第6章 未成体への進化です!
第180話 SNSでの変化
暑い暑い、自宅への帰り道。暑さも忘れて気分は少し沈み気味……。
「……まだ増え続けてる」
昨日の姉さんのやらかしから増え続けていくSNSの通知が、学校が終わっても増えていた。急激な増え方にビビりまくってるけど、それ以上に地味に怖いのが姉さん以外にも有名なデザイン関係の人の何人かからフォローされてた事ー! ネットの繋がりって、怖い!? というか、姉さんが『立花サナ』の方でもフォローしてきてるよ!
でも、そのおかげか姉さん……『立花サナ』=『サツキ』という事は分かりにくくなったっぽい。その分、企業案件の疑惑は強まってるみたいだけど! 配信者を兼ねた新人の3Dデザイナーの発掘プロジェクトとかいう疑惑が出てるけども! 私は今、一体何に巻き込まれているの!?
うーん、何がどうしてこうなったんだろう? まぁアーカイブの再生回数も増えてるみたいだし、悪い事が起きてる訳じゃないんだけど……。
とりあえず家まで到着! ぼんやりしてたら電車を1本乗り損ねて、その分遅くなったからもう少しで17時ってとこだね。
「ただいまー!」
家に入れば、冷房が入ってて涼しいって事は、兄さんは今日は家にいるんだね! なんというか、兄さんがいると安心出来る! というか、普通にリビングにいたー!
「ん? あぁ、帰ってきたのか。さっき届いてたぞ、煎餅」
「おぉ、本当だ! 兄さんが受け取っててくれたんだー!」
「……いや、お前、姉さんから発送のメッセージも無視して受け取ってないだろ。どうやって時間指定で受け取る気だったんだ?」
「あっ! そういえば放置したままだった!?」
少しの間のつもりだったけど、今の今まで姉さんからのメッセージの通知はオフにしたままだった! むぅ……でも、そこは謝る気はしない! まぁお煎餅には罪はないから、兄さんが開封して食べてる1箱目の中から1枚食べよっと。うん、やっぱり美味しい!
「……それにしても、変な尾ひれが付きまくってんな。どうすんだ、これ」
「どうしたらいいのか、分かりません! というか、兄さん、私のSNSをチェックしてたの!?」
「さっき姉さんから、泣きつきの通話が来てたんだよ……。メッセージが無視され続けてるってな。それで状況を改めて確認したら、これだしな」
「おー、そうなんだ!」
もう1枚、煎餅をパクリ。うん、やっぱりこれは良いよね! 大量の数を気にする事なく、単純に味わえる状況だと尚更美味しい! このホッとする味が、見た事もない大量な通知の数を見て精神的に疲れた心になんだか染み渡っていくよ。
とりあえずスルーしてた姉さんのメッセージを……うん、姉さんからも凄いメッセージの数が来てる。一応全部流し見で目を通して……うぅ、なんだか泣きそうになってる姉さんの光景が目に浮かぶ内容ばっかりだー!?
「あぁ、それとだが、友達の同業者の何人かに泣きついてたみたいだぞ。……結果的に変な方向に尾ひれが付きまくってるが、まぁ姉妹って事は気付かれにくくなっただろうな」
「そうなの!?」
という事は、有名な人達からのSNSのフォローはそれが原因!? それ、ただ拡散速度を更に早めただけじゃない!?
「急に意図しない形で大幅に目立ってやりにくくなったら、止めるって手段もありだぞ? まだ始めて1週間も経ってないんだしな」
「それは嫌!」
確かに始めて間もないけど、それでももう毎日見に来てくれてる人がいるもん! 私だって楽しくやってるんだもん! 変な目立ち方をしちゃったのは確かだけど、姉さんだって悪気があってやった訳じゃないもん! 変にビビって逃げるような真似はしたくないよ!
「……そうか。なら、姉さんの知名度を利用してやるくらいのつもりで頑張れ。何かトラブルがあれば、姉さんの旦那にぶん投げるからその場合は俺に言え」
「え、それって良いの?」
「原因を作ったのは向こうだし、向こうからもそうしてくれと伝言は受け取ってる。それに……姉さんのマイペースさをフォローしている本職だぞ? 流石に今回みたいな事もあるから100%防げる訳じゃないみたいだが……」
「そういう事なら、何かあった時はお願いします!」
「おう、それでいい」
確かに今回の姉さんのやらかしは防げなかったけど、それでも頼りになるのは間違いない! 根本的に姉さんがやらかさなければ問題はなかったけど、そこは言っても仕方ないもんね! 私は私で、姉さんのマイペースに呑まれないようにやっていこー!
「……それはそうと、何枚食う気だ?」
「え? あ、いつの間に!?」
気が付けば、これ5枚目のお煎餅だ! なんか兄さんと話しながら、無意識のうちに次々と食べてたっぽい! うーん、このお煎餅が美味しいのがいけないよね!
あ、そうだ! このお煎餅の写真も撮って、SNSに上げちゃおう! 昨日、あれっきりSNSには何も投稿してないから、いつもの人達に心配をかけてたらいけないしね!
「兄さん、お煎餅の写真撮ってもいい?」
「ん? まぁ構わんが、ちょっと待て。空き袋と、写ったらマズい物だけは退けておく」
「はーい!」
という事で、兄さんがテーブルの上に色々置いてたものを片付けてから写真の撮影して、SNSに投稿だー!
サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
配信に乱入してきている姉から届いたお煎餅です!
美味しくて、つい食べ過ぎちゃいました!
お煎餅.jpg
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うん、これでいい! 私は何もやましい事はしてないんだから、堂々としていればいいのさー! うん、凄まじい勢いでいいねの数が増えてるけど、そこはもう気にしない!
そして、これだけは確実に送っておくべき内容! 姉さんへ『見に来てもいいけど、謝罪は禁止! あと、お煎餅ありがとう!』とメッセージを送っておくのです! スルーしたままだったし、このまま配信を始めたらそこで謝られちゃいそうだもんね! それとは関係なく、お礼は大事!
「それじゃ俺は部屋に戻るぞ」
「はーい! 兄さん、色々とありがとねー!」
「……ったく、面倒事が増えてばっかだな。変に抱え込んで、前みたいな心配をさせるなよ?」
「……うん」
前みたいな心配……中学生の頃のあれだよね。そういえば姉さんが今みたいにあれこれするようになるのが激しくなったのも、あの後だったような気がする。
あ、そっか。あの桜の木のデータって姉さんに買ってもらったVR機器とお古のアプリで作ったんだったっけ。家族以外の他人に初めて見せた私の力作……もしかすると、姉さんは変な責任を感じてるのかも? 別に姉さんが悪い訳じゃないんだけどな……。
あ、姉さんから返事がきた。えっと、『色々とごめんね! その件は了解です!』ってなってるよ。これで『サツキ』がコメント欄に現れなくなる方が、変に怪しいもんね! それに姉さんの事が嫌いな訳じゃないし、むしろ憧れだもん! マイペースさに振り回される事もあるけど、それが姉さんらしさでもあるもんね。
「それじゃ私なりに頑張っていこう!」
もう兄さんは自分の部屋に戻ってたから独り言ではあるけども、それでも私なりの決意を口に出すよ! もし変に姉さんが責任を感じているのなら、そんなものはもう必要ないと示していかないとね!
◇ ◇ ◇
自室に戻ってから着替えて、数学で出てた課題を手早く済ませてきた! うん、半分くらい意味不明でちゃんと解けてるのか怪しいけど、まぁ何とかなるさー!
そうしてる間に丁度いい時間になったから、和室の配信用のVR空間へとフルダイブ! 現在時刻は17時50分だから、予定通りの時間だね! それじゃ今日の分もやっていくぞー!
<配信を開始しますか?>
今日は【初見プレイ】Monsters Evolve part.6! ちょっと今までになく妙に緊張をしてるけど、出来るだけこれまでの調子でやっていくぞー!
サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
18時から第6回の配信をやっていきます!
配信会場はこちら!
【初見プレイ】Monsters Evolve part.6
URL:*tp://***
今日はライオンの進化から始めていきますよー!
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昨日の実況外でのプレイでは、それなりに進化ポイントも手に入ってるはずだもんね! 進化ポイントがいくらになってたか確認してなかったけど、未成体への進化をしてから確認だー!
さてと、今日の配信の状況は一体どうなるんだろ? 今までと違う事にはなりそうな予感はしてるけど、まぁ何とかなるはずさー!
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