暖かい鍋と言葉

前回、 食事を求めたらラビーの所に行くように言われたので

とりあえず戻ってきたゼロと巾木一行であった。


「と言う訳でラビー、 何かしら食べさせてくれ、 良く考えたら生卵だけでは足りぬ」

「別に構いませんが・・・何にします?」

「あそこで殿下達が食べているアレが食べたい」

「ちょっと待って下さいゼロ公爵」


巾木が止める。


「何だ?」

「殿下達が食べているのって・・・あれですよね?」


ソーラー、 ツイスト、 アラモードの3人は仲良く鍋をつついていた。

ひーひー言いながら真っ赤な鍋を食べていた。


「鍋料理は寧ろ森羅の料理では?」

「いや鍋料理が嫌だとかそうでは無く、 明らかにヤバそうな色をしているじゃ無いですか」

「ヤバい色をしているし匂いも少し危ない感じはする

だがしかし皇族の方々が食べていると言う事は旨いんだろう」

「あー・・・確かに」

「それじゃあ作りますねー」


ラビーが調理を始める。

ラビーが作っているのは火鍋である。

勿論激辛の鍋。

まずは鍋に油に花椒と唐辛子をじっくり炒め、 香りと辛みを出す。

香りが出て来たら火を止めて豆板醤と豆鼓を入れて火にかける。

暫くしたらまた、 火を止めておろしにんにくとおろししょうがを入れて火を付ける。


「鍋なのに随分と炒めるな」

「そうですねすき焼きとかそう言う物とは違うんだな」

「香り出しとかをしておきたいので」


感心する巾木と雷。

次に牛脂を大目に投入。

脂が溶けたら針生姜を入れて中華スープを投入。

塩、 醤油、 酒、 一味唐辛子、 ブラックペッパー、 粉花椒、 自家製ラー油も投入。

そしてたっぷりの野菜とたっぷりの肉を入れて完成。


「おぉー、 おいしそうだ、 いただきますー・・・」


もぐもぐと食べるゼロ。

巾木達も恐る恐る食べる。


「・・・あれ、 おいしい、 って辛ぁ!!」

「・・・・・意外と食えるな、 鬼ならば充分いける味だ」

「人狼はキツイ・・・」


色々と反応は有ったが概ね好意的に受け入れられたのだった。


「しかし、 何と言うか、 隠遁生活というよりは楽しんで料理している感じだな」


ゼロが呟いた。


「実際楽しいですから」

「料理なんて使用人がやる事と思ったが、 まぁお前は昔から勉強を楽しんだりとか

少し変わった所が有るからな、 そこは変わらないな」

「・・・・・」


ラビーは自分が昔から変わらない、 という言葉を聞いて

自分がラビーか三島か、 悩んでいたのが何と言うか少しだけ気が楽になった気がした。

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