そりゃ振られますわ

カランコロンカラン、 と店のドアに付けたドアベルが鳴る。


「いらっしゃいませー」

「こんにちはー」

「ども・・・」


頭が花瓶と旗になっている騎士がやって来た。


「ミックスフライとライス、 2つずつね」

「はい、 分かりましたー」


ミックスフライを揚げ始めるラビー。


「元気出せって」

「でもなぁ・・・俺は本気だったんだぜ?」


花瓶の騎士を慰める旗の騎士。


「何か有ったんですか?」

「聞いてくれよ女将さん、 コイツまた女にふられてよ」

「言うなよぉー、 今度はマジだったんだ」

「はいはい、 お前は何時もそう言うんだ」

「それは・・・残念でしたね・・・」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


号泣して花瓶の口から水が溢れる花瓶の騎士。


「落ち着いて下さい・・・」

「ぐす・・・すまない・・・・・」

「それで今日はコイツを慰めようとここに連れて来たんだ

気分が滅入った時は酔っ払って腹一杯になるのがベストなんだが

コイツは酒が駄目でさ」

「花瓶に酒入れる馬鹿は居ないだろ」

「それでここで腹一杯食べさせようと思ってな

ライスとタルタルソースおかわり自由だろ?」

「態々この店を選んでもらって有難うございます、 良いんですかこの店で?」

「良いんだよ、 この店で食べた方が安く付くんだ、 今月厳しくてな」

「厳しい?」

「そうなんだよ女将さん聞いてくれよ

俺はコイツとタッグを組む事が多いんだが振られた月はコイツは本当に役に立たなくてな!!」

「そこまでいうなよおおおおおおおおおお」

「悪い悪い」

「はいはい、 湿っぽい話はそこまで、 ミックスフライとライス

そしてタルタルソースです、 おかわり自由なのでどんどんどうぞー」

「「いただきまーす」」


がつがつとミックスフライとライスを掻っ込む騎士達。

それを微笑ましそうに見るラビー。


「良い食べっぷりよねぇ・・・」

「体を使う仕事だからなもぐもぐ」

「・・・・・・・・・・」


花瓶の騎士の手が止まった。


「・・・如何した?」

「女将さん、 俺と結婚して下さい!!」

「ごめんなさい、 私、 まだ結婚は考えられなくて・・・」


がくり、 と肩を落とす花瓶の騎士。


「い、 いや待て、 まだと言う事は・・・脈が有る?」

「あ、 女将さん、 気にしないでこいつ、 何時もこんな感じだから」

「何時もこんな感じなの!?」

「今回振られたのもこんな感じで即結婚申し込んで玉砕だから」

「そりゃ振られますわ」

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