リレーがなくなる日
春嵐
第1話
担任から、リレーがなくなることが通達された。
どうやら、どこぞの保護者の親から苦情が入ったらしい。脚の速さだけで序列をつけるのはいじめに繋がるという理屈。
特に、何も感じなかった。その理屈でいけば、運動会そのものがおかしい。更に拡大すれば、勉強で序列をつけるのもおかしい。序列をつけるこの世の何もかもがおかしいという結論にしかならない。
不毛。ただそれだけ。
クラス内でも、賛否両論だった。
運動会の目玉だから開催できるよう生徒会に直訴しようという男子生徒。あれは脚が速いからもてたいというだけ。
リレーではなく序列のつかないような方式に替えたらどうかと提案する女子生徒。どうみても頭の中がお花畑だが、当人はたぶん本気でそう思っている。
あいつのほうを見た。
あいつも、特に何を思うでもなく、周りの反応を眺めている。
目が合った。
なんとなくクラスを眺めている仲間同士。通じるものがある。
ふたりで、にやっと笑って。
また、目を離して授業に戻る。
クラスはまだ紛糾していたが、特に気にはならなかった。
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