第688話 今回のノルマ
ぎゃー!? 全部の脚が完全に埋まっちゃってて、身動きが取れない!? カメに吹っ飛ばされての脱出も考えてたのに、動き的に吹っ飛ばされる方向が沼になりそう!? これ、本当にどうするのがいいの!?
金金金 : 慌てふためく狐っ娘アバター。まぁ気持ちは分かる。
こんにゃく : カメがどう動いたとしても、脱出が出来る状態ではなくなってきてるしなー。
いなり寿司 : というか、焦ってどんどん深みに嵌っていっている最中だな。
「これ、抜こうとしても抜けないんですけど!? わー!? どんどんカメが陸地側に回り込んでいってますよ!?」
待って、待って、待って! このままじゃ……はっ!?
「逆に、吹っ飛ばされまくれば、沼を超えて陸地まで届いたりしませんか!?」
逆転の発想! それが出来るなら、この状況からでも打開は――
ミツルギ : あー、まぁ嵌ってる状態から抜け出すのが精一杯だろうな。体格差的に。
ミナト : んー? それ、やってやれない事もないよ? 確かにライオンとカメの体格差では抜け出るのがギリギリってとこだろうけど、『破壊の咆哮』で沼の水面には草が散らばってるし、その上を駆け抜けていけば可能だね。
神奈月 : それ、どう考えても、高難易度なやつだから!
こんにゃく : いや、でも前にサクラちゃんは実際にそれで駆け抜けた時もあったよな?
ヤツメウナギ : いやいや、今回はあの時よりガッツリ嵌まり過ぎてるから! 吹っ飛ばされてから空中で体勢を立て直した上で、葉っぱの上に着地して、即座に駆け抜ける必要があるんだぞ!?
こんにゃく : あー、そうか。そりゃ高難易度だな。
「それ、無茶苦茶な内容じゃないです!? でも、それ以外の手段が……あっ!」
ちょっと思いついたけど、これってどうなんだろ? 沼って言っても、底がない訳じゃないんだし……威力次第だけど、出来るかも?
金金金 : 何かを思い付いたような狐っ娘アバター。何をする気だ?
サツキ : 思いつきはしたけど、少し自信はないって感じかなー?
水無月 : おー、そうなんだ!
「あはは、確かにそうなりますねー! でもまぁ、このままじゃ死ぬ事になりそうなんで、悪足掻きはさせてもらいます!」
ここまで光りながら溜めてきた『破壊の咆哮』、大活躍してもらうのさー! 狙う場所は、私が埋まっている沼……というか、沼の端の方の泥!
「一か八か、これで脱出です! 『破壊の咆哮』、いっけー!」
私の脚を捕らえている泥そのものを、盛大に吹き飛ばすのさー! 近くだからかなり凝縮した上で……おー!? 盛大に泥が吹き飛びまくって……わっ!? ちょっと浮遊感! でも、これはいけたかも!
「脱出、成功です! えいや!」
泥濘んでない地面が見えて、そこに着地して大ジャンプ! ふっふっふ! 思いっきり全身に泥は被ったけど、邪魔な泥を吹き飛ばすのには成功!
金金金 : おっ! 沼を消し飛ばすか!?
ミツルギ : あー、地形の方をどうにかしようとしたのか。なるほど、『破壊』系統のスキルならそれだけの威力は確かに出るな。
咲夜 : 無茶な事をするな!?
ミナト : まぁありな手段ではあるけどね。沼って言っても、底なしな訳じゃないんだしさ。
神奈月 : 底なし沼って言われてても、実際は精々数メートルの深さらしいしなー。
「ふっふっふ! これで脱出成功――ぐふっ!?」
えっ、待って、待って!? なんでジャンプした後に、横から思いっきり衝撃が……って、わー!? 脱出するのに気を取られ過ぎてて、カメの動きの確認をしてなかったー!?
咲夜 : あっ!
水無月 : あっ……。
ミナト : あらら……。
「ちょ!? そっちは沼なんですけど!? 」
折角、泥から抜け出せたのに、このカメは何してくれてるんですかねー!? ぎゃー!? 盛大に水飛沫を上げて……ぐぬぬ! 避けたかった沼の中に、思いっきり吹っ飛ばされた!
G : いやー、やっぱりやらかしてくれるな、サクラちゃんは!
イガイガ : だよなー! 折角脱出に成功したのに、その直後にこの状況!
「面白がり過ぎじゃないですかねー!? 確かにおかしな状態になってますけども!」
でも、思ってたよりも沼は浅そう? とりあえず起き上がって……わっ!? 浅いけど、さっきの場所以上にあっさりと脚が埋まっちゃう!?
「これ、マズいです!? さっきより、沈むのが早いんですけど!?」
待って、待って、待って! 起き上がろうとした体勢で埋まり始めたから、顔が沼の中に入っちゃう!? このまま沈み続けたら、どう考えても窒息なんですけど!?
金金金 : 慌て始める狐っ娘アバター。強引な脱出を試して、成功しかけるものの……状況は悪化したか。
サツキ : サクラちゃん、ドンマイ!
水無月 : ドンマイ!
「この悪化の仕方、ちょっと酷くないですかねー!? わー!? もうライオンの顔が、水の中に入りそうなんですけど!?」
待って、待って、本当に待って!? ぐぬぬ!? どうにか顔の位置を上げようとしてるんだけど、動けば動くほど、どんどん沈んでいっちゃってる!?
G : 今日のノルマ達成も、あと少しだな!
イガイガ : 今回は沼で溺死とはなー。いやはや、予想が出来ない展開になったもんだ!
「私の死はノルマじゃないんですけど!? でも、これは本気でヤバいです!?」
うがー! どうせ沼に吹っ飛ばされるんだったら、カメの攻撃をそのまま受け止めるのにすればよかった気がするよ!? 『破壊の咆哮』を使った後だったから、盛大にダメージも受けてるし……沼への落ち方自体が最悪過ぎる!?
「これはもう、仕方ないです……ぐふっ! このカメ、この状況で追撃してきますか!?」
うがー! このカメ、嫌い! でも、何を言ってもここから生きて戻る手段はなさそうだし……うー、またノルマ達成って言われちゃう内容になっちゃったよ。中々、死なずに済ますのは難しいもんだね……。
金金金 : おっと、諦めたか?
ミツルギ : まぁこの状況からの打開策は、思い付かんしなー。
いなり寿司 : ミナトさんや富岳さんなら、何か手段は思い付くか?
ミナト : んー、流石に状況が厳し過ぎるねー。
富岳 : ライオンでこの体勢だと、もう無理だな。カメを強引に倒したとしても、沼から抜け出せる状況じゃないぞ。
「……あはは、やっぱり無理ですか。でも、悪足掻きくらいはさせてもらいます! 『縄張り』!」
<規定以上の範囲を把握しましたので【マップ】が解放されました>
もうどうやっても死ぬのが避けられないのなら、マップの解放だけはさせてもらうのさー! この死、無駄にはしないので――
「がっ!? あー!? ここで『朦朧』って酷くないですかねー!? あっ!? 完全に水の中に……『窒息』にもなりましたよ!?」
ぐぬぬ!? 最後の最後まで、このカメは何してくれてるんですかねー!? もう諦めたところに、更に追撃を加えるって酷くない!?
金金金 : なんか、『縄張り』を使ってのマップ解放ってパターンが増えてきたな。
神奈月 : あー、確かに? 定番パターンになってきてるような気がする。
ヤツメウナギ : でもまぁ、手っ取り早い手段ではあるんだよな。死亡が前提にはなるけども。
いなり寿司 : さて、サクラちゃんが『窒息』で死ぬのが先か、敵が群がって袋叩きにされるのが先か……。
<サクラ【至妙なライオン【雷】】が死亡しました>
<死亡した為、リスポーンとなります。リスポーンの手段を選んでください>
「窒息での死亡が先でしたねー。むぅ、今日も死んじゃいましたけど……配信中に死なないって、そんなに難しいんですかねー?」
今日も死なないのを目標にしてたのに、また達成ならずだよ! うがー! ノルマだと言われるのは気に入らないけど、なんでこうも死なずに済ませるのが難しいの!?
ミツルギ : まぁモンエボは、イージーでも死んでなんぼの難易度調整ではあるからなー。1つのエリアで1度も死なないのは、割と難しいぞ?
富岳 : 1種族目、それも進化したての時は特にだな。まぁさっきの死因は……一応、初めて出てきたヤマタノオロチの影響も少なからずあったかもな。
チャガ : 沼地であの巨体はそう多くはいないしな。
ミナト : でも、サクラちゃんの不注意も大きいよ? 着地場所を間違えなきゃ、普通に戦って勝ってた可能性は高いしね。
真実とは何か : それこそ、真実なのである!
いなり寿司 : 戦いにくい場所は避けるってのも、戦略だからな。
「……あはは、元々難しいけど、それ以上に私の注意不足が死因って事ですね。戦う場所も、ちゃんと考えないとですね!」
はっきりと言われちゃったけど……うん、反論の余地はなかったよ。さっきなら、沼からもっと離れて戦うべきだったのかもねー。その辺はしっかりと反省しとこ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます