第217話 川の上流へ


 うーん、離れた場所から動かない木が攻撃をしてきたけど、威嚇の効果中に攻撃をしてきたんだから、間違いなくLv7! でも、まだワサビがあるっていう川の上流には行けてないし、その方向と真逆の位置にいるっぽいその木を倒しに行くには正直面倒だよね……。


「よし、今回はその木はスルーで行きましょう!」


咲夜 : あれ? サクラちゃんにしては珍しい反応?

イガイガ : この手の奇襲なら、ぶっ飛ばすって言いながらすぐに向かってそうなのにな?

神奈月 : あー、確かに。


「私の印象ってそんな感じなんですかねー!? いえ、確かに配信時間にまだまだ余裕があればそうしてそうですけども!」


 咲夜さんやイガイガさんが言ってる事も、あながち否定し切れないのが何とも言えない! うー、その辺はとりあえず置いておこー! 今はそれよりも大事な事があるもんね。


「とにかく咆哮で萎縮になってる間に、攻撃範囲から離れます!」


 わざわざ攻撃範囲だと分かっているここに留まってる理由はないから、サクッと離れちゃおう!


ミツルギ : まぁ倒しに行かないのであれば、その方が良いか。

いなり寿司 : 確かにそれもそうだ。

サツキ : サクラちゃん、出発ー!


「はーい! 目指せ、川の上流です!」


 という事で、まずは川岸まで戻っていくのです! そこまで行けば、川沿いに上流へと進んでいけばいいもんね!


「あ、切れてたのを忘れてました。『看破』!」


 ふぅ、これでよし! えっと、このエリアでの最大LvはエリアボスのLvになるはずだから、Lv7まで育ってる今は無理に戦う必要もないはず! 進化ポイントや経験値稼ぎは実況外のプレイでやればいいから、残りの配信時間は移動のみに専念しようっと!


「とりあえずしばらくは敵はスルーして、先に進むのを優先しますねー! ワサビも気になってますし!」


 という事で、可能な限り看破で見つけた敵を避けつつ、森の中を進んでいくのさー! 


ミナト : 今はそういう方針でいくんだねー!

富岳 : というか、サクラちゃんはワサビ狙いで目的地を上流に設定してるな?

咲夜 : 思いっきり覚えてたー!?

神奈月 : あー、咲夜さんがやらかしたやつだもんな。

G : ん? そうなのか?


「あ、その時にはまだGさんは来てなかったですっけ? 今日の配信の割と初めの方で咲夜さんが川の上流にワサビがあるって言ってたんですよねー」


 地味に敵なのか、採集アイテムなのか、両方なのかが気になってるところでもあるもんね。そこまで詳しくは聞いてないから、それを確認したいという気持ちもある! それにマップの中央を超えて、結構南の方に進んではきてるから、ワサビがあるのはマップの端の方っぽい感じ!


G : あー、なるほどな。それなら今回の進む方向がすんなり決まったのにも納得。

いなり寿司 : 地味に咲夜さんが誘導した形になるのか。

咲夜 : 俺のせいなの!?

富岳 : 今回は間違いなく咲夜さんのせいだろ。

ミツルギ : まぁワサビの事を言ってたからこそ、今のサクラちゃんは上流へ進んでる訳だしな。

咲夜 : うぐっ!? そう言われると否定出来ない!?


「あはは、まぁその辺は気にしなくても良いですよー! 言われたところで、私が興味がなければ行かないだけですし!」


 ふふーん、ここのエリア的に自分で川の上流に行きたいって思った可能性は高いもんね! 森の中の川って、おじいちゃんに連れていってもらった川に近そうだもん! この先は渓流っぽい気がしてるし、私が一番行きたい川っぽい雰囲気に期待!


咲夜 : そう言ってくれると救われた気分になる。

G : ネタバレは気を付けろよー。

咲夜 : 肝に銘じておく……。

金金金 : それにしても、なんだかワクワクしている様子の狐っ娘アバターである。

ミナト : この先のエリアはサクラちゃんは好きそうだしねー。

イガイガ : あー、確かに今までの川への反応を見たら、この先は好きそうだ。

こんにゃく : ん? サクラちゃんって川が好きなのか?


「小学生の頃にリアルでおじいちゃんの家に行った時に、川でよく遊んでたんですよー! そういうの思い出して、テンションが上がるんです!」


 うふふ、その辺の話はチラッとした事はあるけど、これは私の期待通りの可能性が高そうだねー! 多分今日中には行かないけど、明日の配信から進出は出来るはず!


ミナト : あれ? サクラちゃん、この配信が終わったら実況外でプレイはするんだよね?


「あ、はい! そのつもりですよー! とりあえず配信中にエリア切り替えの場所まで移動しておいて、そこから離れない程度で経験値と進化ポイントを稼ぐつもりです!」


 多分それが今の状況で、一番無駄が少ない手段! まぁ木の方の育成も進めていきたいから、そこまで極端にやるって事はないと思うけど……それがどうしたんだろ?


ミナト : そうなると、次のエリアに進出は夜になりそうだけど、それは大丈夫?

ミツルギ : あ、そういや昼夜の切り替えになるタイミングか!

咲夜 : そういえばそうなるのか!


「あ、そうなるんです!? それは考えてなかったですね……」


 そっか、あと1時間くらいプレイしたらもう夜になってくるんだ。うーん、折角好きそうなエリアに行きそうなんだし、出来れば昼間に行きたいなー。

 でも、そうなると時間を飛ばす必要はあるよね。エリアボスは倒したし、寝て時間を飛ばせる安全エリアは確保済み。既に安全エリアからは出ちゃったけど、丘陵エリアみたいに無茶苦茶広い訳でもないし、一旦エリア端まで行ってからこの安全エリアまで戻ってきても大丈夫?


「……うーん、今回は時間を飛ばすのもありですかねー? ネタバレでもいいんで、飛ばした場合の敵がどんな感じになるか教えてもらってもいいですか?」


 何度も飛ばすとダメって話ではあるけど、1度くらいなら飛ばしても大丈夫なはず! だけど、ここは念の為に確認はしておくのさー!


ミツルギ : ネタバレありは了解っと。この状況で1回飛ばすだけなら、まぁ敵のLvが平均で2~3上がる程度だな。

富岳 : 先のエリアは、敵のLvが平均で1~2程度上がるくらいか。

ミナト : 1回飛ばすだけなら、進化が絡むLv帯でなければ次のエリアではエリアボスよりも強くなる事はないかなー。最低Lvは上がっちゃうけどね。


「おぉ、そんな感じなんですね! 普通にありな範囲な気がします!」


 思ってたよりも、大した影響が出る範囲ではなかったよ! そっか、今いる湿原エリアの敵が少し強くはなるけど、Lvが2~3上がる程度なら大丈夫だよね! というか、影響幅は今いるエリアの方が多いんだ!


いなり寿司 : あくまで何度も時間を飛ばし過ぎるのが駄目なだけで、夜を避けたいくらいの飛ばし方なら悪影響は出ないぞ。

咲夜 : というか、悪影響が出たら時間を飛ばすの自体が罠仕様になり過ぎるしなー。


「確かにそう言われたらそうですよねー!」


 1回飛ばしただけでアウトになるなら、そもそも寝て時間を飛ばすのは使えない仕様にはなるもんね。それにそれを実行するには、そのエリアの最大Lvのエリアボスを倒す必要があるんだから、少し全体のLvが上がるのは問題なーし!

 今いる湿原エリアだったら、Lv1~7までの範囲がLv3~10くらいになるって事だもんね。ふっふっふ、それなら決して倒せない範囲じゃないはず!


「まぁとりあえずその辺の実行は、実況外のプレイの時に決めますねー!」


 今決めちゃっても良いんだけど、そうも言ってられない光景が見えてき始めたしね! うふふ、話しながら川沿いに上流へと進んできたけど、川の中に草が沢山生えているのを発見! というか、川の水が殆ど見えない!


「ここがワサビが沢山生えてる場所でいいんですよね?」


 直接ワサビが生えてるところって見た事はないんだけど、それっぽい雰囲気はあるもんね! 多分、これがワサビで合ってるはず!

 

ミツルギ : おう、合ってるぞー!

サツキ : ワサビの群生地に到着だー!

咲夜 : ワサビだー!

水無月 : おー、良い景色だねー!

こんにゃく : 天然のワサビとか、普段は見る事ないもんな。

ミナト : それを目的にしに行かないと、そういう機会はないからねー。


「やっぱりここで合ってるんですね! これは今日のサムネイルに良さそうなので、スクショを撮っておきます!」


 今日はイマイチ良いスクショが撮れてなかったから、これはいい感じの景色! それじゃスクショを撮るぞー! ……うん、撮れた! って、あれ?


「さてと……採集が出来そうな気もしますけど、今見つけた堅固なワサビはどうしましょうかねー?」


 うん、少なくとも敵としてワサビがいるのは確定! でも、堅固なら無理に戦わなくてもいいかなー? とりあえず採集を先にしてみてから、戦うかどうかを決めようっと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る