第16話 王妃様との面会

私は、今王妃様がいるお部屋の前にいる。礼儀とか、あまり分かんないんだけど大丈夫かな…?とドキドキしてると不安だという事が顔に出ていたのか


「大丈夫ですよ。ツキノ様に礼儀の悪いところなんてありませんでしたから」

「そうですよ!」


と声を掛けてくれて少し和らいだ気がする。よし、無礼がないように出来るだけ頑張ろう!そう意志を固め、騎士様に声を掛ける。


「王妃様、ツキノ様がお見えになりました。」

「通してちょうだい」


その一言で、目の前の扉が開く。無礼なことをしないように改めて注意しなければ…


「急に会いたいと無理を言ってしまって申し訳ないわね。私は、レティシーア・エルメルト。この国の王妃をしているわ。」

「あ、えっと。アオイ・ツキノです。呼んでくださりありがとうございます。」


そう軽い自己紹介をして、礼をした。


「緊張しなくても大丈夫よ。ほら、ここに座って。私はただ貴方とお話したかっただけだから。」

「失礼します。そんな風に王妃様に思っていただけるなんて嬉しい限りです。」

「堅苦しいのは、好きじゃないから私の事はレティでいいわ。私もアオイと呼びますから。」


レティとは、王妃様の愛称なのでは私が簡単に呼んでいいものなのかな…?違う気がするけど本人が良いって言ってくれてるから多分大丈夫だよね…


「レティ様、改めて呼んでくださりありがとうございます。」

「最初に謝らなきゃいけないわね。夫がアオイに酷い対応をしてしまって…申し訳ないわ。ごめんなさい」

「レティ様、謝らないでください、何もない私にお城にいる権利を下さっているだけで私としてはありがたいのです。」


本当にエルメルトの人たちは、優しいな。


「アオイは、本当に聞いていた通りもったいないくらいに優しいのね。」


レティ様はそう言って、後ろで護衛をしてくれている。グレンさんの方をチラッと見た。


「今は、少しアオイへの対応は良くないかもしれないけど…アオイの優しい所をよく見てくれている人がきっと力になってくれると思うわ。私もアオイの力になるわ。正直ね、聖女様の方は私苦手なのよ。アオイのようにいい話は聞かないし…貴方が聖女様であればよかった。」


レティ様は、本当にいい方だ。顔合わせは今日が初めてだけどよく見てくれている私の事を。そして私の味方になってくれると言ってくれてこの国でもいい人に恵まれたな。そのあとも、レティ様とお話をしながら少し時間を過ごした。そして、最後にあるお願いをされた。


「アオイ、お願いがあるのだけれど。聞いてくれるかしら?」

「お願い、ですか?私に出来る事なら…」

「私、貴方みたいに気軽に話せる子が欲しかったの。だから、一週間に一回でいいから今日みたいにアオイとお茶をしながら話をしたいのだけどいいかしら?」


レティ様が、可愛いお願いをしている。

しかも、またお話が出来るのは個人的に嬉しいな。


「私でよければ、またレティ様とお茶したいです!」

「ふふっ、ありがとう。もうそろそろお開きにしましょうか。」


レティ様との、お茶はとても良い時間だった。


「今日は、ありがとうございました。」

「こちらこそ、楽しい時間だったわ。ありがとう。グレンは少し話があるわ。」

「申し訳ありませんが、少し外で待って頂けますか?」

「分かりました、先に失礼しますね。」


そう言って、私は部屋の外へ出た。それにしても「アオイの優しい所をよく見てくれている人がきっと力になってくれると思うわ」か。そんな人がいてくれたらどれくらい心強いのかな。日本にはそんな人いた記憶ないな、自分で暗い過去を掘り返してしまった。大丈夫、エルメルトは日本とは違う。そう自分に暗示を掛けている途中でドアの開く音で意識が戻る。


「お待たせしました。お部屋に戻りましょうか」

「はい!今日はありがとうございました。とても楽しかったです。」

「いえ、私は何もしていません。ツキノ様が楽しめたのなら何よりです。」


それにしても、これからどうしようかな。何にも決めてなかったんだよね…うーん。何も思い付かない!

図書館に行って勉強する?部屋でゴロゴロしてる?どれもなぁ、ピンと来ない。


「ツキノ様、やることがないのでしたら。せっかくおめかしをしているのですから、この前の裏庭でお茶をしませんか?」

「それは、楽しそうですね。それじゃあ、裏庭でお茶をしに行きたいです!」

「じゃあ、早速向かいましょう。」


レティ様からのお部屋からそう遠くなかった。やっぱり綺麗、色々な花も咲き誇って美しい。


「ツキノ様、テーブルまで行きましょう。足が疲れたでしょうから。」


花を踏まないように慎重にテーブルまで向かう。着いた頃には、紅茶やちょっとしたお菓子などが用意してあった。


「皆さんも座ってください、一緒にお茶会しましょうよ。」

「いえ、私は護衛を」

「みんなでお茶会をすると思って来たんですけど…」

「分かりました。」


やったぁ、みんなでお茶会とかやりたかったんだよね。楽しい時間を目一杯過ごしたいから、紅茶を飲みながらお菓子をつまみながら色々なお話をした。レティ様とのお話も楽しかったけどこのお茶会も楽しい。ふと、景色を見ているとここからではよく見えないが誰かがこっちを見てる…?私の後ろに誰かいるのかなと振り向いても誰もいない視線を戻した頃にはもういなかった。


「楽しいですね、こうやってお話するの。たまにはこういうお茶会もしたいです」

「そうですね、私も楽しいです。」


――――今日はエルメルトに来てから一番楽しい日となった。

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