現実の出迎え(ウィノside)

シチューとパンを食べ終えたウィノ。


「・・・・・ウィノ君、 御飯を食べたばかりですまないんだが・・・」


気まずそうにするリカル。


「如何したんだ?」

「教務室から君に呼び出しが有ったんだ」

「・・・・・え」


カラメル王国学院の教務室からの呼び出し。

学生時代に何度か有った事だ。

成績が悪いのでもっと勉強する様にと言う説教だった。

途中から呼び出されても面倒だったので行かなかったのだが・・・


「・・・・・それは・・・つまり・・・」

「多分・・・君・・・留年しているよ」


本当に言い難そうに言うリカル。

寮に通っている生徒にこういう事を言うのは辛いのだ。


「・・・・・い、 いやいやいや!! そんな馬鹿な!!」

「君、 サボってばっかりじゃないか

単位が足りないと教務室から注意されてなかったのかい?」

「・・・・・」


すぐさま立ち上がり教務室に向かうウィノ。




ウィノが教務室で教務員に話を聞くとやはり単位が足りないらしい。


「単位が足りないだって!!」


教務員に叫ぶウィノ。


「ですから、 1年生の頃から単位が足りなくて卒業が怪しくなりますよと

注意してきた筈でしょう」

「だ、 だが騎士団長の息子だぞ!!」

「いや、 騎士団長の息子でも国王陛下の息子でも単位が足りなければ

卒業は出来ませんよ、 何方にせよ絶縁されているじゃないですか」

「で、 では如何なるんだ!? これから!!」

「当校で取得できる単位は一年で80単位

ウィノさんが足りない単位は75単位なので来年勉強に

打ち込めばギリギリ一留で卒業出来ます」

「そんな暇があるか!! 早く王子と合流しないといけないと言うのに!!」


ギリギリと歯軋りをするウィノ。


「しかしウィノさんはアーモンド家から絶縁されていますし

せめて学歴だけは持っていた方が良いかと」

「絶縁なんか認めない!! 王子に助けて貰う!!」

「その王子・・・サンライズ殿下ですが・・・殿下も留年しています」

「なっ!? 何を言っている!! 卒業パーティに出席していたではないか!!」

「勝手に出ていただけです、 因みにアスパル・テーム男爵令嬢も留年しています」

「そんな馬鹿な!!」


驚愕するウィノ。


「王家にも男爵家にも手紙は出しましたが返事が無いのですよ

お忙しいですが返事位は欲しい所です」

「・・・・・」


ウィノは絶句した。


「留年されるのでしたら学費として200万Gを入金して下さい」

「そんなの払えるか!!」

「でしたらローンを組んでは如何でしょうか、 将来の為ですし」

「う、 うわああああああああああああああああああ!!」


ウィノは絶叫した。

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