第2話意外とピッタリ

 私はクミさんから逃げていた。

「待てソロミャウ!」

 どうやっても先輩の方が遅いので私が合わせて走っていると、


 何をしている早くいけ!

 え?でも、、構うないけ!

「ソロ捕まえた!何カッコつけてんの?」

 私を逃がすために捕まった先輩はじたばたしながら私に叫んだ。


 お前には語ることがあるはずだいけ!

 キャラにないことしている先輩を置いて私は走る。

 何だってこんなことになってるんだろ。

 検討もつかない。


「これで良かった?ソロ」

 あぁ上出来だ。


 何だかんだあの二人は息合うんじゃ、、


 何を言っている私の主人は

「私の彼氏は」エリィただ一人だ。


 何言ってんの息ピッタリじゃん。


 誰がこんなメスと、、

「ソロ。やっぱり嫌かな?私とじゃ」

 あ、いや、その、


 先輩は以前より言われていたクミさんと暮らす話をもう一度聞かれていた。

 先輩の主人は仕事の都合上家にいないことも多く、満足に飼えない状況が増えていると以前クミさんは聞かされていた。

 たしかにそれが続けば先輩は元の捨て犬生活に戻ることになる。


 でも、無理に引き入れるべきじゃないと私は思うんです。


「ミャウ。そうだね、私も何がいいかなんてわからないけど、もう少し待ってみるね?たまに遊びに行ってもいい?」


 ミャウ。クミ。ありがとう。

 この件は少しアトリエで考えさせてくれ。

 それより主人を待たせては悪い。

 風呂へ急ごう。


 もう先輩の主人は観念してお風呂に向かっていた。


 大浴場の名に相応しい奥行きのある浴場は普通にホテル並みのスケールだった。

_普段これに一人で入っているのか。

「寂しくないよ。もう慣れた」

 遠く霞む湯気の中には今日は一人男の姿が見える。


 身じろぎする音さえ遠くて届かない入口付近。

 私達はかけ湯をして向かう。

 しばらく歩くと体温が下がり始めた。

 ところでかけ湯がもう一箇所あった。

 クミがここでもう一度かかろうと言う。

 不自然だとは思ったが、

「遠いから風邪引くといけないしって昔お母さんがね?」

 まさかの中間地点だった。

 さて、主人の逞しい背中が少しずつ見えてきた頃、

「あぁドキドキする」

 意外だなクミでもそんなことがあるのか?


 スカンッ


 殴られた。

「私は女だよ?「しかしクミだ」

 食い気味に言うともう一度、

 今度は平手だった。


 今じゃ見る影もありませんね?

 クミさんが動物嫌いだなんて。

「私もねソロだけかなと思ってたよ」

 語りはあとにして早く行ってあげませんか?

 あのままにしとくとエルリックさん茹でられてしまいます。


 それはマズいな。

 いくぞクミ!

「ちょッ待ってよ!」

 申し訳程度に巻かれていたタオルというかバスローブというか、何だそれは?

 いつの間に着込んでいた。

 今から入るんだ脱げ!


ミャッ


 う!

 何をするミャウ。

 

 クミさんは恥ずかしいんですよ。

 察して下さい!


 

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