第91話 毒を持つイチゴ


 うがー! 毒を持ったイチゴは絶対にぶっ倒ーす! うぅ、普通のイチゴだったら美味しくて良かったのに、なんで敵なのー!?


「……このイチゴ、食べたら美味しいですかねー?」


富岳 : それ、確実に毒だぞ……?

イガイガ : 敵だと味もしないぞ?

咲夜 : 食べて良い事はないから、それはやめとけ、サクラちゃん。


「うぅ、イチゴなのに! 美味しそうなイチゴなのに、なんでそんな意地悪をするんですか!?」


 わっ!? 根が迫ってきてる!? ぐぬぬ、根で歩くとこも、毒のあるイチゴを飛ばしてくるとこも気に入らないー!


「邪魔なんでさっさとくたばってください! 『爪撃』!」


 この根での攻撃が移動用の根の操作だったら咆哮が意味がないから、爪撃で切り払う! おぉ、思った以上にごっそりとHPが削れた! イチゴも木と同じで根が弱点?


「あっ!? このイチゴ、地面に植わり直しましたよ!?」


ミツルギ : 知恵での進化をした敵は、厄介なやつはとことん行動パターンが厄介だからな。

いなり寿司 : ガチで殺しにかかってくるからなー。

神奈月 : もしくは極端に攻撃をしない方向に行くか。こっちは耐久性があるだけでまだ倒しやすいんだけど。


「知恵あるって名前は飾りじゃないんですね!?」


 要するに殺意満載で殺す事に特化してくるか、真逆で自分が死ににくいように守りに特化して進化していくって事だね! そして、毒を持っているのは殺意満載って事なんだ!


「わっ! またイチゴを飛ばしてきましたよ! 地味に遠近両用のイチゴですね!」


神奈月 : まぁまだ毒性が強くないだけマシ?

いなり寿司 : この少しの継続ダメージだけなら微毒だろうしな。

ミツルギ : 毒の種類が増えてくるのはまだ先だし、今は大丈夫だ。


「え? 毒にも種類があるんです!?」


 しかも、今の毒は大した事はない段階っぽい! うー、そうなると今はともかくこれから先の毒が何か怖くなってくるー!? というか、どうやって毒の種類を確認するのー?


「ちょっと戦闘しながら聞いてますんで、毒の種類の判別方法を教えてください! 『投擲』! ……あれ? 思ったよりHPがごっそり減りますね?」


 もしかして攻撃的になってるから、その分だけHPや防御が低い? ふっふっふ、それならば一気に畳みかけるのみですよ!


神奈月 : えっと、今の段階だとメニューからステータス画面で確認で良かったっけ?

ミナト : うん、状態異常の確認はそれで合ってるよー。ただ、戦闘中にわざわざ開いて確認するのは面倒だからねー。

富岳 : まぁ今の段階だと、そこまで状態異常を使ってくる敵も少ないからな。朦朧や毒は症状で内容が分かるしな。


「あ、ステータスから確認すればいいんですね! 『体当たり』からの……って、わー!?」


 ぎゃー!? 体当たりで攻撃して、噛みつきを発動しようとした瞬間に口のとこに毒ありのイチゴを持ってこられたー!?

 今は大急ぎで口を閉じろー! これを食べたりしたら、嫌な予感がするのですよ!


「ちょっと待ってください! 思いっきり毒のイチゴを食わされかけましたよ!?」


 噛みつきを発動する前になんとか口を閉じれてセーフ! でも、思いっきり顔面に毒のイチゴが当たったよ。……心なしか、HPの減り方が早くなったような気も?

 うー! 植わり直してからなんだか私の攻撃を待ち構えてるみたいだし、ちょっと距離をとろう。近付く度にあの毒のイチゴをぶつけられたら堪らないよ!


いなり寿司 : あー、ギリギリで回避したか。

イガイガ : サクラちゃん、食わされなくて正解だぞ。毒は食わされたら、一気にHPの減る速度が跳ね上がるからな。

ミツルギ : 同じ種類の毒でも、何度も浴びてればHPの減り方が酷くなるから要注意だ。まぁ今そうなってるしな。


「そうみたいですねー! もうちょっと早めに知りたかったですけども!」


 うぅ、思った以上に毒持ちのこのイチゴは厄介だー! でももうHPは4割くらいまで減ってるし、耐久性はそれほどないみたい。多少は毒を受ける覚悟で、ここは一気に仕留め切る!

 うわっ、イチゴから距離を取って動こうとしなかったら、また根で歩きだして近付いてきたよ!


「うがー! 近寄って来ないでください! 『咆哮』!」


 とりあえず咆哮で怯ませて……って、効かないー!? え、なんで!? 攻撃のキャンセルには使ってないけど、怯ませる効果はあるはずなのに!?


ミナト : あらら、防がれちゃったかー。

チャガ : まだそんなに確率は高くないはずなんだが、運が悪いな。


「え、どういう事です!? うぅ、近寄って来ないでー!?」


 この毒持ちイチゴ、嫌い! イチゴをぶつけられた以外の攻撃はまともに受けてないのに毒でじわじわとHPが減ってるし、近付いたら毒ありのイチゴを食べさせられそうになるし、なんでか咆哮は効かないし!

 投擲の再使用時間はまだ過ぎてない? もう、このイチゴは遠距離から倒すよ! 近寄りたくないよー!


神奈月 : えーと、さっき咆哮が失敗したのは、知恵のスキルツリーにある『異常耐性Ⅰ』の効果で合ってるよな?

富岳 : あぁ、それだ。それほど耐性が劇的に上がる訳じゃないが、知恵のステータス自体でも耐性は上がるからな。

チャガ : サクラちゃん、咆哮の怯ませる効果も状態異常の一種だから、耐性がある場合は弾かれる事もあるのを覚えておいた方がいい。


 あ、そういえば知恵のスキルツリーにそんなのもあったよね。そっか、状態異常が効きにくい敵もいるんだね!

 うん、次から識別で知恵で進化した敵は避けようっと! 毒への対策は全然出来てない上に、相手に咆哮が効かない時があるとか面倒なのですよ! このイチゴ、やっぱり嫌い!


「とりあえず失敗した理由は了解です! 再使用時間が過ぎたのでこれでトドメ! 『投擲』! あぁ!? 少しHPが残りました!?」


 ぐぬぬ、今ので倒し切るつもりだったのに、イチゴが根で歩いてたから少し狙うが外れたっぽい! そこは素直に倒されてよー!


いなり寿司 : あー、惜しい!

ミナト : でもあと1撃だよ、サクラちゃん!

金金金 : このイチゴ、シンプルにサクラちゃんとの相性が悪いのか?

咲夜 : そうだろうなー。

イガイガ : 状態異常持ちは、近接攻撃とはかなり相性が悪いもんな。

ミツルギ : 毒持ちって分かった時点で避けても良いくらいだし。


「そういう事は早めに言ってくれませんかねー!?」


 多分止められたとしても、実際に1回は戦ってみたと思うけど! 予め言われていたとしても、ほぼ確実に避けはしなかったと思うけど!

 あ、皆さんそう思ってたから、言わなかっただけ? うん、その可能性は普通にありそうだね! ……私のネタバレ禁止の方針も影響がありそうだー!


「何はともあれ今度こそ、トドメです! 『振り回し』!」


 真っ向から攻撃したら、また口にイチゴを放り込んできそうだから、今回は取ったばかりのこれで攻撃! 全身で捻るように、ライオンの尻尾を振り回して打ち付ける!


<成長体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「忌まわしい毒持ちイチゴ、撃破完了です!」


 あー、もうこの手の敵と戦うのはやだ! 次からは絶対に避ける! 状態異常は自分で使うのはいいけど、敵に使われるのは嫌ー!


「……ところで、毒ってどうしたら消えるんですかねー?」


 なんとかイチゴは倒したけど、じわじわとHPが減ってる毒状態は変わらないんだよね! 毒をどうにかしないと、このままだと死ぬー!


ミツルギ : 毒は時間経過で抜けるから、その場で安静にだぞ。

咲夜 : 下手に動き回ると、毒の回りが早くなってダメージが増えるという。

いなり寿司 : 解毒用のアイテムもあるにはあるが、持ってないよな?


「持ってないですねー。それなら、毒が抜けるまで少し大人しくしてますー!」


 そういえば前に毒ありの果物を食べちゃった時に時間経過で治るのは聞いた気もする。確か、アイテムの毒を食べちゃったらHP1で止まって死なないけど、敵の毒では死ぬって言ってたはず!

 それにしても、毒の状態で動き回るとダメージ量が増えるって嫌な仕様だね! あ、逆にさっさと動き回って死んじゃって、ランダムリスポーンって手段もあり? うーん、それなら悪い仕様でもないかな?


 解毒用のアイテムもないし、今はランダムリスポーンで場所は変わってほしくないから、毒が抜けるまではその場に猫のように寝転んで寛ぎタイムー!


「ふー、日も落ちてきて、夕暮れになってきましたねー!」


 夕暮れの赤に染まる川を見ながら、こうやって寝っ転がるというのも良いものだー! さーて、完全に日が暮れて夜になるまでにはLv10に辿り着きたいところ。時間的には多分いけるはず!


真実とは何か : ところで、今日の目標は何か?

ミナト : あ、そっか。途中から見てる人で知らない人もいるんだね。

ミツルギ : そういやそうだよな。サクラちゃん、丁度いいタイミングだし、その辺の説明をしといたら?


「あ、それもそうですね! 今日の目標はとりあえず、エリアボスのザリガニへのリベンジです! その為にLv上げと下流にある滝までの移動中ですね!」


真実とは何か : それが真実か。

富岳 : そういう事だな。


 うん、後から見に来てくれた人への今の私の目標を伝えるのはこれでいいよね! あ、いつの間にか視聴者さんが50人を超えてるー! こうやって増えてくると嬉しいよねー!

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