第505話 陸地に戻って
ふふーん、水面に上がって、消えずに残ってた毒の実の回収は手早く済ませた! でも、役には立ったけど、かなり数は減っちゃったねー。
えーと、南側の陸地は……うーん、ここからじゃまだ見えないっぽい。まぁ戦ってたのは浅瀬にはなってない場所だし、縄張りでワニを結構遠くまで引っ張り出した感じなのかも! まぁそれはいいとして……。
「陸地に戻ったら、少し毒の実の補充をしたいとこですねー! という事で、陸地に戻ります!」
うふふ、湖の中でやるべき事はもう終わったもんね! もう少しで19時になりそうだし、そろそろ次のエリアへ向かっていこー!
サツキ : 陸地に戻って、次のエリアに出発だー!
水無月 : 出発だー!
富岳 : 陸に戻ったら、雷への適応進化に戻して、そこから再誕の道標を使って……という流れでいいのか?
「あ、はい! 流石に普通に移動してたら時間もかかりそうなので、今はそれで行きます!」
今いる場所は湖の南側だし、北側に進むには移動距離はあるもんね。水への適応進化は保存出来るように、ガーネットは手に入れたから問題なしなのです!
富岳 : それなら了解だ。
ミツルギ : 少しの間の、水への適応進化だったな。
「あはは、まぁそうなりますねー! これはこれでいいんですけど、やっぱり雷の適応進化の方が強いです!」
流石は最強格だと言われてるだけの事はあるよね! 実際に他の適応進化を使ってみて、かなり実感したもん!
水への適応進化は水中で活動する為だけど、雷への適応進化ってどこかの場所に適応するってタイプじゃないよね! その分、攻撃的になってる気がする!
「あ、色々切れましたけど……まぁ縄張りの効果で近くに他の敵はいないですし、問題ないですねー。水中に戻るのは……こうですね!」
毒の実を回収する為に水面に立ってた状態だけど、横に倒れるようにして……うん、水中に戻った! 水面は水化の使用中だと滑ってる感じの移動になるから、どうにも動きにくいのですよ!
こんにゃく : 水面を滑って移動するのも速いんだが……あれは、ちょっと難しいからなー。
神奈月 : スケートで滑るような感覚に近いけど、四足歩行の種族だと独特な操作感も入るから、そこは仕方ない。
ミナト : その辺が上手く使えたら、再誕の道標を使わなくても一気に進められるんだけどねー。それこそ、『疾走』よりも速くなるし。
「え、そんなに早く移動出来るんです!? ……ちょっと練習してみましょうかねー?」
そういう風に言われたら気になってくるよ! あ、でもそこまでの速度を出しながら、滑り続けるのって難しくないですかねー? というか、どうやって速度を上げるの!?
富岳 : あー、ミナトさんだから簡単に言ってるだけだからな? その速度、実際に出すのは容易じゃないぞ。
ヤツメウナギ : 体勢を崩さないようにしたまま、水面を脚でかいて速度を上げていく必要があるからなー。それがまた難しい。
チャガ : スケートが出来ない素人に、いきなりスピードスケートをやれって言うようなもんだぞ。
「それ、無茶ですね!? そもそも私、スケートはした事ないです!」
昨日の実況外にプレイの時に多少は滑れてた気はするけど、あの状態で水をかいて速度アップとか出来る気がしないのさー! ……あれ? 速度アップ? 要は、何かで滑っていく勢いがつけばいい感じ?
金金金 : 何か思いついたような表情の狐っ娘アバター。今回は何を思いついた?
サツキ : サクラちゃん、何かする気!?
「あ、はい! 思いついた事があるので、ちょっとダメ元で試してみます!」
ふっふっふ! スケートの感覚でバランスを取る自信はないけど、今思いついた事なら、その心配はいらないはず! 速度が出る事自体は普通に楽しいし、これならいけないかなー? とりあえず、水面に戻って……。
「この状況で、水面の上にいられますかねー?」
水面に立った状態じゃなくて、全ての脚が水面に着いて伏せをした状態で……おぉ、そのまま沈まずにいられるね! よーし、これならいけるかも!
咲夜 : ん? 視線が低くなったけど、これ、どういう体勢?
G : 伏せてる状態か?
こんにゃく : なんでこの体勢に……?
ミツルギ : あー、やろうとしてる事、なんとなく分かった気がする。あったな、そういやそういう手段。
富岳 : あぁ、多分あれだな。確かにあれなら、遥かに体勢は安定するな。
「あ、思い当たるような事があるんですね! という事は、成功したようなものです!」
私のオリジナルの手法ではなさそうな感じなのは残念だけど……でも、誰にも教わらずに自分で考えたもんね! 何も聞いてないから、私が自分で編み出した手段なのですよ!
水無月 : どんな手段なんだろ!?
金金金 : さて、どうなるか?
「それじゃ行きますよー! 『放水』!」
伏せた状態のライオンのお尻に向かって、後ろから放水を開始! おー! 体勢を変えずに、そのままスーッと滑り始めた!
「やった、成功です! どんどんやって、加速していきましょう! 『放水』『放水』『放水』!」
自分に向けて、連続で放水を使っていくのですよ! ふっふっふ、どんどん滑るのが速くなっていくね! 体勢は崩れないし、この当て方は特に問題なーし!
咲夜 : ちょ!? 放水で勢いをつけて加速させてる!?
神奈月 : あー、こういう手段もありなのか。
ミツルギ : まぁなー。やってる人はいるにはいるんだけど……これはこれで簡単ではないんだけど……。
富岳 : 『放水』をマニュアル操作で、見えない位置から正確に当てないと意味がないからな。スケート感覚で滑っていくのとは別の意味で、難易度は高い。
サツキ : サクラちゃん、どんどん行っちゃえー!
ミナト : えーと、そのまま加速して行っちゃっていいの? 向かってる先、南側だけど?
「あー!? 北側へ向くのを忘れてました!? わわっ!? 陸が見えてきましたし、ストップ! ストーップ! って、どう止まればいいんですかねー!?」
ぎゃー! どんどん速度が上がって、南側の陸地が見えてきたよ!? 待って、待って、待って!? このままじゃ陸地に乗り上げ……れば、止まるかな? ううん、陸の上も普通に滑ってた気がするし、止まらない気がする!
イガイガ : まさかの方向間違いと、止まれない暴走状態……。
金金金 : 大真面目にどう止まるんだ、これ?
ミナト : サクラちゃん! 正面から自分に向けて放水! それか、水化を切って踏ん張って! もう浅瀬だから、水中に潜って体勢は立て直せないし!
「わわっ!? 分かりました! 『放水』! 『放水』! ぎゃー! それでも間に合わな……ぐふっ!」
むぅ……多少の減速はしたけど、加速し過ぎてて減速が間に合わずに陸地に乗り上げて……そのまま滑って、木があるとこまで滑って……思いっきり衝突したー!?
うがー! 木が折れたみたいだけど、頭から突っ込んだから朦朧になっちゃったー!? うぅ……なんでこうなるのー!? 止まりはしたけどさー!
神楽 : ふー、ご飯の準備は完了……って、サクラちゃんが朦朧になってる!? え、陸地にいるし、これは何事!? さっき、ワニをしっかりと仕留めたとこだったよね!?
G : あー、端的にまとめると……自滅?
真実とは何か : それが真実である!
ミナト : サクラちゃん、色々と段階的に確かめようね? 進んでる方向とか、どのくらい加速するかとか、そういう部分。
富岳 : 始めた時点で陸地はまだ見えていなかったとはいえ、流石に急激に加速し過ぎだぞ。お試し程度のつもりでいるのかと思ってたが……。
ミツルギ : まさか、もう初めから北側に向かってるつもりでいたとは……。
「あはは、やらかしちゃいましたねー。でも、今の感じで進んでいけそうなので、今ので行きましょう! あ、そういうタイミングで水化が切れちゃうんです!?」
ぎゃー!? 今の移動方法、水化を使ってこそのものなのに!? 再使用に10分は待たなきゃいけないんだけど……どうしよう?
金金金 : なるほど、死んで再誕の道標を使うか、10分ほど待ってから今の手段で湖面を滑っていくか、2択になったのか。
ミツルギ : まぁそうなるだろうなー。さっきのなら、水化の再使用さえ待てば湖を渡り終えるのはあっという間ではある。
サツキ : 10分くらいなら、この辺で採集とか進化ポイント稼ぎをしながら待つのもありだよね!
ミナト : うん、それは普通にあり!
イガイガ : あー、縄張りの範囲内だし、Lv差的にも進化ポイントが稼ぎやすいよな。
「あ、確かにそれはそうですね!? ……どうしましょう!?」
時間の事だけを考えるならすぐに死んで再誕の道標が早いんだろうけど……他に現実的に可能な手段が出てきたら、思いっきり悩むんだけど!?
再使用を待ってる間に出来る事があるなら、選択肢としてあり! 進化ポイントは欲しいし、毒の実の補充もしたい! むぅ……これは悩む! ……悩んだ時にはやっぱりあれかなー? うん、その前に朦朧が治らないとダメだね!
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