3話
料理を作り終えたシルヴィアは自室で調べ物をしているヴェルティを呼んだ。
「では…「豊かな地を与えてくださった精霊様に感謝を…」」
向かいのイスに座るヴェルティと共に食事の祈りを捧げ、テーブルに並べてある料理を食べ始めた。今晩のメニューは、野菜とベーコンのトマトスープ、トマトをふんだんに入れたトマトソース掛けグラタンだ。
ー カチャッ
ー コクッ
シルヴィアは向かえに座るヴェルティを見つめた。ヴェルティは湯気が立つ温かいトマトスープを一口。直後、一瞬固まって頬を好調させ満面の笑みになって叫んだ。
「~~~っ!!!おいしぃですわっ!」
「うふふ、良かったです」
「スープは、瑞々しいトマトの味を活かしながらも他の野菜とのアンバランスな味を打ち消さず素晴らしいハーモニーをかなで、ベーコンの旨味を最大限に引き出していますわっ!!」
「そ、それは…よか「んんんっ!!このグラタン!!なんですのこれ!!!トマトに絡みつくホワイトソース…トマトを絡めることによりコクを引き出しワンステップ上の味になる。つまりトマトこそ食の頂点に立つ王!いえ、、、神ですわ、、」…喜んでくれて良かったです。」
食レポをしながらも料理をガッツくヴェルティにシルヴィアは、笑ってしまった。
料理を褒めてもらうのは…こそばゆいですね。
料理を自分以外の誰かの為に作り初めて2週間が経った。今までは、誰かと共に食事というとメリダしかいなかった。自分の作った料理を誰かに食べてもらうこともなかった。
だからでしょうか…自分が作った料理を誰かが食べている姿をみると温かい気持ちになります。
胸の内が温かくなったシルヴィアは、スープを一口飲んだ。
「ふぅ、、今日も絶品でしたわっ!シアさん、いつもご馳走様ですわっ!!」
「うふふ、どういたしまして。ヴェルティさん凄く美味しそうに食べてくれるので作りがいがありますよ」
「えっ、あっ、あら?そ、そ、そうかしら??」
「はい!」
「た、確かに…スープ3杯、グラタン2杯のおかわりは…食べ過ぎだったかしら、、、」
「うふふ、どうぞ食後のお茶です」
ー コトッ
「ありがとうございますわっ!」
食器を洗い終わったシルヴィアは、食い倒れたヴェルティにお茶を出して向かいのイスに座った。
「ふぅ、やはり食後のお茶は美味しいですわ~」
「そうですね。あ、ヴェルティさんこのお茶は食べすぎた人専用のお茶で、消化促進の効果があるのでちゃんと飲んでくださいね?」
「え、えぇ、、少し食事を抑えようかしら…」
「うふふ、冗談ですよ。でも、消化促進の効果があるのは本当ですのでので少し気分が良くなると思います。」
「あら?そうなのねっ!わざわざ、ありがとうございますわっ!あ、そういえば…」
「?」
「最近、毎日店に来る方がいらっしゃいませんか?なんでしたっけ?茶髪の…目つきが悪い…えっと」
「茶髪…目つきが悪い…あ、もしかしてザッカスさんですか?」
「えぇ!その人ですわっ!シアさんが店にいない時、私に『今日、ルヴィーはいないんですか?』ってわざわざ聞いてくるんですのっ!」
「そうなんですか?」
「えぇ!あれはズバリ…」
「ズバリ?」
顔の前で手を組み、深刻な顔をしたヴェルティは言った。
「シアさんのトマト料理を狙っている人間ですわ…」
「えっ?料理ですか?」
「はいっ!私がお客様方にシアさんの料理を自慢してしまったのが原因ですわ、、きっと……」
「えっと、、自慢してたんですか?」
「はい!『シアさんのトマト料理以外を受け付けない体にされた』と自慢致しましたわっ!」
「えっと、、それは違う意味で危険なような…」
ドヤ顔をするヴェルティにシルヴィアは顔をひきつりながらも視線をお茶に向けた。
「ヴェルティさん…」
「なんですの?」
「この街の水路…いえ、水はどうでしたか?」
「…そうですわね。。叔父様の言った通りと言うべきでしょうか?」
「なら、やはり…」
「えぇ、井戸水に異常がありましたわ」
「…」
「少しお待ちくださいませ」
ヴェルティは立ち上がり、自室へ戻り何かを手に持ち出てきた。それを机の上に置いた。
「水の中にこのような粉が混じっておりましたわ。シアさんはこの粉をご存知ですの?」
「はい…この粉は、、、」
ー アゥォォォォォォォン!!!
シルヴィアがヴェルティに粉の正体を教えようとした時、狼の鳴き声が街中に響いた。
「「っ!?」」
狼の鳴き声を聞いた2人の間に緊張が走った。この声はただの狼の鳴き声ではない。
この声は…魔獣だからだ。
「シアさん、どうやらこの街は#当たり__・__#だったようですわね」
「そうですね。ではヴェルティさん、街の皆さんを頼みましたよ」
「もちろんですわっ!シアさんもお気おつけてくださいまし」
「えぇ、ありがとうございます」
シルヴィアはヴェルティに返事をして窓を開け、声に魔力を乗せてシルヴィアの鷹…いや、使い魔を呼んだ。
『ルフっ!!』
その直後、街の北東からルフが鳴きながら飛んできた。
ー ピィィィィイイィィン!!
シルヴィアは腕を出し、ルフはその腕に止まった。
「街の人々には解毒するお茶を出したので被害は少ないと思います。一応、何かあった時の為にこの子に私の追跡をしてもらいます。」
「わかりましたわっ!では…「行きましょうっ!」」
「この事件を終わらせる為に…」
シルヴィアの腕からルフは再び上空へと飛びだった。
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