君が誰かを愛し子を成す事を望む(ベッコside)

グンナーの人生を追体験するベッコ。

ダイン家の生き残りに担がれそうになるもあんな策謀かました弟に

殺されるかもしれないと逃げ出し逃亡生活に入ったり。

ビア帝国内乱で国境にビア帝国からの脱走兵に命を脅かされたり。

半ば人間不信になり山の中で生活したり。

寒波に凍死しそうになった所を先代のショコラ公爵に助けて貰ったり。

波乱万丈な人生を送って来た。

最後は老化で生活がままならなくなった所をビターに

正確にはビターに雇われた介護士に介護して貰いながら生涯を終えた。


「大体こんな感じの人生だった」

「・・・・・壮絶な、 人生でしたね」

「そうだな、 壮絶な人生だった

固有魔法は手に入れたし普通の人よりも強いだろうが

それで幸せになれたか? と思うとイエスとは言えない人生だったな」

「・・・・・」


俯くベッコ。


「君と私は融合していっている、 体の統制権を奪い合わなければならない

私にとっては蘇りと言っても良い大チャンスだ」

「・・・・・体を渡すつもりはありません」

「こちらも奪うつもりはない」


グンナーの言葉に驚くベッコ。


「私はちゃんとした家族が欲しい、 親兄弟は無理だとしても

妻や子供が欲しい、 だが私には無理だ」

「何故?」

「人を本当の意味で愛したり信じ抜く事が出来ない・・・

ショコラ公爵が助けたのもこうやって誰かと融合させる為だろう・・・」


俯くグンナー。


「だからこそ、 君に賭けようと思う」

「賭ける?」

「君の中で、 君が誰かと結ばれる感覚を共に味わおうと思う」

「・・・勝手ですね」

「体の制御権はくれてやろう、 偶に意識に語り掛ける位はするかもしれないが」

「それは助かります、 でも僕は」

「分かっている、 強くなりたいんだろう?

私の固有魔法【ピーターパンのナイフ】を使える様にしてやろう

使い方も教えよう、 努力はして貰うぞ」

「はい、 分かりました」

「そして条件を付けよう」

「・・・条件?」

「君が惚れているラビーと言う女性に君が告白して断られたら

新しい恋を見つけるんだ、 しつこく言ってはならない

ストーカーは見苦しいと思うし、 誰かと結ばれて欲しいのに

ずっと固執し続けるのは駄目だ、 もしもそんな事態が起こった場合

体の統制権は貰おう」

「・・・・・分かりました」


ずずずずず、 と体が渦を巻いて来た。


「如何やら本格的に融合が始まったようだな、 気をしっかり持てよ」

「はい!!」

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