第1話
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2013年の夏、私は済州島という日本での沖縄のような韓国に位置している島に、大学秋入学に合格した私は、成人したと同時に移住する事を決めた。
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少し複雑だが育った環境について説明すると、私は日韓ハーフで中学3年生に上がる頃まで日本暮らしをしていた。
実際父の顔は全く持って覚えていなくて戸籍上の存在でしか知らないが父は日本人で、母側が韓国人だ。
父は元々物凄く真面目で誠実、その分頑固だがIQがとても高くてハイスペックな建築会社を仕切っている方で、不愛想で厳しい性格の方だったと聞いている。
二人の出会いは母が日本でゴルフのセミプロでキャディーのお仕事をしていたのだが、日本在住している同じ韓国人の交友関係を持っていたお友達に詐欺にあい、警察沙汰になりそうな所を、前から母の事を一目惚れした父が救ってくれたのがきっかけとなったらしい。
当時母はバツ1で娘(私の半分血が繋がっている姉)が2人いる。姉達の父は韓国人で不倫をして別の家計を作り離婚。
女で1人で娘2人育てるにはやはりお金が必要だった為、母側のおばあちゃんやいとこの家を姉達は転々とさせ、日本に来て必死に働いてた。
その事実を父は知った上で結婚を申し込み私が生まれたという形だった。
しかし母と父の結婚生活は、一件ロマンチックにスタートした出会いと裏腹にとても苦痛なものとなったんだとか。
母は役者やセミヌードモデルのスカウトを受けるくらいの美貌の持ち主で、沢山の男性にその前にもアプローチを受けていた。
もちろん父もその美貌と2児の母というタイトルに胸張って生活している強さに虜になった一人である。
その為、不安だったんだろう。
拗らせた嫉妬を韓国人という理由一つを盾にして、どこにも出かけさせないようにしたり、携帯を買おうとしたら「そんな物は水商売している女どもが持ち歩いてるものだ。」などと理不尽な事を言い出したり、父に自分の意見を吐く際には「旦那に口答えするなんて事ありえないんだ。」と、とにかく罵声を浴びせるのが日課だったらしい。
しかし私の事はとても可愛がり誰よりも大切に思っていた為、母はそれだけを満足に耐えていたらしい。
しかし月日が経って私が幼稚園に通おうとし始めた時、仕事を始めたがっていた母は、戸籍を市役所でとった際に父と母が婚姻関係になっていないことを発覚。
問いただそうと初めて父に口答えしたのがきっかけで父が初めて3時間に渡る暴力を母にふるったのだった。
それがきっかけで離婚。
弁護士を通して知った事実は、私の父は元々妻がいて別居生活もとても長くしていたのだが、妻側が父の財産目当てに離婚をしてくれず10年ほど過ごしていたらしく、母と婚姻関係を戸籍に載せることが不可能だったとか。
結局一度ではあったものの、途轍もなくひどいDVだった為、父は私たちに接近禁止命令が下されて私が20歳になるまで、私たちに近づけなくなっていた。
小さかった私は、ショックが大きかったせいか全く持って記憶を消したらしい。
母によりとその暴行を受けて逃亡し警察に事情聴取や写真で記録したりなどをしている際に、私は居眠りをしていて、その夢の中で父が建築のお仕事をしている現場で転落して死んだという夢を見たらしく、起きたと同時に「パパはママに悪い事したから死んだんだよね?」と確認をしたらしい。
母は何も言わなかったのだが、私が何度も父の死を聞いてきたため、精神病院に連れて行きカウンセリングを受けた結果、父を死んだことにしといた方が今は私の為という判断を下したのだ。
それからというもの、母は父が死んだことを装いながらシングルマザーライフが再スタートし、韓国にいる2人の娘+私の3児の子を一人で育てる事になった。
母は得意な料理を武器に誠心誠意に小さい韓国家庭料理屋を一人でオープンしたのだった。
日替わりコース料理を出す完全予約制のお店を運営していて、母の経営能力が優れていた為、半年後まで予約が埋まっている宴会専門のお店として繁盛していった。バツ2の母なのを知っているのにも関わらず、相変わらずの美貌のおかげで沢山の素敵な男性からアプローチを受けていたのだが、男はもう懲り懲りとなった母はきっぱり「一人の女としてではなく今後とも3児の母としての私を認知してご来店してほしい。」と断り続けたのが逆に好感を持って下さり、 下心から純粋に子供達の為にと万札のチップをおいて帰る常連のお客様へと変わっていった。
* * *
私は1年に1-2度、学校の夏休みや冬休みの時韓国に帰っていてその時だけ13歳と11歳差という大きな歳の差だった姉と片言の韓国語を使いながら会っていた。
姉が20歳になる頃、日本にある日本語専門学校へと留学手続きを母が申込み初めて一番上の姉(恵美)と小学生の私、そして母の3人が一緒に日本で暮らすようになった…
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