こ、これは唐辛子!!思い出したわ!!
「こ、 この辛さは唐辛子!!」
激辛の川の水を飲んでラビーは全てを思い出した。
「そ、 そうよ・・・私は三島幸子・・・」
ラビーは真っ赤な水面を見ながら全てを思い出した。
自分は日本人で料理人をしていた三島幸子、 日本人の32歳だった筈。
「ってええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!???」
異世界に転生しているじゃない!!
そんな驚愕に襲われ事態を把握する為に息を整えた。
「はぁーはぁー・・・落ち着け、 落ち着きなさい・・・貴族は冷静よ・・・」
日本人の料理人として生きていた頃の記憶も有るが
貴族として育ち学んだ事は覚えている。
貴族として平民から王子を誑かした女を誅殺する為に色々した事も覚えている。
「なんじゃその恐ろしい女は!! こわ!!」
殺人未遂をした女と婚約破棄するだろ、 誰だってそーする、 自分だってそーする。
そんな異常者とは結婚できるか!!
「うぅ・・・ちょっと待って・・・ここってもしかして・・・
スイーツキングダム?」
スイーツキングダムとはラビーこと三島幸子が生前の日本で流行っていた乙女ゲームである。
主人公であるヒロインの平民アスパルがテーム男爵令嬢の隠し子である事が発覚して
男爵令嬢となり学園で攻略対象達と絆を深めると言うゲームになっている。
まさにその中の登場人物である悪役令嬢ことラビー・ストロング公爵令嬢になっている。
「しかもこれって・・・ハーレムルートじゃない・・・」
スイーツキングダムはマルチエンディングを採用しており
ラビー・ストロングが断罪され国外追放されるエンディングは二つ。
その中でアスパルが無事に卒業パーティの断罪を逃れられるのは
ハーレムエンディングだけである。
ハーレムエンディングは恐ろしく難易度が高くやろうとしても出来る物ではない。
「と言う事はヒロインも転生者? まぁどっちでも良いか」
ごろりと横になって自分の手を見るラビー。
「・・・・・」
ぽっ、 と炎を指から出すラビー。
魔法の力は自在に使える様なので生きるのには困らないだろう。
水も先程は死ぬつもりで飲んだだけで有り、 浄化の魔法を使えば綺麗な水も飲める。
「まぁ貴族のしがらみから逃れられたのならば強ち悪いとも思えない
それに王子様も好みじゃないしね」
サンライズは所々ヘタれるキャラなので嫌う人も多い。
しかしサンライズ覚醒ルートでは逆に漢の中の漢になり
攻略対象なのに逆にヒロインと悪役令嬢を攻略してダブル正妃ルートなんて物も出て来るのだ。
「いずれにせよ全て終わった事、 生きている人間は生きるしかないんだからやるしかないわね」
そう言ってラビーは川沿いを歩いて行った
特に目的も無いが何となく川の源流に行こうと思ったのだ。
「・・・・・こうしてみると紅葉みたいね」
赤い森の真っ赤な景色は不気味とされているが日本人ならば寧ろ紅葉の様に感じて
綺麗だと思える、 所々生っている赤い木の実は唐辛子である。
「・・・・・製作者甘党だったわね
私辛い物好きだったから・・・相性最悪ね」
スイーツキングダムの製作者は甘党で辛い物が苦手だと常に公言していた
三島もといラビーは辛党なので相容れない。
「この赤い森・・・何なのかしら、 唐辛子で思い出せたけど・・・」
赤い森に関してはバッドルートEDで何度か出て来るが
設定が殆ど無い、 行ったら最後、 帰れない森、 という設定は知って居るが
特に危険な生き物がいる様子も無い。
「ん?」
「にょ?」
川沿いを歩いていると丸っこい体に棒の様な手足が生えた
腑抜けた顔(/ω\)の生き物が居た。
でぶ妖精である。
「にょー」
でぶ妖精は慌てて逃げ出した。
でぶ妖精は妖精からは妖精と見做されていない奇妙な生き物である。
でぶ妖精はぷにぷにしていて可愛い生き物ではあるが
目を離すとつまみ食いをする為、 厄介者として扱われる。
訓練すれば労働力にもなるらしい、 眉唾な話だが。
スイーツキングダムのマスコット的キャラクターにもなっている。
ロード中にとてとて歩くでぶ妖精の姿が愛らしい。
「野生のでぶ妖精とは珍しい・・・いや、 人が居るの?」
人が居るのかと推測したラビーはでぶ妖精の後ろを付いて行ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます