第705話 反撃開始!


 ふふーん! 今ここで、育成を止めちゃってる桜の木での経験が役立つ時! あのミニ桜を出すには、本体のHPを削るはず! とりあえず、走りながら本体のHPを確認だー!


「おー! HP、4割まで減ってますね! でも、ミニ桜はさっき生えた場所から動きませんね?」


 流石に本体のHPが削れ過ぎるから、新たに作るのは自重してるのかな? でも、これならなんとか破壊の咆哮を溜める時間は稼げそう!


サツキ : サクラちゃん、逃げる、逃げる、逃げるー!

水無月 : 逃げるー!

ミツルギ : 色々と確認しながら距離を取るのはいいけど、足元はちゃんと見ろよー。転ぶ可能性もだけど、下から根での攻撃もあるからな。

イガイガ : ちょ!? それは言わなくていいやつ!?


「あ、それもそうですね! っと、言ってたらきましたか! とう!」


 下手に止まろうとしたら逆に狙いやすくなるし、これは勢いのまま駆け抜けて回避!


「ふぅ、回避成功です! 今の、ミニ桜と本体、どっちからの攻撃です? わっ!? またですか!?」


 また根で突き刺してきたから、また同じように回避! ふふーん! 根での攻撃は、走っていればなんとか躱せる範囲だね!


富岳 : まずは『養分吸収』で、生命の回復を優先しているみたいだな。

いなり寿司 : 分体を作るのに、どうしても生命が必要だしな。

ミナト : 『根の侵食』の発動をキャンセル出来たのは大きいかもねー。あれの発動中は、根での攻撃速度も上がっちゃうからさ。

チャガ : 確かにそれはあるな。ちなみにだが、本体と分体は別物で考える必要はないぞ? 分体を作れる場所は、本体の攻撃範囲だからな。

こんにゃく : あの分体が必要になるのは、根を使う以外の攻撃だけだから……根での攻撃には一切、意味はないぞ。


「攻撃速度の強化効果もあるんです!? わっ!? とりあえず、根での攻撃は本体からって思ってよさそうですね!」


 また根で突き刺してきたけど、回避なのさー! 『養分吸収』から逃げる為に使った『咆哮』でのキャンセルは失敗かと思ったけど、意外と『根の侵食』のキャンセルは大きかったっぽい!

 結果オーライだから、そこはいいとして……問題は、どこまで溜めれば倒し切れるのか、そこが分かんないところ! うん、聞いちゃえ!


「これ、『破壊の咆哮』はどれだけ溜めれば倒せますかねー!?」


 まだじわじわとHPは回復していってるから、『光合成』は効果中みたいだし……どれくらいの溜めで、どのくらいの威力かが分かんない!


金金金 : あー、それは俺には分からんやつだな。

水無月 : 私も同じく!

サツキ : 正直、私にもよく分からない部分だね!

ミツルギ : どの程度の威力になるかは、感覚によるところが大きいからなー。

富岳 : ステータスの数値によっても、必要な時間は変わってくるからな。敵の硬さやスキルの使用状況によっても変わってくるぞ。

ミナト : 一概に、どれだけ溜めればいいかってのは判断し辛いところだねー。この辺、実際に使いつつ慣れるしかない部分だから……。

咲夜 : 確実に仕留めたけりゃ、それだけ長く溜めればいいとは言えるぜ!

G : そうとしか言えないとも言えるな。

真実とは何か : それが真実なのである!


「倒せるギリギリの威力を狙うのは、無理そうですね!?」


 うー、そういう仕様のスキルだから、仕方ないのかも……。いつでも撃てるのは良い部分だけど、だからこそ威力調整が厄介!?


「わっ!? 今度はミニ桜!? わわっ!? 花びらで、また視界妨害ですか!?」


 ぎゃー!? 目の前にニョキっと生えてきたから、つい反射的に止まっちゃった!? しかも、そこを狙ってくるとか……卑怯じゃないですかねー!?


ヤツメウナギ : おー、桜の木、嫌らしい立ち回りをしてきたな。

ミナト : 『光合成』で多少回復した生命を使って、分体を再生成したっぽいね。でもまぁ、トータルとしてはマイナスだけど。


「あ、本体のHPは少し減ったんですか! それは……というか、削るのは別に本体じゃなくてもいいんですよね!」


 分体を作る分だけHPは減るんだから、分体を消し飛ばせば、本体に1割分のダメージを与えたのと同じ……はず! もうそれくらいの威力はあるだろうし、これでどうですかねー!?


「破壊の咆哮、発射です!」


 視界が見えにくいからマップ頼りで、分体と本体が一直線に並ぶ位置に動いて、本体に届く程度に凝縮して放つのです! あ、やった!


こんにゃく : おー、分体を吹っ飛ばした上に、本体のHPも1割ちょっと削ったな。

ヤツメウナギ : 『桜吹雪』も消し飛ばしたから、視界も良くなったか。

サツキ : サクラちゃん、ナイス! 残り、2割ちょっとだよ!

水無月 : あとちょっとだね!


「そのあとちょっとが、結構厳しそうですけどね! 次はこれです! 『放電』!」


 このまま距離を保ちつつ、放電を溜めていこー! それでミニ桜が出てきたら撃破して、出てこなければ直接本体に放つのですよ!


「わっ! 足を止めると、根で攻撃してきますね!? また走りながらでいきましょう!」


 ちょっと戦闘に時間がかかっちゃってるけど……まぁこの桜、地味に強いから仕方ないよね? ……あれ?


「あのー、この桜の木の近くに敵が少なかったのって……もしかして、強いからです?」


 周囲に敵が少なかったから盾に使おうと近付いたけど……それ、かなりの失策な気がしてきたよ!?


ミツルギ : 途中で1体、ゾウがあっさりと仕留められてたしな。周囲の敵が少ないというよりは、少なくなった……が正解だろうなー。

富岳 : 敵同士で戦って、生き残ったのが今の桜の木だろうよ。

チャガ : 耐久寄りの動かない木は、上手くスキルが噛み合えば凶悪になるからな。まさしく、そういう個体だぞ、その桜は。


「やっぱりですか!? わっ!? この根の攻撃が避けられる範囲でよかったですよ! ……また、あの『根の侵食』を使われる可能性ってあります?」


 今は地面に根が広がってないけど……多分、他の敵もアレの餌食になったんだろうね。それこそ、途中で仕留められたあのゾウみたいに!


ミナト : あ、それは大丈夫だよ! あれ、再使用時間は10分あるから……それまでに倒せば!

咲夜 : てか、その前にサクラちゃんの『縄張り』と『雷纏い』が使えるように……って、今まさに使えるようになったな!?

いなり寿司 : あ、本当だな。これは、いけるか?


「絶好のチャンス到来ですね! とりあえず放電を放ちます!」


 ふふーん! 思った以上に時間がかかっちゃったからこそ、再使用時間が過ぎたのですよ! 溜めた放電、今のくらいだとそこまでダメージは入ってないけど……それでも、残りHPは2割を切ったよ!


「一気に本体の懐に入ります! 『雷纏い』『疾走』!」


 『雷纏い』さえ使えるなら、もう勝ったも同然だよね! この桜の木、知恵は弱点なんだもん!


「わっ!? 本体から桜の花びら!? でも、押し切ります!」


 今はダメージを受けても、本体に辿り着くのが優先! そこまで行けば、あとはこっちのもの!


「これでも受けて下さい! 『強爪撃』!」


 大ジャンプしてから、疾走を切って、勢いのままに爪を振り下ろすのですよ! わっとっと! 切り付けた後にバランスを崩しかけたけど、なんとかセーフ!


サツキ : おー! 綺麗に麻痺が入ったね! サクラちゃん、撃破チャンス!

水無月 : 撃破チャンス、到来だー!


「手こずらせてくれましたけど、これで終わりですね! 『連爪』『連爪撃』『爪刃乱舞』!」


 ともかく、今は桜の木の幹へ爪を引っ掻き続けるのさー! うりゃりゃりゃりゃりゃりゃー!


咲夜 : サクラちゃんの爪研ぎ攻撃、久々に見た気がする?

神奈月 : 最近、あんまり木との戦闘はなかったしなー。

ミツルギ : こう、一般的には薙ぎ払うような連撃なのに……何故か、サクラちゃんは爪研ぎなんだよな?

こんにゃく : 普段は普通に薙ぎ払うように攻撃してるのに、何故かこういう状態では爪研ぎになるっていう。

ミナト : あはは、まぁこれでもちゃんとダメージ判定は出るし、有効な手段ではあるんだけどね。


「なんとなく、これがやりやすいんですよねー? 『双爪撃』! やっぱり硬いですけど……これでトドメです! 『強牙』!」


 ふふーん! これで削り切れて……あ、微妙に残ってる!? ぐぬぬ、綺麗に決まらなかったよ……。でもまぁ、今度こそトドメ!


「『噛みつき』!」


<完全体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【至妙なライオン【雷】】が完全体:Lv10に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを5獲得しました>


「ふぅ、撃破完了です! 強かったですね、この桜の木!」


 Lv的にも私より格上だったから、経験値が美味しい! ドラゴンとこの桜の木で、Lv3は上がったもんね! 


金金金 : 相変わらず、トドメ宣言はトドメにならないなー。だがまぁ、お疲れさん。

G : それでこそ、サクラちゃんだがな!

イガイガ : だよなー! まぁそれでも格上相手かつ、厄介な桜の木の撃破はナイス!

サツキ : サクラちゃん、お疲れ様ー!

水無月 : お疲れ様ー!


「あはは、トドメはしっかりトドメにしたいんですけどねー。でも、勝ちは勝ちですよ!」


 ふふーん! 苦戦したとはいえ、それでも死なずに生き残って、倒せたもんね! どういう形であれ、勝ちは勝ちなのさー!


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