第43話

 「ゴシュジン、ゴシュジン」





 「どうかしました?」


 「デイヴィッドガ、コウソクサレチャッタ」


 「………拘束?ブロウズが?」


 「ウン。ミンナ、オオサワギ。ライフルモッテ、クロスボウモッテ、ヨッテタカッテ、ツカマエタ」


 「無事に帰ってきた辺り、ナッキービル地区の任務は成功したのでしょうが……不可解ですね、幾ら嫌われているとは言えよっぽどの事が無い限り、ブロウズを拘束する理由など無い筈ですが………」


 「“アクマノツカイ”ッテ、ミンナイッテタ。デイヴィッドハ、テイコクガウミダシタ、アクマダッテ」


 「………グリム、新聞を持ってきてください」


 「イツノ?」


 「数日前の、私が呆れて読まなかった、あの蒼い光とカラスがどうの、と書いてあるやつです」


 「ハーイ」


 「どうも。…………まさかとは思いますが、この三流記事に書いてある事が何の誇張やプロバガンダも無く、事実なのだとすれば…」


 「ゴシュジン?」


 「……有り得ますね、理由としては十分です。安物の小説の様な話ですが、彼らは決して絵空事では動きません。逆を言えば彼らが動くと言う事は……」


 「デイヴィッド、ドウナッチャウノカナ?」


 「…………………」


 「イッパイ、オコラレチャウノカナ?」


 「……蒼白い光、黒い霧、カラスを生み出し……」


 「ヤッパリ、コロサレチャッタリスルノカナ」


 「グリム、民間伝承の本を持ってきてください」


 「デンショウ?アノ“ザツガク”ッテヤツ?」





 「そうです。神霊ウルグスとグロングスに纏わる伝承を、全て」

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