第4話

「沙莉すぐ寝ちゃったよ。」

沙莉を寝かしつけて戻ってきた豪君に、私はコーヒーを渡した。

「小学校始まってやっと1週間だからね。楽しそうにしてたけど、やっぱり気は張ってるじゃないかな。」

「明日からせっかく休みだから、どこか連れて行こうかと思ったけど、やめた方がいいか。」

「いや、朝にはいつもみたいに元気いっぱいよ。小学生の体力はすごいんだから。」

「それもそうか。」

豪君は納得したようにソファーに座ると、私を見つめ、隣を叩く。

私もコーヒーを持ち、隣に座ると豪君の腕が私を引き寄せた。

「ちょっと、コーヒー零れちゃう。」

「あ、ごめん。」

慌てて豪君は私の手からコーヒーを取り、テーブルに置いた。

「じゃあ、改めて。」

そう言うと私を抱き寄せ、頬にキスをした。

「豪君・・・。」

「久しぶりに早く帰ってこれたんだ。杏子。」

そう言うと私をゆっくりソファーに押し倒した。

「愛してるよ、杏子。」

「・・・・私も。」

豪君は私の頬を満足気に撫でると、服に手をかけた。


久しぶりに豪君と肌を重ねた。

変わらず私を大切に、本当に愛してくれているように。

「杏子、好きだ。」

「私も、好きよ。」

私の返事に嬉しそうに豪君は微笑む。


”好きやで、杏子。”


「!」

ビクッと肩を揺らすと、豪君は驚いた様に私を見つめた。

「杏子、痛かったか?」

「え、ううん。」

「そうか。ごめん、疲れてるのに。」


”杏子、最高に可愛ええよ。”


やめて。

今目の前に居るのは、私が好きなのは。


「杏子?」

私は心配そうに見つめる豪君に抱きついた。

「杏子、大丈夫か?」

「・・・・いて。」

「え?」


私が愛したのは豪君。

あんな浮気を繰り返した男じゃない。


「豪君、抱いて。もう1回、抱いて欲しいの。」

「杏子・・・・」

豪君は躊躇いながらもまた深いキスをした。


お願い、掻き消して。

そうじゃないと昔の自分が出てきそうで。

私はただひたすらに豪君を求めるようにキスを繰り返した。



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