第11話 若様、大丈夫ですか? 私のおっぱい揉みますか?
戦闘が終わったと思ったら、アンジェラがライトから目を離して遠くの空を見上げたので、ライトもそれに倣ってアンジェラと同じ方向を見上げた。
すると、青白いオーラを纏う骨格のある鳥のアンデッドの姿があった。
「スカルバードですね」
「スモーカーと比べてどれだけ強いの?」
「弱い個体で2,3倍、強い個体で4,5倍でしょうか」
「そうなんだ」
アンジェラから事前情報を貰うと、ライトは<鑑定>を発動した。
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名前:なし 種族:スカルバード
年齢:なし 性別:なし Lv:15
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HP:250/250
MP:250/250
STR:250
VIT:250
DEX:250
AGI:250
INT:250
LUK:50
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称号:なし
二つ名:なし
職業:なし
スキル:<飛行><瘴気風>
装備:なし
備考:なし
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(うわぁ、強い個体の方が来ちゃったよ)
残念ながら、アンジェラが説明した強い個体がライト達に向かってやって来た。
「ライト、スカルバードもやってごらん」
「そうね。1体だけなら簡単に倒せると思うわ」
「またですか?」
「大丈夫だ。危険だと判断したらすぐに割り込むから」
「ライトなら瞬殺よ」
スモーカーに引き続き、自分に戦わせようとする両親に対してライトはささやかな抵抗を示したのだが、それは全く効果がなかった。
全幅の信頼を置かれており、ここで駄々をこねても結果が変わらないとわかると、ライトは仕方なく戦う覚悟を決めた。
「わかりました。【
スカルバードに狙いを定めると、ライトは技名を唱えた。
パァァァッ。
しかし、スカルバードは【
「避けますか、そうですか。【
パァァァッ、パァァァッ、パァァァッ。
2回目までの【
《ライトはLv8になりました》
《ライトはLv9になりました》
《ライトはLv10になりました》
スカルバードが消えると、ライトの耳にレベルアップを告げるヘルの声が届いた。
「やっぱり、問題なかったな」
「ライトだもの。安心して観戦できたわ」
「若様、大変お見事でした」
「う、うん。ありがとう。【
礼を言った後、ライトはスカルバードの魔石を浄化して回収した。
(あれ、僕ってレベルアップしたら能力値はどうなるんだ?)
今までは鍛えた後にユグドラ汁を飲むことで能力値を上げて来たが、ライトはレベルアップによって自分の能力値がどう変化するのか知らなかった。
それを確かめる前にスカルバードが来たからである。
スカルバードを倒して今度こそ周囲にアンデッドはいなくなったので、ライトは自分を対象にして<鑑定>を発動した。
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名前:ライト=ダーイン 種族:人間
年齢:8 性別:男 Lv:10
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HP:400/400
MP:800/800
STR:400
VIT:500
DEX:400
AGI:400
INT:500
LUK:400
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称号:ダーイン公爵家長男
忍耐の鬼
二つ名:なし
職業:なし
スキル:<法術><鑑定><
<状態異常半減><HP回復速度上昇><MP回復速度上昇>
装備:なし
備考:なし
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(えっ、レベルアップってこんなに強くなれるの?)
自分のステータスを確認したら予想以上に強くなっていたので、ライトは目を丸くした。
「若様、大丈夫ですか? 私のおっぱい揉みますか?」
「揉まないよ」
「チッ、揉んでもらえると思ったんですが」
「ねぇ、舌打ちするぐらい触らせたかったの?」
「当 然 で す」
「何言ってんの、この駄メイドは?」
「あぁ、若様のその軽蔑の眼差し・・・、堪りませんねぇ」
「変態には何をやっても駄目か・・・」
舌なめずりし始めたアンジェラを見て、ライトの表情は完全に引き攣っていた。
「アンジェラ、ライトに変なことを吹き込まないでちょうだい」
「奥様、失礼しました」
エリザベスに注意されてアンジェラは素直に謝ってから御者台に戻った。
それから、ライト達も
「さっきの戦い、よくやったね」
「ありがとうございます、父様」
「やっぱり私の血が濃いのよ。だから、無駄のないMP消費でスカルバードを倒せたんだわ」
「悔しいけどリジーの勝ちだ」
「イルミの時は貴方が勝ったんだから良いでしょ?」
突然、両親が勝ちがどうとか言い始めたので、ライトは訳がわからずエリザベスに訊ねた。
「あの、何を勝負されてたのですか?」
「ライトの教育方針よ。ライトが<法術>で戦えるならMP操作に自信がある私が指導して、物理攻撃で戦うならパーシーが指導することにしてたの」
「あぁ、そういうことでしたか。そう聞くと、確かにイルミ姉ちゃんの時は父様の勝ちですね」
「そうなのよ。あの子って本当に脳筋まっしぐらだから、教会学校で頭を使えるようになってると良いのだけれど・・・」
「そうですね・・・」
エリザベスとライトは、今ここにいないイルミのことを思い出して遠い目をした。
教会学校に入る前にバリバリの前衛スタイルになっていたイルミは、STRを鍛えてどうにかしようとする節があった。
その考え方はエリザベスにもライトにも当てはまらなかったので、イルミがライトに模擬戦を挑む時はいつもライトは無傷で切り抜けられるように逃げに徹していた程である。
それから2時間後、ライト達はようやく教皇領セイントジョーカーに到着した。
結界の中に門番がおり、結界を通ると
これは結界を通る際、結界の外で
結界にはそういう仕組みがあり、そのおかげでセイントジョーカーの住民は他の場所に比べて瘴気による被害が少ない。
コンコン。
その門番の腕には水晶が嵌められた腕輪があった。
「失礼します。ダーイン公爵家の皆様でよろしいでしょうか?」
「ああ、その通りだ」
門番は腕輪の水晶を確認し、特に反応がないことを確認して頷いた。
「ありがとうございます。確認が取れました。どうぞ、お入り下さい」
門番は頭を下げて扉を閉めた。
そのすぐ後に
「父様、今のはなんだったんですか?」
「あの門番が腕輪を確認してたのは見てたよな?」
「はい」
「あれは嘘を見抜くんだ。
「
「そうだ。ライトが魔石をアンデッドから手に入れたと思うけど、それを動力源として様々な道具がこの世界では作られてるんだ」
(嘘発見器があるなんて流石はファンタジーだ)
前世の記憶があるライトが嘘発見器なんて言おうものなら、パーシーとエリザベスが心配するのでライトは感想を心の中に留めた。
「便利ですね。僕もいつか欲しいです」
「ライトの稼ぎなら、きっとすぐに手に入れられるさ」
「でも、お高いんでしょう?」
「そりゃ貴重な物だから高いさ」
ライトは通販番組のような聞き返しをしたが、パーシーはそんなものを知るはずがないので普通に応じた。
ネタのようなやり取りができずに少しばかり寂しく思ったが、ライトは気持ちを切り替えていずれ買ってみたい
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