アスパルは自分を嘆く(アスパルside)

夜眠っている時にアスパルは馬車の中で目を覚ました。

傷は痛みは引いているのだが不快感が物凄いのだ。

傷から血が滴り少し放っておくと顔中血塗れで気分が悪い

更に頭部にも傷が有るので髪の毛も血でバリバリになっている。

傷は水に染みる為、 まともに顔や髪を洗う事も出来ない。

これでは自分の綺麗な外見を維持する事は出来ないでは無いかと憤慨している。


何で自分がこんな事になっているのかと、 彼女は幾度も思っていた。

油断すると食事が全て血の味になってしまうのだ

痛みは楽になったがこんな事ではどうしようもない。

彼女は腹立たしげに眠る事にしたのだった。

疲労が有るからか直ぐに寝付けた。



夢の中でフロートが現れた。


『助けてくれえええええええええええええええええええええ!!

痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいいいいいいいいいいい!!

助けてくれよおおおおおおおおおおおおおお!!

お前に色々世話してやっただろうがあああああああああ!!』


そう言いながらアスパルの肩を掴むフロート


「冗談じゃないわ!! こっちの方が大変なのよ!!」


捕まれた肩を振り払うアスパル。


『ふざけんじゃねぇええええええええええええよおおおおおおおおおお!!』


アスパルの首を絞めるフロート。


「ぐ・・・うう・・・ああ・・・」

「アスパル!! 大丈夫か!!」

「!!」


夢から覚めたアスパル、 血が傷からだらだら零れながら起き上がった。


「サンライズ様・・・」

「おい、 水だ、 飲めるか?」

「はぁ・・・はぁ・・・」


サンライズから水を貰って飲み干すアスパル。


「魘されていたみたいだったが大丈夫か?」

「フロート、 様が夢に出て来ました・・・」

「アイツが? 何でだ?」

「さぁ・・・」

「おぉい、 何か騒がしいが大丈夫か?」


ウォームがサンライズ達の馬車に顔を出す。


「魘されていただけだ、 お前はさっさと何処かに行ってくれ」

「心配していたんだけどなぁ・・・精神安定剤は有るから必要になったら言えよ」

「真っ当な物じゃないだろ」


シッシと手を払うサンライズにぶー垂れながらウォームは去って行った。


「しかし何でフロートが夢の中に・・・」

「助けを求めていました・・・」

「ふむ・・・不思議な事もあるもんだ」


その日はサンライズが傍に居てまたアスパルは眠りに着いた。

何で自分がこんな目に遭わないといけないのかと涙しながら。

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