第273話 狙い撃って


 ふっふっふ、話している間に獅哮衝波の2段階目までは溜めは完了! もう少しで3段階目の溜めも完了なのですよ!

 燃えた森の跡地で琥珀が手に入るみたいだけど、その辺は後回し! まぁもう動けない状態だからそこはどうしようもないだけだけど……あれ? そういえば……。


「あの、琥珀って絶対に手に入るんです?」


ミツルギ : いや、それは運次第だぞ。

ヤツメウナギ : 見つけやすくなるだけで、確定で見つかる訳じゃないな。

咲夜 : でも、運が良ければ複数個、手に入る事もあるぞ!

水無月 : それって意味あるの?

咲夜 : 特にない!

ミナト : 全く意味がない訳でもないんだけどねー。琥珀でも物によって色合いが微妙に違ったりするから、装飾進化をしたい場合にはバリエーションが増やせられるんだよ。


「あ、そういう違いもあるんですね! 適応進化が消えなければ、結構楽しそうなのが残念です……」


 色んな見た目のライオンに変えていくのって楽しそうだもんね。着せ替えが出来るタイプのゲームなら、本筋のストーリーを放り出しても楽しめる要素! まぁその辺を本格的にやるのは、ライオンをクリアしてからになりそうだけど。


「あ、そうしてる間に3段階目まで溜めが完了です! 威嚇で邪魔してくる敵も近寄っては来なかったですねー!」


 万が一に備えて、マップは最大表示にしたまま赤い印の動向はチェックしてたけど、私の邪魔をする敵の存在はなーし! あくまで威嚇の範囲内にはなるけど、動かない木の存在もなし! 

 私のライオンの敵討ちの相手は……あ、今は動かずに止まってるからチャンス! 獅哮衝波の射線上になる部分に他の敵がいる気配もない! 不安要素が排除出来てない場所も存在はするけど、そこまで気にしてたら近付き過ぎて威嚇の範囲内に入るしね!


「それじゃいきますねー! 獅哮衝波、発射です!」


 今の私の最大威力の攻撃で、私のライオンの敵討ちを成し遂げるのさー! しっかりと狙いをつけて……いっけー!


サツキ : サクラちゃん、やっちゃえー!

金金金 : 吹っ飛ばせー!


「おぉ、盛大に木々が吹っ飛んでますね!」


 密度は高くない木々だけど、あっという間に獅哮衝波の射線上にあった木々がへし折れて吹っ飛んでいくよ! ふっふっふ、これで――


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv19に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを3獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「……あれ? なんか数が多くないです?」


 倒そうとしてたのは1体だけのはずなんだけど……なんか4体も倒せてるよ!? えぇ!? そんな事ってあるの!? でも、マップに表示されてる私の敵の赤い印は消えて……その少し奥に赤い印が増えたー!?


「ちょっと待ってください!? これ、何が起きたんですかねー!?」


 あ、そうしてる間に威嚇の効果が切れた? まぁ役目は果たしたし、威嚇についてはこれで良いのかな? あ、看破も切れてるね。


水無月 : わぁ! 1発の攻撃で凄い撃破数!

ミナト : あらら、これはちょっと凄いとこに攻撃しちゃったみたいだね。

富岳 ; あー、これは狙った先に敵が集まってた木がいたか。ほら、前に丘陵エリアで木に敵が集まってた事があったろ。

咲夜 : あれかー!


「そう言われると、そういう事もありましたよね!? って事は、そこに獅哮衝波を撃ち込んだって事になるんです!? とりあえず『看破』!」


 わわっ!? それは大変だー! というか、マップを見てたらどんどん私の方に赤い印が近付いてきてる! えーと、4体くらいいる気がする! 威嚇の効果が切れたから近付いてきてる感じ?


「……これは、近付いてきたら雷纏いを使うしかないですかねー。あ、逃げるのもありです?」


 全然予定はしてなかった事だし、そういう手段もありなはず! でも、対応は早く決めないと!


サツキ : サクラちゃん、進化ポイントを稼ぐチャンスだよ!

チャガ : 交戦状態になってるって事は獅哮衝波のダメージが入ってるって事だからな。焦らず、冷静に迎撃すればいい。

水無月 : そういえば、放電のLvが上がって溜め時間が変わってたよね?


「あ、そういえばそうでした! 『放電』! 水無月さん、ありがとうございます!」


 すっかり忘れてたけど、放電の溜めの最大値が上がってたんだった! ふっふっふ、マップを見る限り、まだ私の所に辿り着くまでには少し時間があるはず! それまでの間に可能な限り放電を溜めていくのさー!


「わわっ!? 堅固な蜜柑の木が走ってきてるんですけどー!?」


 私が吹っ飛ばした木々を乗り越えるように、根で駆けてきてるー!? でも、そんなに移動は速くないっぽいね。えーと、他の敵はどこ?

 あ、蜜柑の木の枝にメジロが止まってる! あ、クワガタと蝶もいるよ! なんかどれも堅固なんだけどー! しかもどれもLv17だから、比較的Lvが高めじゃない!?


咲夜 : ここまで堅固が揃ってるのも珍しいな!?

こんにゃく : ん? ただ単純に、それ以外のが全滅しただけじゃね?

神奈月 : 状況的に、堅固だけが生き残ったんだろうな。

咲夜 : あ、そういやそうか。

ミナト : この感じだと、蜜柑の木が周囲の敵を集めてたみたいだねー!


「堅固だから生き残ってたって事ですか!?」


 なんで堅固ばっかりなのかと思ったけど、そりゃ耐久性が高いんだからそうなるよ! 蜜柑の木以外が自分で移動してないのがもの凄く気になる!?


「これ、蜜柑の木以外は溜め攻撃の準備をしてませんかねー!?」


 どの敵も瀕死状態ではあるけど、3体同時の溜め攻撃は流石に危険過ぎない!? というか、なんで敵同士なのにそんなに連携してるのー!?


ミツルギ : あー、これは確実に準備してるか。

G : 完全にサクラちゃんを共通の敵として認識してるな。

咲夜 : こうなる場合って、どういう条件だっけ?

こんにゃく : 広範囲攻撃で、まとめて攻撃した時だったはず。でも、毎回じゃなくて確率だっけ?

神奈月 : 確かそんな内容だった気はする? イージーじゃ発生確率って低くなかった?

イガイガ : あー、その辺って難易度で変動するとこだっけ。


「そんなとこにも難易度で変動する要素があるんですか!? というか、それってイージーでは対応が難しいって事ですよねー!?」


 わわっ!? どんどん迫ってきてるから、ちょっと距離を取らないと! まだ放電の溜めが最大までいってないし、敵が4体で溜めの準備中なら一気に仕留めないとマズいよね! ここは火事で燃えた方へといこう! そこで放電の溜めが終わるまでは逃げ回るのです!


金金金 : 慌てている狐っ娘アバター!

ミツルギ : サクラちゃん、危なそうなら最大でなくても放電は使う方がいいぞ! 最大まで溜めに拘って、攻撃を受ける方がまずいからな!


「あ、はい! 確かにそれはそうですよね! 放電、発射!」


 溜める事を気にしてたけど、ここはミツルギさんの言う通り! これしか手段がない訳じゃないんだし、それなりに放電は溜まってるからもう使っていこう! どの敵も瀕死状態だし、もしかしたらこれで倒せるかも!


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「あ、蜜柑の木以外は普通に倒せちゃいましたよ!?」


 倒せないかもって思って警戒してた意味ー! でもこれは良い意味での誤算だから、ここは気にしない! ふっふっふ、予想外の事態だけど、進化ポイントや経験値が美味しいね! という事で、蜜柑の木も進化ポイントと経験値を寄越せー!


「これでどうですかねー! 『咆哮』!」


 うふふ、見事に萎縮になって転んでくれた! 木が根で歩くから、そうやって転ぶのさー! 木は大人しく、地面に植わっていればいいのです!


「トドメです! 『爪撃』『連爪』!」


 残りHPはあと僅か! 倒れた木に駆け寄って、剥き出しの根に向けて爪研ぎ開始! うりゃりゃりゃりゃー!


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv20に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを3獲得しました>


「おぉ、今回の戦闘でLv2も上がりましたよ! 凄いですね、獅哮衝波!」


 1体だけを倒すつもりが、結果的に何体倒したんだろ? えーと、敵討ちの相手を含めて合計8体? 姿を見ないまま倒した敵のLvが意外と高かったのかな?

 うん、結局私を巻き添えで殺した相手の種族は分からないままで終わってるし、まぁその辺は別にいいや! 勝ったならそれで良いもんね! さーて、それじゃ琥珀探しをやってみよー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る