第544話 狙う相手を決めて


 うがー! 完全に獅子咆哮を溜める位置を間違えたけど、ここから取り返しはつかないから、そのまま攻撃だー! 何が出てくるか分からないけど、ミナトさんの読みは小動物と昆虫系か植物系の2体!

 巻き込むなら、ゾウよりはそっちにする! 獅子咆哮は高威力だから、姿を見ずに仕留められる可能性はあるもんね!


「草むらの方を巻き込んでぶっ放しますね! 耐久性が低くて、そのまま瞬殺になるのを期待です!」


 溜めの完了はあと少し! ここのエリアボスは多分Lv40だし、そこまではLvを上げてかないとね!


サツキ : 巻き込む相手は決定! さーて、どんな敵が隠れてるかなー?

水無月 : 瞬殺って、獅子咆哮なら出来るかな?

ミツルギ : 敵の弱点次第だけど、まぁ進化系統の溜め攻撃なら可能性は十分ある。

富岳 : サクラちゃんのライオンは器用のステータスが飛び抜けて高いから、かなりの高威力だしな。生命や堅牢に秀でてないと、溜め攻撃はほぼ耐えれん。

イガイガ : 逆に言えば、敵の溜め攻撃を不用意に受ければ殺される可能性はある!

こんにゃく : まぁ『守護増強』まで取ったから、生き残る可能性は高くはなったけどな。それでも屈強系統で進化してる敵の溜め攻撃とかだと厳しいが……。

G : 器用系統の遠距離からの溜め攻撃にも要注意だぞ! というか、根本的に溜め攻撃は受けたらいかん! 生き残ったとしても大ダメージなのは確定だし!

真実とは何か : それが真実なのである!


「あはは、確かに高威力ですもんね、溜め攻撃! それじゃ溜めも終わったので、獅子咆哮をぶっ放します! いっけー!」


 堅牢系統だと分かってるキリンは生き残る可能性は高いだろうけど、他の2体はこれで終わって下さい! 草むらが衝撃波で吹っ飛んで――


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「あ、2体は撃破出来ました! キリンは生き残ってま……ぐふっ!?」


 え、待って!? 何かが勢いよく飛んできたんだけど、一体何が起きたの!? 見切りに小さめな赤い丸が出たと思ったら、次の瞬間に衝撃が来たんだけど!?


「今のは踏ん張れましたけど、何が攻撃してきたんです!? というか、他に敵はいなかったですよね!?」


 すぐに周囲を見渡してみるけど、今の攻撃をしてきたっぽい敵の姿が見えないよ!? マップを見ても、それっぽい反応がないね?

 思ったほどダメージは受けてないけど、一体何をされたのかが分かんない!? あ、でもこういうパターンって何か覚えがある気がする!


咲夜 : えーと……何がいた?

ミナト : 今のは擬態を使うバッタからの反撃だね。サクラちゃんに突撃して、そのまま草むらの中に戻っていったよー。


「あ、何か覚えがあると思ったら擬態したバッタですか!? 前にもこういう事があった気がします……」


 むぅ……索敵に反応しなかった敵が混ざってるとは思わなかった! でも、今の獅子咆哮で生き残ってるってどういう事なんだろ?


ミツルギ : バッタを気にするのは分かるが、キリンも忘れるなよー。

ヤツメウナギ : 交戦状態に入ってるからな!


「わっ!? 動きは遅いですけど、こっちに迫ってきてますね!? むぅ、流石に堅牢系統だとHPは残ってますか!」


 バッタがどういう状態なのかが気になるけど、今はそっちばっかに気を取られてる場合じゃなかった! えっと、えっと! とりあえず、このキリンは近接攻撃が強そうだから、距離を取って戦おー!


「高火力で一気に仕留めた方が楽そうですね! なので、これでいきます! 『獅哮衝波』!」


 溜めを始めて、キリンから離れるように駆けるのさー! 溜めが終わるまで近付かずに距離を保って、遠距離から仕留め切る!


こんにゃく : おっ、遠距離の攻撃を大活用だな。

神奈月 : 距離を保って攻撃を叩き込むのが、遠距離主体の常套手段! ……耐久性が上がった意味、なくね?

ミツルギ : 遠距離オンリーなら意味はないけど、近接もするから無意味って事はないぞ。

咲夜 : そうそう。不意な攻撃とか受けても、耐えやすくはなるしな!


「わっ!? 後ろ脚に衝撃が!? わわっ!? あ、危ないですね!?」


 駆けている最中に衝撃があったから、思いっきり転けかけた! 何とかバランスは保ったけど、今のもさっきのバッタの仕業なの!?


金金金 : 相変わらず、咲夜さんの発言はフラグになるなー。

G : 咲夜さんの言った直後に、奇襲を受けるサクラちゃん。

咲夜 : 今の、俺のせい!? 隠れてるバッタがいるのは分かってたじゃん!?


「忌々しいバッタですね!? というか、まだ私はそのバッタを見れてないんですけど! どこに隠れましたかねー!?」


 うがー! ミナトさんが姿を確認してるって事は、私にも見えてたんだろうけど……うん、分かんなかった! というか、今のは位置的にも確実に見えてないよね!?


ミツルギ : ミナトさん、看破での情報は見れてる?

ミナト : うん、一応はねー。でも、これは言っちゃってもいいのかな?

こんにゃく : あ、なんかその言い方は含みがあるな?

サツキ : 確かにそうかも!?


「え、なんか特殊な個体……あのー、もしかしてエリアボスなんて事はないですよねー?」


 言ってみたけど、流石にそれはないよね! うん、エリアボスの攻撃ならもっとダメージを受けててもおかしくないはずだし――


ミナト : あはは、まぁその可能性が浮かんできたなら言っても良いかな? サクラちゃん、その『もしかして』は正解だよ。いたのは、エリアボスの『迅速なバッタ』だね。


「本当にエリアボスだったんです!? え、それにしてはダメージは少ないですよ!?」


 待って、待って、待って!? 本当にエリアボスだとは思わなかったよ!? あ、だから生き残ってたのかも?


富岳 : ……屈強は低めだが、俊敏系統で堅牢も高いパターンか?

ミナト : ごめん、弱点までは把握し切れてないんだよねー。流石にそこまで見るには動きが速かったし……あ、でも結構生命は残ってたから、その可能性はあるかも?

ミツルギ : 攻撃自体も単発の突撃っぽいし、攻撃力が低い代わりに攻撃が当てにくいタイプかもな。

咲夜 : うっわ、面倒なパターンのエリアボスじゃん!?

イガイガ : 攻撃が当てにくくて倒しにくいやつだな……。遭遇してもスルーしたいヤツ。


「なんでそんな面倒そうなのがこのタイミングで出て……って、わわっ!? ぐふっ!」


 うがー! また後ろ脚にぶつかってきて、今度はバランスを崩して転んだー!? 何を邪魔してくれてるんですかね、このまだ姿を見れてないバッタは!


「邪魔ですね、このバッタ!」


 でも、そんな事を言ってる場合じゃなーい! キリンがドシドシと近付いてきてるし、すぐに起き上がって――


「わっ!? 今度は頭に……って、朦朧になりました!?」


 ぎゃー!? 待って、待って、待って!? 見切りに反応が出たけど、体勢的に回避が出来なくて、バッタが頭に直撃したんだけど!? わー!? このタイミングで朦朧ってマズいよ!?

 うぅ……バッタの姿だけは見えたけど、それ以外は何も確認出来なかったー! 早く、朦朧は治ってー! どんどんキリンが近付いてきてるし、早く距離を取らないと!


金金金 : バッタに翻弄されるライオン。確かにこのエリアボスは厄介だな。

ミナト : 今ので弱点は見えたけど、サクラちゃん、聞く?


「正直、それどころじゃないので後で聞かせて下さい!」


 朦朧になってても溜めは進んでるし、もう少しで溜めは終わるもんね! ともかく今は同時に相手をする敵の数を減らさないと! その為にも、まずはキリンをぶっ倒――


「わー!? 待って、待って、待って!? 首を振り上げて何を……ぐふっ!?」


 ぎゃー! キリンの長い首を振りかぶって、叩きつけられるとか全然想像してなかったんだけど!? あ、でも思ったよりもダメージは少ないかも? 

 それでも今ので2割は削られたし、バッタにも1割以上削られてるから、残りHPは7割を切っちゃってる!


「あ、溜め完了です! これで吹っ飛んで下さい! 獅哮衝波、いっけー!」


 倒れたままの状態だけど、朦朧は治ったし、至近距離から最大まで凝縮したのをぶっ放すのさー! これでキリンは死んでください!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv 35に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


「おぉ、やりました! 至近距離からだと、キリンの大きさでも結構吹っ飛びますね!」


 ふっふっふ、とにかくこれでキリンは撃破完了! それじゃエリアボスのバッタを……Lv差あるけど、大丈夫かな? うーん、まぁとりあえず戦ってみようっと!

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