第110話 適応進化の力
ふっふっふ! 私のライオンは雷に適応して、強くなったのです! 色々とスキルが増えたのが嬉しいね!
「それでは森の探索を開始します! 皆さん、敵を見つけたら教えてくれると助かります! 正直、見落とす気しかしないので!」
もうここは素直に認めちゃおう! 私は昨日の実況外でのプレイでは毒キノコ以外はまともに見つけられなかった! それは事実!
そして夜になってからのプレイ時間は1時間程度だから、今日の配信は時間を飛ばさない限りずっと夜! 私だけだと見つけられないだけで終わる可能性もあるもんね!
ミツルギ : おう、任せとけ!
咲夜 : ここで一番頼りになりそうなのは、ミナトさんだよな!
イガイガ : そりゃ間違いない!
ミナト : そういう事なら、任せておきなさーい! あ、ちなみにその近くの木の上にもう敵がいるよ? 流石に全面的に教えると中々慣れなくなるから、まずはヒントからね。
「もう見つけてたんですか!? 流石はミナトさんです! ヒントのみも了解です!」
木の上、木の上……すぐ近くの木々はさっきの進化の余波でボロボロだから、そこより離れたとこの木だよね。
そして、木の根元ではなく、木の上! その方向は全然気にしてなかった! えーと、どこだー? 私の視界が映ってるんだから、見えている範囲にいるのは確実……!
「あ、いました! おぉ、これはフクロウですね!」
富岳 : フクロウは基本的に夜のみの出現だ。
イガイガ : おー、夜らしいのが出てきたか。
ミツルギ : 新スキルの試しにも良いかもしれないな。
わぁ、夜の森っぽい敵の出現だ! そっか! こんな風に夜は夜で特有の敵が出てくるんだねー!
「それでは夜の森、本格的に攻略開始です! まずは『識別』です!」
『器用なフクロウ』
進化階位:成長体
Lv:10
おぉ、同じLvのフクロウだー! 器用って事は遠距離メインっぽい! あれ? 何か……わっ!? なんか飛んできた!?
「これ、羽を飛ばしてきてるんですか! わっ! わわっ!? 連続で飛んできてるじゃないですか!?」
回避! 回避! ふっふっふ、この手の遠距離攻撃は何度も水を飛ばしてくる魚で慣れて……ぐふっ! え、何かにぶつかった!? なんで!?
咲夜 : 木にぶつかったー!?
金金金 : サクラちゃん、周りをよく見ろー!
ミナト : あらら、まだ森の中で動き慣れてないね。
ミツルギ : サクラちゃん、草原や河川域よりも障害物が多い事を忘れるな!
あ、しまった! 当たり前といえば当たり前なのに、今までと同じ感覚で避けてた! 周囲の環境が違うんだから、同じように後ろに下がってたらそりゃ木に当たるよ!
しかも思いっきり飛び退いた上で、それがぶつかったからHPがちょっと減っちゃってるよ。
「ぎゃー!? ぐぬぬ、このフクロウ、追撃をしてきますか!」
うぅ、思いっきりライオンに何本か羽が刺さった!? うがー! 立ち回りがこれまでのままじゃダメなのは分かったけど、それに慣れるまで攻撃してくるなー! ……うん、そんな無茶を言うのはやめとこ。
「ともかく、フクロウには実験台になってもらいます!」
フクロウとのLv差はないから、色々と試すには丁度いいはず! さーて、適応進化をしたライオンの力、試させてもらうよ!
「まずはそこから降りてきてもらいましょうか! 『咆哮』! って、えぇ!? そうなるんです!?」
普通にフクロウに咆哮は効いたけど、木の枝の上で怯んでるから結局意味ない気がする!?
金金金 : 落ちてこないんかーい!
ミツルギ : まぁ、うん、木の上で普通にいる場合は怯んでもそうなる。
サツキ : そういう仕様だもんね。まぁ何か衝撃を与えたら落ちるけど。
「なるほど、そういう仕様なんですね!」
うん、これもお試しの一環という事にしておこう! 実際、こんな風になるのは知らなかったから、有益な情報だしね!
「それじゃこれで落ちてきますかねー? 『放電』!」
とりあえず新しく手に入れたスキルの1つを発動! んー? なんか今まで使ったスキルとは違った指定方法? 再使用時間のカウントは……まだ始まってないんだね。
溜める為のゲージが出てて、任意のタイミングで止められるのはスキルの説明にあった通りだよね。でも、照準の指定がなんか変? 照準の円があるのは投擲っぽい感じだけど、その横に出てるマニュアル操作に切り替えって表示があるけど、これってなーに? これ、衝撃波生成も出来るんだ。
あ、通知で『スキルのマニュアル操作について』って出たよ。うーん、ここは皆さんに聞いてみよう! まだフクロウは怯んでるし、放電も溜めゲージが溜まってるし、時間的には大丈夫!
「皆さん、質問です! このマニュアル操作ってどういう事ですか?」
金金金 : そこは俺も気になる。
真実とは何か : これこそ、オンライン版のあれの原型であるのが真実!
ミツルギ : そうなるんだろうな。サクラちゃん、マニュアル操作にすれば発動後の放電先を自由に操れるようになるんだ。そのままならその指定した円に放電される。
富岳 : この辺りは得手不得手が相当分かれる部分だから、どこかで試しておいた方がいいな。
ミナト : そだねー! マニュアル操作がまともに扱えるなら、相当幅は広がるしね!
咲夜 : さて、サクラちゃんはちゃんと扱えるかどうか……。
「得手不得手が分かれるんですか!? うーん、早めにその辺は扱ってみた方が良い気がするので、少し試してみます!」
今回はあのミナトさんすら普通に得手不得手が分かれると認めてたもんね! 他の人が全然真似できないような事を平然と言う、あのミナトさんが!
このマニュアル操作、それほどまでに癖がある要素という事はよく分かった! だからこそ、早めに得手不得手は把握しておいた方が良い!
「それじゃいきまーす!」
ある程度の溜めが出来ているし、マニュアル操作に切り替え! 衝撃波はどういうスキルなのかを把握するまでは無しで!
あ、照準の円が消えた!? そっか、マニュアル操作だと照準が無くなるんだ! なんとなくどういう事か見えてきたかも!
「いっけー!」
そして放電の溜めは終わらせて発動! おぉ、無秩序に周囲に電気がまき散らされているけど、多分ここはこうだー! 放電された電気を束ねて、フクロウにぶつけるイメージ!
「おぉ、当たりましたよ! しかも、落ちましたね! ならば追撃です! 『雷纏い』!」
ふっふっふ! 木から落ちたフクロウとか、絶好の的ですよ! 足元に気を付けながら、落ちたフクロウへと近寄って……あ、前脚で電気がバチバチと鳴ってる!
ううん、私の見える範囲のライオンの身体のどこからも電気が纏わりついてるよ! これが雷纏いなんだ!
サツキ : 今のはお見事!
いなり寿司 : マジか! こりゃ面白い事になってきた!
富岳 : ほう、サクラちゃんはこの手のマニュアル操作は適性ありか。
ミツルギ : 今のは相当スムーズだったしなー。
イガイガ : あの挙動のイメージがしにくくて、扱えないって人も多いんだがな。
ミナト : サクラちゃん、今のはナイスだよ!
「おぉ、そうなんですね! 『爪撃』『連爪』!」
なんだか皆さんに褒められたらムズムズするなぁー! でも、今のは放電はスカッとして気持ちいいよね! そっか、あれがスキルのマニュアル操作なんだね!
ふっふっふ、遠距離攻撃で攻撃の方向を変更出来るとか、最高じゃないですかねー! いぇーい!
「あ、これって麻痺が入ってます?」
フクロウのHPがもう半分以上削れてるけど、なんか電気が纏わりついたみたいなエフェクトがかかってピクピクと痙攣してるよー?
サツキ : うん、麻痺になってるねー!
ミツルギ : そのまま仕留めちまえ!
咲夜 : サクラちゃんのライオン、かなり強力になった気がする。
「それじゃサクッとフクロウと倒してしまいますね! 『体当たり』からの『噛みつき』!」
麻痺したフクロウを、落ちる前にいた木に向けて体当たりで吹っ飛ばした上で、噛みつく! うふふ、凄い良い感じにフクロウのHPが削れてる! このままくたばれー!
<成長体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<サクラ【器用なライオン【雷】】が成長体:Lv11に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを2獲得しました>
「おぉ!? Lvが上がりました! 夜の森のフクロウ、撃破完了です!」
ふっふっふ、強いよ! この雷の力を宿したライオンは間違いなく強い! これが適応進化の力!
「なんだか今のライオンなら、川の魚の群れも撃退出来る気がします!」
ミツルギ : あー、出来ると言えば出来るけど、水場は通常よりも敵を寄せ付けるから気を付けろよー。
咲夜 : 水の中だと雷纏いを使ったらそれだけで攻撃になるんだよなー。
ミナト : 放電も水の中で使うと問答無用で範囲技になるから、そこら辺は要注意だねー!
富岳 : 向かないエリアが出てくる事もあるのが適応進化だからな。
「え、そうなんですか!?」
ちょっと待って! そのデメリットは聞いてない! あ、でも純粋にデメリットだけって訳でもないよね? それにこれだけ強くなるなら、多少のデメリットは仕方ないよね!
それに威嚇の効果に比べればなんて事はないのです! 今度どこかで水場があったら試してみようっと!
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