第4章 11 放課後の反応

 放課後―


ヒルダはシャーリーと正門へ向かっていると、門の前では女生徒達の人だかりが出来ていた。


「あら?何かしらね?あの人だかりは・・・?」


シャーリーが首を傾げた。


「う、うん・・そうね。何かあったのかしら・・?」


その時、女生徒たちの間からルドルフの顔がチラリと見えた。


「ル、ルドルフッ?!」


ヒルダは驚いて声をあげると、シャーリーは驚いた様に声を上げた。


「え?ルドルフッて・・・もしかして・・?」


一方のルドルフは女子生たちから質問攻めにあっていた。


「ねえねえ、貴方・・お隣の男子学生でしょう?こんな所で何してるの?」


「見かけない顔ですね?何年生ですか?」


「誰を待ってるんですか?」


等々・・・その度にルドルフは困った顔で対応していたが、ヒルダの姿に気が付くとパッと笑顔になってヒルダの名を呼んだ。


「ヒルダ様っ!」


するとルドルフの周囲にいた女生徒達も一斉にヒルダをみつめ、怪訝そうな顔をした。そこにはなんとヒルダをからかったミランダの姿もあった。


「ルドルフ・・・何故ここに・・?」


ヒルダは人目を気にしつつルドルフに声を掛けると彼は笑顔で言った。


「だって帰りも一緒に帰ろうと約束したではありませんか?」


するとそれを聞い女生徒達が一斉にざわめいた。


「何・・あの人・・・ひょっとして車いすの女生徒の知り合いなの・・?」


「物好きね・・・よりにもよってまともに歩けない女生徒を選ぶなんて・・・。」


その囁き声はどれもヒルダを差別した物言いばかりだった。


「・・・・。」


ヒルダはいたたまれなくて頷くと、そこシャーリーが現れると言った。


「何よ、貴女達・・・こそこそと聞こえよがしに話したりして・・本当は羨ましいんじゃいの?普通なら足に怪我を負ったら私達は令息達から見向きもされなくなってしまうから。」


「シャ、シャーリー・・。」


ヒルダは友人の突然の発言に驚いてしまった。そしてシャーリーに指摘された女生徒たちはばつが悪かったのか、全員コソコソとその場を退散してしまった。

騒ぎが収まるとシャーリーはヒルダとルドルフの方を振り向くと言った。


「こんにちは。私はシャーリー・クレイブと申します。ヒルダの親友です。ひょっとすると、貴方がルドルフさんですか?」


「は。はい・・・僕はルドルフと申します。」


「そうですか〜いつもヒルダから貴方の話は聞かされていました。」


シャーリーはニコニコしながら言う。


「え・・?ヒルダ様が僕の話を・・・?」


途端にルドルフの顔が赤く染まる。



「ちょ、ちょっとシャーリー。」


ヒルダは慌てて親友の顔を見ると、シャーリーはヒルダに言った。


「それじゃあまた明日ね。ヒルダ。貴女達、本当にお似合いだわ。」


シャーリーの言葉にヒルダとルドルフは顔をますます赤く染めた。シャーリーはそんな2人をほほえまし気に見ると、馬車乗り場へ向かって歩いて行った。



 やがて2人きりになるとルドルフは言った。


「まさか女子校の正門で待っていたら、あれ程人が集まって来るとは思わなかったんです。」


突然ルドルフが言った。


「ルドルフ・・・。」


「ヒルダ様にはご迷惑をお掛けしてしまいました。」


ルドルフは頭を下げてきた。


「そ、そんな頭なんか下げないで。私もいけなかったのよ。ちゃんと説明しなかったから。ほら、向こうを見て。」


ヒルダは左斜め前方を指さした。するとそこは大きな広場になっており、沢山の馬車が止まっている。


「あそこが迎えの馬車が待機する場所なの。ね?皆あっちに向っているでしょう?」


「確かにそうですね。」


先程から2人の側を生徒たちが通り過ぎて行き、広場へと向かっている。


「だから、明日からはあそこで待ち合わせしましょう?」


ヒルダは笑みを浮かべながらルドルフに言った。


「はい、分かりました。ヒルダ様。」


ルドルフは優しい笑顔でヒルダを見つめるのだった—。

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