第161話 Lv20まであと少し


「それでは、成長体の最後の大詰めはこれで行きましょう! 『看破』『威嚇』『疾走』!」


 Lv20になってもしばらくは進化ポイントを溜める猶予があって、それまでは敵の進化は発生しない! それなら、乱獲防止で出てくる未成体以外では成長体Lv20までの敵しかいないという事!


ミツルギ : お、確かにこの状況ならそれが探しやすいか。

いなり寿司 : エリアボスのタカには気を付けろよー!

咲夜 : これ、格上に囲まれたりしない?

G : 咲夜さんがそれを言うと実現しそうだからやめとこうぜ?

イガイガ : 可能性としてはないとは言えないもんなー。

真実とは何か : あり得る真実ではある。

サツキ : それで囲まれて、サクラちゃんが死んだら咲夜さんのせいだねー!

咲夜 : えぇ!? 俺のせいなのか!?


「この流れで本当にそうなったら、咲夜さんが原因な可能性もありますよねー!」


咲夜 : サクラちゃんまで!?

ミナト : あはは、まぁこれまでの事を考えたら気持ち自体は分かるよね。

咲夜 : まぁ確かに……。


 今まで何かと咲夜さんのコメント内容が実際に起こる事って多いもんね。今の私のライオンなら威嚇で追い払う敵の方が遥かに多いし、実際に逃げてる敵の様子は看破で把握済み!

 進化ポイント稼ぎも兼ねるなら格下でもしっかり倒しておくべきだけど、それは後回し! まずはLv20を目指して、その後から今の威嚇で戦闘状態に入ってマップに表示されるようになった敵を狙うのさー!


「あ、少し明るくなってきましたねー! そろそろ夜明けが近づいてきました!」


 おー、いつの間にか時間が19時が過ぎてたね。ふふーん、これならタカとのエリアボス戦は明るくなったとこで戦えそうな気がする!


「そういえば、夕焼けとか朝焼けってどのくらいの時間がかかるんです?」


 あんまり気にしてなかったけど、どのくらいの時間で夕焼けや朝焼けの演出になるんだろ? 


ミツルギ : あー、ちょっとずつ明るくなったり暗くなったりが20分くらいで、後10分で一気に変わるぞ。

イガイガ : 完全に日が出るのと、日が落ちるのに10分だな。


「そんな感じなんですね! それならあと20分くらいはこのままみたいな感じなんですねー!」


 まだ日が昇ってきてはないけど、徐々に明るくなってきてる状態が20分が続くんだ! ふふーん、さっきまでの暗い夜中と比べて確実に明るくなってきてるから、気分的になんだか爽快になってきたー! いやっほー! 敵を求めて、丘陵エリアを駆け巡れー!


 うーん、この近くにはLv19~20の敵は見当たらなくて、敵はどんどん逃げていっちゃってる。これって威嚇を使わない方が効率が良かったかも?


咲夜 : なんか高めのLvの敵がいなくね?

富岳 : ちょっと偏りが出てたか。

チャガ : 咲夜さんの予想とは逆方向に行ったな。

イガイガ : だなー。

金金金 : 物欲センサー発動中? いや、物欲でもないけど。

ミツルギ : あー、言われてみたらそうかもなー。


「また余計な仕事をしてるんですか、あのセンサー! これはちょっと予定外ですね……」


 追い払いたくて威嚇を使ってたら強いのに襲われるとか普通にあったのに、ここまで見事に逃げられるばかりになるとは思ってなかったよ! 物欲センサーは仕事をしなくてもいいんです!


「あ、なんだか小高い場所がありますね! ちょっとあそこに行ってみましょう!」


 少し高いとこからなら敵を見渡すのも出来るもんね。あ、そうしてる間に雷纏いが再使用時間を過ぎたよ! うふふ、雷纏いはとんでもなく強いからいざという時の切り札になるもんね!

 とにかく一度急加速を使って、小高い場所へと駆け上がれー! ふふーん、この先に何がいる……って、ぎゃー!? 一気に大量に看破の情報が表示されてるー!? え、パッと見ではそんなに……。


「ぎゃー!? なんか大量に飛び立ちましたよ!? え、ちょっと待ってください! 今まで見た中で一番敵が集まってません!?」


 どうも中央にいる木に群がってたみたい。逃げていった敵も小鳥や小動物や虫が結構いた気がするし、あの木はLv20の生命の蜜柑だー!


ミツルギ : うわー、こう来たか。

神奈月 : ちょ、敵の集団!?

サツキ : え、看破で逃げてない敵って何体いるの?

ミナト : えーと、逃げてないのは4体だね。逃げたのを含めると合計30体くらいはいたかな。

富岳 : なるほど、中央にいる蜜柑の木に集まってたのか。

チャガ : 樹液分泌……じゃないな。さっきの数だと、上位の敵を集めるスキルか。


「そんなにいたんです!? というか、樹液分泌の上位のスキルもあるんですね!?」


 要するにあの生命の蜜柑の木がこの敵の集団を集めていたって事なんだ! よく看破の情報を見たら逃げてないLv19や20の敵もHPはそこそこ減ってるし、これは絶好のチャンス!


「これは乱入しかないですね! 一気に突っ込んで、雷纏いで麻痺を活用してぶっ倒します!」


 ありがたい事に知恵の敵は見当たらないもんね! とりあえず小高い場所から駆け下りていこー! 急斜面になっているから、転ばないようにだけは要注意!

 えーと、屈強なスズメと、俊敏なキツツキと、堅牢なカブトムシが逃げずに残ってる敵! あと誘き寄せてる張本人の生命の蜜柑! ふっふっふ、雷纏いが使えるようになって、この敵の数は嬉しいね!


サツキ : おー! やっちゃえ、サクラちゃん!

金金金 : やっちまえー!

いなり寿司 : これでLv20に到達するか?

チャガ : 既にそれなりに弱ってるから、何とも言えないとこだな。

いなり寿司 : あー、確かに微妙なラインか。

イガイガ : というか、結局敵を大量に同時に相手か。

神奈月 : またか、咲夜さん。

咲夜 : 囲まれてないから!? てか、囲まれてても俺のせいじゃない!


 まぁ今回は元々集まってた敵だし、私がその中に突っ込んでいくんだしね。でも、今はその辺を考えてる場合じゃない。いざ、戦闘開始! 全部倒して、経験値と進化ポイントになってもらうのさ!


「まずは疾走の効果を切らさないとですね! わっ!?」


 スズメが私に向かって突っ込んできたけど、急加速でタイミングをずらして回避! 疾走の効果時間は結構減ってたから、今の急加速でほぼ尽き切ったから減速して……うん、これで疾走の効果が切れた!


「ここから私の無双開始です! 『雷纏い』!」


 これで蜜柑の木の手前まで移動は出来たし、下準備は完了! ふっふっふ、大暴れ開――


「ぎゃー!? 脚に止まって来ないでくれませんかねー!?」


 ちょっと待って、このキツツキの動きが思った以上に早かったよ!? あ、でも嘴で突いてこようとしてたけど、麻痺してポロっと地面に落ちたね。迂闊に触ってきたのが運の尽きです!


いなり寿司 : 自分から麻痺を受けにきたかー。

イガイガ : まぁそうなるよなー。

ミツルギ : 近接の敵には、雷纏いは絶大な効果を発揮するしな。


 うふふ、確かに近接攻撃の敵には触れるだけで麻痺する雷纏いは天敵だよね! 使われたら嫌だけど、自分で使うには凄い優秀なスキル!


「とりあえず最初の獲物はキツツキです! 『爪撃』『連爪』! わっ!?」


 キツツキを攻撃してたら、カブトムシも飛んできてた!? うぅ、カブトムシも麻痺して落ちたけど、今のは普通に攻撃を受けちゃったからHPが減ってるよー! これなら脚に止まってくるキツツキより、カブトムシを先に倒した方が良さそう?


「あ、カブトムシならこうすれば良いだけですね! 『噛みつき』! えいや!」


 カブトムシに噛みついて、そのままキツツキにぶつけていくのですよ! ガンガンガンと、攻撃なのさー! おぉ、堅牢なカブトムシだからキツツキへのダメージが多めに入ってる気がする!


咲夜 : 相変わらず、えげつない攻撃……。

G : カブトムシは強力な武器だぜ!

神奈月 : それは何かが違う気がする……。

ミツルギ : でも、完全に武器になってるんだよなー。


<成長体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「とりあえずキツツキは撃破です! 元々それなりに弱ってたんで、経験値は少なめです……って、危ないですね!?」


 うがー! 蜜柑の木は地面から根で突き刺してくるなー! あ、何とか避けた思ったらなんだかスズメが根で刺されてるよ? もしかして今のは私を狙ったんじゃなくて、スズメを狙ってたの? それともただの偶然? まぁどっちでもいいや!


「完全に乱戦になってますね! とりあえず次は……って、HPを回復しないでもらえませんかねー!?」


 うぅ、根で歩く気配のない蜜柑の木は後回しにしようと思ってたけど、このままじゃスズメを仕留められちゃう!? 先にそれをどうにかしないと進化ポイントが勿体ないよ!

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