第282話 湧き出す水の場所へ


 ふふーん、結構広めな湖の中でポコポコと湧き出てきている水を見に行こー! 上に注意と言われたから、その辺は気を付けながらだね! 湖の畔で、木が邪魔になってない場所を歩いていくのです!


「そういえば、ここの湧き水もHPが全快とかするんですかねー?」


 というか、それで全快出来るのなら、ここの手前で全快まで待ったのが地味に無駄になるような気もする! まぁ済んだ事はいっか!


ミツルギ : あー、ここまで広いと逆に全部は駄目なんだよ。湧き出した直後の場所……まぁ今サクラちゃんが見に行ってるとこの周りだけで可能だな。

咲夜 : 湧いた水を直接飲む感じならいけるぞー!

G : まぁあまりメリットは無い話だけどな。


「あ、そういう感じになるんですかー! まぁ流石にこの湖全体が回復効果ありは広過ぎますしねー!」


 今は敵の姿は見当たらないけど、普通なら敵も当たり前にいるって話だもんね。そんな事になったら、ここの湖の中の敵は常に回復し放題の無茶苦茶な敵になっちゃう!


「それにしても、ここで川の終着点なんですよね」


 湿地エリアからずっと川を遡って移動してきたけど、それはここまでで終わりなんだよね。そう考えると、少し寂しいような……。


ミナト : サクラちゃん、本流の方の水源はまた他の場所にある事を忘れないようにねー!

いなり寿司 : あくまでここは支流の水源だしな。


「あ、そういえばそうでした! そっちはそっちで楽しみですよねー!」


 地味にここが支流だったって事を忘れかけてたよ! いつになるかは分からないけど、そのうち草原エリアから上流へ目指して進んでいきたいもんですよ!

 その為にも、ライオンをクリアしないと話にならないんだよねー! でも、効率最優先じゃなくて、気ままに進めていきたいし、その辺はのんびりやっていこー!


 そうしてる間に、湧き水部分に一番近い部分までやってきた! 上を警戒しながらだけど、特に何かが襲ってくるって事はなかったね。

 そしてそんな風に油断してると襲ってくるやーつ! 油断はしないのですよ、私は! 空からの敵なら、地面に影が落ちるはずなのさー! この場所はかなり拓けてるし、天気は良いからそれで大丈夫なはず!


「さてと、折角なので少し水の中に入ってみましょう! ここの湧き水、何か採集出来ませんかねー?」


 ふふーん、ここは採集ポイントになってる可能性はありそうだよね! という事で、湖の中へ突入なのさー! あ、底は見えてたまま砂地で、特に脚が沈み込むって事はないみたい? 流石に水草の上だと滑りそうになるけど、砂の上なら滑りそうな気配はない!


水無月 : 綺麗な水だよねー! ここで魚になって泳いでみたい!

サツキ : それは少し難易度が高いけど、良い寛ぎポイントだよー!

G : 渓流エリアを進んでくるのが少し厳しめなんだよな。

イガイガ : こういう水場を、水中から眺めていくのもありだぞー。

富岳 : まぁその辺はモンエボ特有の景色にはなる。どう考えても人間では大き過ぎるしな。


「そう言われてみればそうですよね。ライオンで普通に歩けるくらいの浅さですし、人間じゃ泳ぐのは厳しそうです! ……ライオンだと尚更無理ですし」


 この辺は種族のサイズ次第だよね! アンロックすれば川魚のプレイも出来そうな感じはするし、水中探索も面白そう! 魚じゃなくてサンショウウオとかカエルとかでもありな気もする!


「あ、ライオンをクリアした後に川のみの範囲で冒険をしていくのもありですね!」


 キツネさんもやりたいけど、他の種族も色々やりたいもん! 種族によってはそういう風に趣旨を決めて配信していくというのもありだよね! うん、まだ先の話になるとは思うけど、これもありなはず!


金金金 : 川の範囲に限定した大冒険か。ありっちゃありだな。

水無月 : それも楽しそうだよねー!

咲夜 : でも、陸に打ち上げられてピチピチと跳ねる魚のサクラちゃんが目に浮かぶ……。

イガイガ : あー、それはあり得そう。

こんにゃく : 間違いなく何度かは発生するよな、それ。

ヤツメウナギ : まぁそうだろうな。


「ちょっと待ってください! その決めつけは止めてもらってもいいですかねー!?」


 それって完全に私が死ぬのが当たり前みたいな言い方な気がする! そりゃライオンでも死にまくってるけど――


ミツルギ : あ、サクラちゃん。それは大体誰でも発生する事だから気にしなくていいぞ。

いなり寿司 : サクラちゃんに限定した話でもないからなー。魚で死ねば、高確率で発生する事だし。

咲夜 : そうとも言う! でも、その状況で慌てる姿は想像出来るよな?

神奈月 : それはまぁ……出来るな。

いなり寿司 : あー、それなら容易に想像出来るけど……。

富岳 : まともに解説するなら、ランダムリスポーンで陸地に出る事があるからだな。その状況からでも必ず水場に戻って絶対に死なないくらいの実力者でない限り、川魚をプレイするならどこかで体験する事だ。


「あ、そういう感じなんですね!?」


 なんだ、私がやらかして当然みたいな話ではなかったんだね。ランダムリスポーンは本当にランダムなんだし、水の中に戻れる保証ってないんだ! そう聞いてみれば、確かに当たり前ではあるのかも!

 多分、分かっていてもその状況なら焦りそう? あ、でも流石に事前に分かってたら……その時の状況次第かな?


「あ、話してる間に水が湧き出している場所に到着です! 採取は何か出来ますかねー?」


 採集出来そうな水草とかは無さそうだけど、水晶という前例があるもんね! もしかしたら宝石系の何かがこの湧き水の近くに埋まってるかもしれないもん!

 あ、でもその前にスクショを撮っておこう! スクショを撮るぞー! ……うん、撮れた!


ミツルギ : ここは一応採集ポイントではあるけど、遠目から見て特に何もない時点でそこまで有望な物って、ほぼないんだよな。

富岳 : 植物系の採集物なら、普通に植わってるのが見えるしな。

ミナト : あるとしたら、宝石系の何かかなー? まぁ琥珀は手に入れ損ねたから、それもありな気はするけどね。


「そうですよねー! 何かあってくださいよー!」


 植物系なら見た目でもう何かあるのは分かるっぽいから、そこは外れみたい! あれ? だったらなんで前の湧き水の時に『増幅草』の話が……あ! あれは『増幅草』だけじゃなくて『増幅石』の事も含んでたから!? その可能性はあるよね!

 うーん、まぁあったとしても聞ける状態でもなかったし、そこは気にしなくていいや! とりあえず宝石系で良いから何か出てこーい! 水が湧き出ている砂地にライオンの前脚を突っ込んで、探ってみよー!


「あ、一瞬ですけど何か採集が可能な表示が出ましたね! 今のはどこですかー!?」


水無月 : おー! 何かがあったね!

サツキ : 何が出てくるかなー?

咲夜 : これで『増幅石』を引き当てたら笑う!

こんにゃく : でも無いとは言えない可能性。

ヤツメウナギ : 必要量を手に入れたら、後からポロっと追加で手に入ったりってよくある話だしな。

ミナト : まぁ余分にあって困るものでもないから、その辺は別にいいと思うけどね。


「確かにそういう事ってありますよね。あ、ここですね!」


 よーし、採集可能なものに触れたっぽい! 採集しますかって確認が出てるから、レンコンみたいに掘り返す必要はなし! という事で、採集! 何が出るかなー? 琥珀は取り損ねたから、宝石系のアイテムでも出てくれば……って、あれ?


「……『再誕の道標』ってなんです?」


 なんだか見た目や大きさは真珠みたいな感じだけど、これってなーに? 何に使うアイテム? 再誕って、どういう事なんだろ?


ミツルギ : ちょ!? それがこの段階で出てくる!?

咲夜 : マジかー! うっわ、良いものが出たなー!

G : そうきたかー!

ミナト : あはは、このタイミングで出るのは凄いね。

いなり寿司 : 運がいいな、サクラちゃん。

金金金 : これ、どういうアイテムだ? オンライン版の『帰還の実』みたいなもんか?

富岳 : いや、あれとは性質が違う。オンライン版で例えるなら『転移の種』と『帰還の実』の中間くらいのアイテムだな。

金金金 : ほほう? あの2つの中間くらいのアイテムか。


「えーと、その例えだと私がさっぱり分からないんですけど……」


 オンライン版のモンエボの要素で例えないでー! 『帰還の実』とか『転移の種』って何!? うがー! 例えが分からないから、自分でアイテムの説明欄を見ようっと!


『再誕の道標』

 死亡した際に、この宝珠を設置した場所でリスポーンする事が出来る。

 1度リスポーンすれば、1時間は使用不可。


 え……? ちょっと待って、これがあればランダムリスポーン以外でリスポーンが出来るって事!? わわっ!? ランダムリスポーンしか出来ないのかと思ってたけど、そうじゃなかったの!?

 しかも、これは使い捨てじゃないっぽいよ! 良いアイテムを手に入れた気がするね!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る