第27話

 「漸く割り出せそうだ、直に次の目標が決まるぞアキム」







 「流石だな、クロヴィス」


 「貴族関連なら私の領域だからね、当たり前と言えば当たり前の話さ。部下の士気も高まっている、有難い話だ」


 「しかし、その非公式な投資とやらは相当な額だったらしいな。これ程割り出すのが手間だとは」


 「ここまで念入りに分割されて隠されて、幾つかブラフも撒かれている。あの手帳が無ければ見付けるのは難しかった、いや無理だったろうな」


 「となると、やはり上流階級か」


 「上流階級と腐敗は切っても切れない関係だ、こればかりはいつの時代も変わらんよ。上に居る奴等が像でも無い限り、何処かしら腐るものだ」


 「今の所、挙げられた奴等も中々大物だな。大事になるぞ、これは。勿論、影響力を考えれば大歓迎だがね」


 「あんな奴等は足掛かりに過ぎないさ、いずれそいつらも始末はするが………まだレイヴンは動かさないでくれよ、まだ此方を感付かれたくは無い」


 「分かっているさ、しかしあいつらが足掛かりとなるとどんな奴が出てくるか、考えたくもないな。少なくとも、其処らの貴族じゃ手も届かない様な奴だろう」


 「アキム、あくまでもこれは憶測の域を出ないが…………おそらくターゲットはそれこそ、区画を幾つか支配している程の奴だと思った方がいい。楽観したとしても、だ」


 「…………となると、またもや一筋縄では行かないな。最近も、レイヴンの暗殺騒ぎがあったばかりだ。上流階級、それこそ心当たりのある連中は、金貨の袋を握らせてでも容赦の無い兵士ばかりを集めているだろう」







 「ああ……彼には相当な綱渡りをしてもらう事になる。挽肉機の上でな」

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