第126話 無知の知

 哲学者のソクラテスが言ったこと。

「無知の知」

 すなわち、「自分は分かっていないということを自覚している」ということ。


 自分は分かっていないのだということを自覚することで、他人に対して謙虚にもなるし、知ろうという意欲もわく。


 論語にも「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」という似た言葉があるそうだ。



 この考え方は重要だ。

 自分は、知らないということを知っている。

 自分は未熟だということを知っている。


 だから、より成長しようとするし勉強しようとするし頑張る意欲もわく。



 一方で、人間だれしも肯定されたいという欲求がある。

 褒められたい。

 自慢したい。

 えらくなりたい。


 年をとればとるほど、そう思いたくなるのかもしれません。

 でも、自分自身に満足したら成長はないと思います。




 葛飾北斎は、死ぬ間際に言ったそうです。

 ”あと5年、いや、あと10年生きながらえることができたならば、本物の絵描きになれたのに”

 北斎ほどの絵描きでさえ、自分自身に満足できなかった。

 その気持ちこそが、成長の原動力だったのかと思います。


 以前も紹介した、ポルカドットスティングレイの雫さん。R25と言うサイトのインタビュー記事において。

 ゲーム会社に就職した時、自分は天才だと思っていたそうです。

 でも、ゲームをリリースしたら全然当たらなかった。挫折を経験したそうです。

 それ以降。リリースしたらユーザーの反応を分析して次のリリースに反映することの繰り返し。

 そして、バンドとしてデビューした現在の曲作りも同じだそうです。

 ”自分の内面を表現したいとか、どうでもいい””「ニーズに応えて結果を出すこと」”こそが、仕事に誇りと責任をもつこと” とのことです。



 年を取ると、自分の経験を信じたくなります。

 経験を他人に教える(押し付ける)ことをしたくなります。

 

 でも、じぶんはまだまだだと考えて貪欲に成長する人こそが強い人なのだと思います。



 無知の知

 その謙虚さを、自分に対する戒めとして心に刻み続けたいと思います。

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