中々先に進めない王子(王子side)

シクラメン合衆国の片田舎、 メープルヴィレッジにやって来た

ウォームの商体とサンライズ一行。


「これ位、 国境から離れればもう別れても問題無かろう

そろそろ私はお前達とは離れるぞ」


馬車から降りてサンライズとウォームが話をしている。


「そうだなぁ・・・だがちょっとパイプ作っても良いんじゃないか?」

「パイプ?」


ウォームの提案に嫌そうな顔をするサンライズ。


「そう怪訝な顔をするな、 この村にシクラメンの大商会『フォレスト商会』の支部がある」

「こんな田舎にか? フォレスト商会は大きな商会だと聞いて居たぞ」

「ここは昔から家具作りが盛んな所でな、 良い輸入家具が手に入るんだ

それに自給自足が出来ているし

犯罪率もシクラメンの中では極めて低い部類に入る場所だ

フォレストの連中も王国の王族とパイプを繋ぎたいと思っているだろう」

「だがしかし・・・アスパルが心配だ」

「まぁ一日遅れるだけだ、 そこまで悪い事態にはならないだろうさ

俺の顔を立てると思って」

「何で私がお前の顔を立てねばならんのだ」

「うーん、 じゃあウェーサーカまでの馬車を手配しておこう

ウェーサーカへの越境の手続きもしておくよ」

「越境の手続きって・・・出来るのか?」

「あぁ、 シクラメンは通信設備が充実しているからな

ここからでも越境手続きは出来る」

「・・・・・・・・・・ウル」

「はっ」


ウルが馬車から出て来る。


「アスパルの容態は?」

「安定しています、 ここで申し出を受けるのは良いのでは無いでしょうか」

「・・・・・分かった、 受けよう、 馬車は品質の良い物を寄越せよ」

「それは問題無い・・・あー・・・」


ウォームが顔に手を当てる。


「如何した?」

「あれ見ろよ」

「?」


ウォームが指差した先に馬車が何台も停まっていた。

そこから機材を持った人々が降りて来る。


「な、 なんだぁ?」

「記者達だよ・・・・・偶に取材とかされるんだよ・・・」

「ウォーム殿下!! サンライズ殿下!! シクラメンポストです!! 取材をお願いします!!」

「シクラメンタイムズです!! 御二方取材を!!」


記者達に取り囲まれるサンライズとウォーム。


「・・・如何やら取材に応じないと先に進めないっぽいぞ」

「先を急ぐと言うのに・・・」


頭を抱えるサンライズであった。

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