第11話 ゾウとの戦い


 よーし、少し疑問に思った難易度設定は、今は出来ないけどその内出来るという事は分かった! このライオンのルートをクリアすれば、ノーマルやハードも選べるようになるんだね!


「……そういえば、これってどうなればクリアになるんですか?」


ミツルギ : よし、そこを掘り下げろ!

イガイガ : ネタバレ禁止だから、サクラちゃんから聞いてくれないと答えられん!

チャガ : ちょっと待て! そのレベルで情報がないのか、この実況プレイ!?

ミナト : あらら、これはちょっと想像以上に情報がないねー?

咲夜 : そこで更にチュートリアルをすっ飛ばしたからなー。

チャガ : ……なるほど、何となくこの配信の楽しみ方が分かってきたぞ。

神奈月 : サクラちゃんが聞いてくるまで、不用意なネタバレ禁止!


 うーん? みんな、そこまで驚くような事なのかなー? 初見での実況プレイで事前に情報を調べ回っても面白くないし、こう、思いっきりミスをしながらでも手探り感で進めていくのが醍醐味じゃない?

 なんというかミツルギさんやイガイガさんは教えたい事があるみたいだけど、それを聞いちゃ面白みが薄れそうだから、そこは敢えて聞きません! 聞くのは私が純粋に聞きたいと思った時か、詰みかけた時のみ! 少なくとも今日はもう聞かない!


「ゴール地点が分かってても面白くないし、このまま進めるよー! 今度はあのゾウを倒します!」


 ゾウはさっき見つけて、そのままだったからねー! シマウマはあっさり倒せたけど、ゾウはどうかなー? うん、ライオンはLvも上がってLv3にはなったし、ゾウも倒せるはずー!

 さっきは掛け声と攻撃の方法が噛み合ってないのを気にされてたから、今度はその辺を意識してみるのですよ!


「ダッシュからのーっ! ジャンプしてから爪での攻撃! あ、やった!」


 ふっふっふ、狙った通りに動いた上に、ちゃんと予定通りの攻撃出来たのですよ! ゾウの頭を狙って、ちゃんと爪を振り下ろせたし、手応えは……あれ?


「全然HPが減ってないー!? あれー!? なんでー!?」


 今の、今までのミスとかと違ってちゃんと決まったよね! シマウマならこれで普通に倒せたのに、ゾウのHPは1割も減ってないのはなんでー!?


「わー!? わっ、わっ、ぎゃー!?」


 ゾウさん、踏み潰そうとしたり、鼻を振り回してぶん殴ってこないでー!? あぁ、横殴りの鼻を避け切れずに吹っ飛ばされたー!

 このまま吹っ飛ばされて着地に失敗したら、また狐っ娘アバターの下着が……あ、普通にそれはありだね。って、考えてる――


ミツルギ : ……うん、まぁ、ゾウのあの攻撃、序盤じゃ相当威力がある方だしな。

イガイガ : 今のはサクラちゃんの動きは良かったけど、まぁそうなるよなぁ……。

咲夜 : そういや、アバターの挙動は普通だな? もう修正入ったか?

神奈月 : 修正早いな、おい!

金金金 : ……運営からメッセージが来た。

イガイガ : 来たか、死刑宣告。

チャガ : ん? なんだ、それは?

真実とは何か : アーカイブを見るがいい。さすれば真実は分かるであろう。

チャガ : ……まぁどっちにしても見る予定だからそうするか。

金金金 : 見るのが怖い……。


「あのー、私がぶっ飛ばされて突っ伏してるのにスルーってどうなんです!?」


 配信主の私を放置して、金金金さんの命運を気にしてるってどうなのさー! いや、私としても金金金さんの今後は気にならなくもないけど、タイミングってものを考えて――


「わー!?」


 そんな事を考えてる余裕なかったー!? 何、このゾウさん! さっきまでは温厚で何もしてこなかったのに、私が攻撃したら温厚じゃなくなったー!?

 うー、こんなに攻撃的になるって私が何をしたっていうのさー! はい、私が殺そうとしたんだから当然ですよねー!


「ぐふっ! ちょ、待ってー!? ぎゃー!?」


<サクラ【ライオン】が死亡しました>

<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>


 うん、ゾウの突進が直撃して吹っ飛ばされた後に、追撃で踏みつけられて死んだ。それはもうあっさりと死んだ。あっさりと死に過ぎじゃない!?


 あ、ランダムリスポーンってなってたけど、草原は草原でも全然見覚えがない場所に変わったよ。

 ふむ、死んだら同じエリアのどこかにランダムで復活みたいだねー。それに死んでもデメリットらしきものは特になし。これは死んで初めて分かった情報だから良いとして……。


「これ、本当にイージーで合ってます!?」


ミツルギ : ……うん、まぁイージーで合ってるはずだけど。

チャガ : あー、これって一種の縛りプレイになってねぇか?

イガイガ : 間違いなく縛りプレイになってる。イージーでやる人はいないけど、ヘルでこれをやってる人は昨日見た。

ミナト : あ、それ見てみたい。それってアーカイブあるー?

イガイガ : 確かあったはず。

咲夜 : 悪いことは言わないから、サクラちゃん、ここはアドバイザー・ミツルギに聞け。それで解消するから。


 ううむ、どうやらこの状況は私が相当無茶な事をしているみたい? ここは私が折れて話を聞くべき?

 うーん、悩むー! チュートリアルをすっ飛ばして聞いてばっかになってるから、これ以上また聞くのは躊躇するんだけど、このままじゃ進まない感じが思いっきりしてるー! 何か見落として既に詰んでる感があるー! くっ、この屈辱感!?


「……ぐぬぬ、ミ、ミツルギさん……悔しながら、お教え頂いて、よろしい……でしょうか?」


ミツルギ : サクラちゃん!? なんでそんなに苦渋の決断っぽいんだよ!

イガイガ : 何がそこまで聞く事を拒むんだ……?

咲夜 : サクラちゃんなりのこだわりか?


「今日はもう聞かないってゾウと戦う前に心の中で誓ったばっかだったんですよー! それがもう破綻とか、もう悔しくて、悔しくて!」


 うー、ほんのついさっきだもん! 少なくとも今日は聞かずに突破するって決めたばっかなのに、もう詰み状態って酷くないですかねー!?

 この苦情は誰に言えば受理されますか!? 多少の交通費や通信費は払っても良いので、窓口を教えろー!


金金金 : ホッ。


「何が『ホッ』なんですか、金金金さん!?」


 私がそんなに荒れ狂っているのがそんなに楽しいかー! 悔しがっているのがそんなに楽しいかー!


金金金 : あぁ、いや、すまん、サクラちゃん。意を決して運営からのメッセージを見てみたら、警告だけでBANにならずに済んでホッとしちゃってさ。いやー、サクラちゃん本人が気にしている様子がないし、訴えもないから警告止まりだと!

真実とは何か : それは今言うべき真実か……?

咲夜 : むしろ一番言っちゃいけないタイミングのような。


「ほほう、よかったじゃないですか、金金金さん。それじゃ私、これから訴えを出して来ますねー?」


金金金 : サクラちゃん、これで少し落ち着きな? 【2,000】

咲夜 : あ、元々こうする気だったのか。

神奈月 : このスケベ野郎!?

チャガ : あー、流れがいまいち分からんが、金金金さんが何か汚い事をしているのだけは分かった。

ミナト : そうみたいだねー。


 え、金金金さんからまた投げ銭!? もう合計で7,000円だからソフト代金の共が取れちゃったよ!? うわっ、やったー!

 ありゃ? そう考えたらなんか怒ってたのがバカらしくなってきた? はっ!? 金金金さんはこれも見越して、あえて私が八つ当たりに動こうとした瞬間を狙ってきた!? あなたは策士ですか、金金金さん!


 ちょっと冷静になってきたけど、さっきの私って他の人の配信で見たとしたら凄く面白い状態だったんじゃ!? んー、いや、逆に嫌な雰囲気をばら撒いてた感じ……?

 うっわー!? そう考えたらどっちだったとしても凄い恥ずかしくなってきたー!?


「ごほん! それでは気を取り直して、ミツルギさん、教えてください!」


ミツルギ : あ、普通に戻った。

イガイガ : 金金金の手段もあれだが、サクラちゃんも現金過ぎる……。

咲夜 : まぁ別に犯罪行為をしてる訳でもないし、投げ銭をする理由も、金額も投げる人の自由だし……。

神奈月 : 金金金の方は特に釈然としないがな……。

チャガ : まぁそこは流してやれよ。ほれ、聞いてるんだし教えてやれ。

ミツルギ : それもそだな。サクラちゃん、やる事はもの凄く簡単だ。メニューを開いて、ステータス画面を開くんだ。


「え、それだけで良いんですか!? ……ちょっとやってみますね」


 まだ一度もステータス画面を開いていなかったけど、それだけで何かが変わるの? まぁミツルギさんがそう言うなら、メニューを開いて、そこからステータス画面を――


<育成要素のチュートリアルを開始しますか?>


 あー!? ここで育成要素のチュートリアルがあるのー!? ……そういえばシマウマとかは雑魚過ぎたから後回しにしようと思ってステータス画面を開かずに放置してたんだったー!

 みんなが私に伝えようとしてたけど、ネタバレを避けて言えなかった部分ってもしかしてこれ!? ネタバレ禁止とは言ったけど、これくらいなら教えてくれても良くないですかねー!?

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