第712話 激戦の後で
ふぅ……まさか、キツネさんを倒せるとは思わなかったよ。でもまぁ、あの森にいた敵の大半を相手にしたなら、そういう事もあるんだね。
「一気にLvが上がったので、この場所は安全地帯ですね」
今は再誕の道標を選んで復活した後の場所! 選べる猶予時間が迫ってたから、びっくりしながらも選択しててよかった!
富岳 : 再誕の道標、役に立ったな。
ヤツメウナギ : 配信中に2回の使用は……何気にレアか?
こんにゃく : 再使用に1時間はかかるんだから、最大で2回までしか使えんしな。
真実とは何か : それが真実の仕様なのだ!
「あはは、まぁそうなりますね。まぁ結果的に、エリアボスの討伐は完了です!」
キツネさんを倒したっていうには少し心苦しいけど……うん、今回のは仕方ない! 絶対に戦いたくないのなら、出なくなるように手段だってあるんだし……それを使わずにしてたんだから、こういう事もあるよ!
エリアボスは可能な限り倒していきたいんだし、今回のはこれでよかったのさー!
「なんか、ちょっと疲れましたけど……あー、思った以上に時間が経ってますね?」
今の時間を見てみれば、あと10分もすれば20時だー! ……んー、なんとも微妙な残り時間?
サツキ : 10分くらい、逃げ回ってたからねー!
いなり寿司 : 10分は言い過ぎ……って程でもないか。最初に遭遇してから、それくらいは経ってるな。
金金金 : ちょっとぐったりしている狐っ娘アバター。キツネ相手ってのもありそうだけど、流石にあの逃亡劇は疲れるか。
ミツルギ : まぁ疲れるだろうなー。一手でもミスっていれば、死んでいたのはサクラちゃんの方だし。
イガイガ : 最終的には、死んでるけどな。
ミツルギ : 戦闘の途中でって意味だよ!
「あはは、まぁ結構な成果にはなってますし、その辺は気にしないって事で!」
そもそも、縄張りを使えば死ぬのなんて決まり切ってるんだしね。そこは気にしても仕方ないのですよ!
「ちょっと疲れちゃったので、残りは雑談しつつ、アイテムの採集でもいいですかねー?」
ここからキツネさんから逃げた先にある北の森は、もう燃え尽きてる状態だけど……。
「最初にキツネさんが出てきた東の少し遠めの森は無事ですし、その辺なら採集も出来るはずですよね?」
目的の方向とも一致するし、Lv的にも当分は余裕だろうし、これでいけるはず!
ミナト : うん、それで良いと思うよ。ボス戦でお疲れ気味みたいだし、採集物は適度にこっちで探そっか?
チャガ : それもありかもな。方向的にも都合はいいか。
サツキ : サクラちゃん、アイテムの捜索を開始!
水無月 : 捜索開始! ミナトさんが探してくれるなら、百人力!
紅葉 : へぇ? そうなのかい?
水無月 : ミナトさん、観察力が凄いからね!
G : ここの視聴者の中で、トップクラスの観察力だな。音声無しのコメントも含めて。
真実とは何か : それこそが、紛れもない真実なのだ!
紅葉 : そんなにかい!? はー、凄い人もいるもんだね。
「あはは、そうなりますねー! ミナトさんに探してもらえるのは、本当に助かります! それじゃそういう方向性でやっていきましょう! 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』!」
いつものセットを再発動して、東に向けて出発だー! 疾走は使わないけど、普通に駆けていこー! 間違っても、燃え尽きた北の森に進んだら駄目なのさー!
「……それにしても、火事はとんでもない事になってますね」
あっという間に消し炭にされたの、実感するよね。『狐の業火』だっけ? あれは恐ろしいスキルだよ!
ミツルギ : 破壊規模は『獅哮衝波』と同程度だけど、火の場合はその場に残るからな。その影響が、どうしても出てくる。
咲夜 : 他の敵に破壊消火もされるから、他の範囲攻撃よりも後が大惨事になるんだよなー。
神奈月 : その結果、襲われやすくなって……まぁその末路は、あの九尾の狐が示してくれた。
ミナト : まぁあれは、サクラちゃんの『破壊の咆哮』がなければ、生き残った可能性もあるけどね。
「え、そうなんです!? ……かなりの敵の数がいたと思いますけど、それでも生き残る可能性があったのは恐ろしいですね!?」
それだけ、あのエリアボスのキツネさんが強かったって事なんだね!
富岳 : あー、九尾の狐は知恵も高いからな? 多数に襲われても距離を保ちつつ、交戦して、それでも厳しければ撤退もする可能性がある個体だ。
チャガ : 『狐の業火』を溜めている最中で、一気に殲滅する準備中だった可能性もあるぞ?
咲夜 : あ、そういう可能性もあったか!?
こんにゃく : あー、もしそうなってたら……逆に殺されてたのは、サクラちゃんの方だったかもな。
ミナト : 仮に『狐の業火』を凌げたとしても、湖の中にいた敵は生き残ってた可能性は高いしね。最初から『破壊の咆哮』を使うつもりで動いていたのが、良い結果になった感じかも?
「おー! そういう感じになるんですか! 雷纏いとの相性もよかったですし、これからも役立ちそうですね!」
約2分の溜めだったから、結構な威力になってたみたいだもんね。その分、再使用時間が長めになっちゃってるけど……まぁ今は使わないし、問題――
ミナト : あ、サクラちゃん、ストップ! 今、右側に野イチゴがあったのを通り過ぎちゃったよ!
「え、通り過ぎちゃいました!? ちょっと戻りますね!」
すぐに止まって、Uターン! えーと、向きが変わってるから……左側の方にあるはず? あ、ちょっと遠いけど、確かにあった!
「見つけました! ミナトさん、よく気付きましたね! 結構離れてますよ!?」
これ、私の視界に入ってたとしても、結構ギリギリな範囲じゃない? サラッとそれを見つけるミナトさん、相変わらず凄いね!
ミナト : あはは、そんなに大した事じゃないよ?
咲夜 : いやいや、大した事だよな!? 少なくとも、俺は気付かなかったぞ!?
神奈月 : ……同じく。
富岳 : サクラちゃんの視界の端に、チラッと映り込んだだけだったな。一瞬、違和感はあったが……その程度の映り込みで気付くのは、相変わらずの観察力だな。
紅葉 : これは……確かに凄いね。
水無月 : でしょ!? ミナトさん、いつもこんな感じ!
「だから、ミナトさんの協力が得られる時って助かるんですよねー! それじゃ採集してきます! どれかが『再誕の道標』になってくれればいいんですけど……」
サッと駆け寄って、野イチゴが生えてる場所に到着! 何本かの木と、その周囲に生えている草って感じだねー。その中に野イチゴが生えてる感じ! という事で、採集開始!
宝石系アイテムが元になってるのは、まだ個数はあるんだけど……それ以外はもう全部使っちゃったからね。ここらで、補充しておきたいんだけどなー。
「むぅ……普通の野イチゴばっか採れますね? まぁこれはこれで、重要なんですけど……」
回復量が劇的にある訳じゃないけど、小粒だから食べやすいしね! 1ヶ所でそれなりの個数が手に入るのも、結構ありがたいのですよ!
何気にチドメグサやドクダミも生えてるから、その辺も採れるだけ採っていこー!
咲夜 : こういう時は、物欲センサーが仕事を始めるからなー。
ミツルギ : 完全体ともなれば、『再誕の道標』の入手率はかなり上がっているはずなんだけど……全然、出ないな?
G : 今日、異様に確率が偏ってねぇ? イージーで幻獣種、2時間で4体出現とか見た事ないぞ……。
こんにゃく : イージーでの進化したてのLv帯だと、そもそも一度も遭遇しないって事もあるのにな?
いなり寿司 : サクラちゃんの引きは、妙に強いな。その中の1体がエリアボスになるとか、どんな低確率だよ。
金金金 : それがまさかのキツネってのも、凄い話か。
「……あはは、なんとも喜びにくい内容ですけどね。それにしても……本当に『再誕の道標』が出ないですね!?」
野イチゴ、全滅! ぐぬぬ!? チドメグサかドクダミのどれかが、再誕の道標に変わってくれればいいんだけど……。
金金金 : おっ!
G : ほほう?
咲夜 : あっ!?
富岳 : ほう? そっちが出たか。
「あー!? チドメグサが『増幅草』になりましたよ!?」
うー! 今求めているのは、それじゃなーい!
ミツルギ : 確か、増幅石がまだ1個あったよな? その増幅草の入手で、火への適応進化を増幅させられるようになったか。
ミナト : うん、そうなるねー! ちょっと予定外の状況になっちゃったけど、これはこれでラッキーかな?
「あ、そういえばそうですね!? 求めていたのとは違いますけど、火への適応進化を使えるように出来るのはありですね!」
でも、欲しかった再誕の道標は1個も手に入らないままなんだけど、まだドクダミがあるから、それが変わってー!
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