言っても、結構たくさんあるんだな......。

いや、実際にたくさんあることは知っていたけど、ここまで多いのかと正直びっくりしている。

「というか、ゆあはコスプレってどういうときに使うの?」

俺は、コスプレはどういうときに使うのかを知らない。

というか、知らない方が普通なのか。

「えっ?......えへへ、ないしょー」

ゆあは、ちょっと悪戯っぽく笑う。

「ええ......まあ、いいけど」

コスプレ姿の幼女か......例えば、アニメのコスプレだったり、二次元ロリのような服とか、猫耳もいいかもなぁ......おっと、妄想が......。

「あっ、ゆあも買うなら私も買っちゃお。あ、もちろん悠真さんのためにですよ?」

「えっ?俺のため?」

もちろん俺はその言葉に困惑する。

つまりは......朱莉がコスプレしてくれるっていうのか!?

わぁぁ......楽しそ。

猫耳の朱莉だったら......


「にゃあー、今日から私は悠真さんの猫にゃ~」


かわいい......。

普通にかわいい。そりゃあそうか、元がかわいいもん。

で、ゆあの場合は......


「んにゅぅ~、お兄ちゃんの膝の上でゴロゴロ......にゃー」


............うん、最高。

ゆあに関しては、ちょっとえっちな事を入れてきそうだけど......。

まあ、それがいいんだよ!!

......誰に言ってるんだ俺は。

いかんいかん、妄想が激しいな......で、何してたんだっけ?......ああそう、コスプレね。

妄想しすぎて、自分何やってたかを忘れるほどの妄想癖......直した方がいいかなこれ。

「悠真さんの為に買うのは、もちろんコスプレした私を見てほしいからですっ」

当たったじゃねぇかぁぁ!!よっしゃぁぁぁぁ!!



..................落ち着け。


「え、ええと、俺の為にコスプレしてくれるっていうの?そ、それは嬉しいなぁ......」

内心では、1000%嬉しいんだけどね!!

「悠真さんが喜んでもらえるように、ちょっと頑張って探してきます!」

「う、うん、あんまりはりきりすぎないでね?」

「はい、それではちょっと見てきます!」

朱莉はそれだけを言い残して、この店内を隅から隅へと見ていった。

「ねぇねぇお兄ちゃん、お兄ちゃんはどんなコスプレが好きなの?」

と、今まで俺のそばにいたゆあが、俺の服の裾を引っ張って訊いてきた。

「好きなコスプレねぇ......うーん、これと言ってないんだけど......というか、ゆあが着たコスプレだったら、なんでもいいと思うけどね。全部似合うと思うし」

「そ、そうなの?......分かった、じゃあ朱莉と同じく好きなの買ってくるね」

「うん、行ってらっしゃい」

俺はゆあに手を振ると、ゆあはそのまま店内を歩いて行った。

俺も何か、どんな服があるのかぐらいは見たいと思い、少し手に取ったりして見てみたりした。

小説を書いている身としては、こういうコスプレとかっていうのはあんまり小説の資料にはならない。

どちらかと言うと、こういうのはイラストレーターとか、漫画家とかがやることである。多分。

漫画は、イラストが付いている分、こういう参考になるようなものがあると書きやすいと聞いたことがある。たしか、友達との話で。

イラストレーターもおんなじような感じかな。

でも、小説、俗にいうラノベというのは、字である。

というか、ラノベも挿絵はあるけどもさ......でも、基本的に文章の世界じゃん?

その文章で、いかに読者にその状況、そのストーリーの内容が伝わるかどうか。

漫画に関しては、文章だけではなく、絵があることから、その絵からも「どういう状況なのかな?」「ああ、こういう内容なんだ」と、はっきりと分かる。

まあ、説明としては薄いかもしれないが、とりあえず、こういう服とか物というのは、小説に関して言えばあまり参考にはならないという事である。

......ちょっと、長くなったかな。しかも、ちょっと話ずれたところあったし。

そんなこんなしている内に、30分ほどが経っていた。

そんな時、朱莉とゆあが俺の所に戻ってきた。

「どれがいいかなと迷って、この5つぐらいにしておきました」

「私はこれー」

「へぇ......いいじゃん。そのコスプレは、家に帰ったらじっくりと見るよ」

「うんっ」「はいっ」

元気に答える朱莉、ちょっとおとなしげに言うゆあ。

どちらもかわいいです。

「それじゃあ、朱莉が言っていたメイドの所にいこっか」

俺はさっさとその服を買いこの店内から外に出て、朱莉が先導をして俺とゆあはその後ろをついて行くことにした。








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