第138話 サクラの呟き その4
今日の配信は終わって、晩御飯を食べ終えた! うん、天ぷらとザルそばは美味しかった! それじゃ配信外のプレイをしたいとこだけど、その前にすることがあるのです! とりあえず自室に戻ろうとしている兄さんを捕獲!
「兄さん、兄さん!」
「……今度はなんだ?」
「姉さんがコメント欄に乱入してきた!」
「…………」
「無言で部屋に入ろうとしないでー!?」
あからさまに面倒そうにスルーしてドアを開けないでー!? 姉さんの相手は私だけには荷が重いのですよ!
「……はぁ、姉さんがしつこいくらいに色々聞いてきてたから教えたが、なんで早々に本人にバレてんだよ。それで俺にどうしろと?」
「姉さん対策をお願いします! ネタバレをされまくったの!」
「無理だから諦めろ。姉さんなら悪意はないし、放っておいても害はない」
「えぇ!? 兄さん、そんな!?」
「……どうしてもというならブロックくらいしか手段はないが、それをすればリアル側での悲しそうな連絡が増えるぞ?」
「あぁ!? それは普通にありそう!?」
あの姉さんなら、ブロックで強制的に排除したらそういう事をしてくる可能性って高いよね!? ぐぬぬ、姉さんが見れないように締め出したい訳じゃないし、普通に見てるなら姉さんでも大歓迎なんだけど……口で言ってもあっさり復活してきたもんね。
うがー! 根本的に姉さんのマイペースに対する有効な手段が思いつかない!? うぅ、兄さんなら何とかしてくれると思ったのに……。
「……姉さんに少し脅しをかけといてやるから、それで何とかしろ」
「脅すって、兄さん、何するの!?」
「一番姉さんが嫌がる事を言うだけだ。まぁある意味、この相談を受けた事をそのまま少し大げさに伝えるだけだがな」
「え? それって効果あるの?」
「お前に嫌われるのだけは本気で嫌がるからな。……このままだと本気で嫌われると言えば良いだけだ。それで1日くらい全ての連絡手段を塞げば……」
「兄さん、鬼だ!?」
それを姉さんが嫌がるのは分かってるけど、実際に嫌ってる訳じゃないのに、脅すように言おうなんて酷い!? 確かに効果はありそうだけど、連絡手段を復活させた時の姉さんの様子が目に浮かぶよ!?
「……なら、単純に我慢しとけ。俺もそういう手段は取りたくはないからな」
「……はーい」
釈然とはしないけど、姉さんのマイペースなコメント欄への降臨を防ぐには……後々に響きそうな手段しかなさそうだよね。むぅ、姉さん対策は兄さんでも難し――
「ん? 噂をすれば、姉さんからメッセージか? ……なんであの人が姉さんのから……あぁ、なるほど」
「兄さん、姉さんがどうしたの?」
「旦那さんの方から相当絞られたみたいだが……あの人も一緒に見てたのか」
「そういえば、何度か止めてくれてた!?」
「……それを先に言え。母さん以外で姉さんを止められる数少ない人だぞ」
「そうなの!?」
何度か配信中に姉さんを止めてくれてたみたいだけど、そこまで姉さんの行動を抑えられるの!? 私は姉さんの旦那さんとはそこまで深い面識はないから知らなかった!
「あぁ、その辺りはよく知らないのか。姉さんの仕事の……営業を筆頭に制作以外は全てあの人がやってるぞ」
「え、そうなの!? 初めて知ったよ!」
「胃袋も掴んでるから、あの人に見限られたら……姉さんはヤバいだろうな」
「そうなんだ!?」
まさか姉さんの旦那さんがそこまで姉さんの生活の基盤になってたんだ!? まぁ夫婦なんだし、特にそれで問題はないのかな? うん、帰省してきた時くらいしか会った事がないから、料理が得意な人ってくらいしか知らなかった!
「向こうで問題があると判断したら次からは強制的に切断させると書いてあるから、ほぼ心配はいらんだろう」
「おぉ、それはありがたいです!」
いい仕事をしてくれるね、姉さんの旦那さん! 次に姉さんと一緒に帰省してきた時には何かお礼をしよう! うん、そうしよう!
「って事で、もういいな?」
「うん、いいよー!」
ふっふっふ、これで姉さんへの対策はどうにかなったはず! まさか姉さんの旦那さんが、完全な姉さんの抑止力になるとは思わなかった。でもあのマイペースな姉さんと結婚してるんだし、それくらいは必要なのかな? うん、まぁいいや!
兄さんは自分の部屋に入っていったし、私も自分の部屋に戻ってSNSの確認をしていこー! それから実況外のプレイ開始だー!
えーと、自分の部屋で寝っ転がって携帯端末でAR表示をオン! さてさて、コメントは来てるかな? あ、フォローの通知が何件かある! これは嬉しい……って、一件はサツキさんだから姉さんだった!? まぁいいや、とりあえずコメントの確認をしていこー!
サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
中継のアーカイブ保存をしました!
『【初見プレイ】Monsters Evolve part.4』を見てみませんか?
URL:*tp://***
***.jpg
コメント【5】拡散【10】いいね【15】
⇒【1】ミツルギ #***
樫の木同士の戦い。
サムネイルはこれになったかー。
おっと、ミツルギさんがサムネイルに興味を示してる! 片方は脚を引っ張った憎き樫の木だけど、もう片方は頑張ってくれたからね! これはあれだね、どっちが敵で、どっちが味方なのかをスクショに書いておきたい気分!
とりあえず『樫の木は邪魔してくれましたが、樫の木は頑張ってくれました!』と返信しておこう! うん、正直どっちがどっちか意味不明だけど、ミツルギさんは見てたんだし別にいいや!
⇒【2】サツキ #***
サクラちゃん、やっほー!
気付かれたんだし、これからは堂々をいくよー!
和服、可愛いよねー!
わっ!? さっき旦那さんに怒られて絞られたはずの姉さんからコメントが来てたよ! ん? あ、その後にももう1つあった! んー、どういう内容だろ?
⇒【3】サツキ #***
色々と怒られたので、出来るだけ自重します……。
だからサクラちゃん、嫌いにはならないでー!?
→いなり寿司・動画好き #***
なんか必死だな!?
→サツキ #***
サクラちゃんに嫌われるのは嫌なのー!
うん、なんか姉さんが必死っぽいのだけは伝わってきた! 悪気はないのは分かってるし、ここは旦那さんが抑えてくれるみたいだし、姉さんには優しくしておこう! ……というか、姉さんって地味にシスコン気味だよねー。
→サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
ネタバレやリアル情報をちゃんと伏せてくれるなら、歓迎ですからねー!
別に嫌ってる訳じゃないですよー!
→サツキ #***
次からは気を付けます!
サクラちゃん、大好き!
とりあえずこれで姉さんについては問題なし! ……多分、おそらく、きっと、大丈夫なはず! 駄目だった時は旦那さんに怒られてね、姉さん! という事で、次ー!
⇒【4】ミナト #***
配信、お疲れ様!
なんだか色々あって大変だったねー!
おぉ、今度はミナトさんだ! うん、今日は姉さんがコメント欄に降臨するとかいう予想外の事があり過ぎたよね。でもなんとか今日の分もやりきった! それじゃミナトさんにお礼の返事をしていこう!
→サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
今日はちょっと色々予想外過ぎましたけど、楽しかったです!
明日も来れたら来てくださいねー!
→ミナト #***
うん、そのつもり!
明日も色々期待してるからねー!
→サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
はい、頑張りますね!
ミナトさんからすぐに返事が来たから、私もすぐに返事! こうやって毎日見に来てくれる人がいるって嬉しいものさー ふっふっふ、私の直感から始めた配信だけど、なんだかんだで楽しいものになってきてるよね!
さーて、それじゃ最後の1件を確認したら続きをやっていこう! ふふーん、今日は木の進化を目指したいところだね! そこまでいけるかなー?
⇒【5】咲夜 #***
樫の木ー!
今日の実況外の配信プレイに期待。
木はそろそろ進化する?
おぉ、最後は咲夜さんからだった! しかも丁度私が木の進化を考えてたところで!? むぅ、咲夜って謎なくらいにフラグを立ててくるよね? うーん、偶然って恐ろしい!
→サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
木の進化は、出来ればそこまでやりたいですねー!
うん、とりあえずこの後の目標はそれでいこう! えーと、これでコメントの確認は終わりだし、モンエボの続きをやる前にこれだけ投稿しとこ!
サクラ☆モンエボ実況配信中! #***
これから木の進化を目指して、育成を頑張ってきます!
ライオンのLv上げもしたいけど、時間あるかなー?
コメント【0】拡散【0】いいね【0】
とりあえず今日の実況外のプレイでは木の進化を優先だー! それで時間が残ってればライオンの方もやっていくという事で! ライオンはまずマップの解放からやらなきゃだしね。さー、木の進化を目指して頑張るぞー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます